ペーパードリーム

夢見る頃はとうに過ぎ去り、幸せの記憶だけが掌に残る。
見果てぬ夢を追ってどこまで彷徨えるだろう。

シュール

2011-05-28 16:25:34 | 美を巡る
110515.sun.

シュルレアリスム展―パリ、ポンピドゥーセンター所蔵作品による―
           2011.02.09-05.15 国立新美術館

震災の影響で、会期が延びたシュルレアリスム展へ足を伸ばす。
最終日。どの作品の前にも二重三重の人だかり。
あの時代の奇抜なものたちが、ひっそりと自己主張している。

昨年、同じ場所で見た「マン・レイ」展。
http://blog.goo.ne.jp/ezn03027/e/620fb48f0b8dbc056fbd17c9e57493d8
このときも、これだけでおなかいっぱいになったのに、
今回は、彼を含む芸術たちが一堂に会しているわけで、
まあなんて盛りだくさんなこと。
予想通り、満腹になりました。

常識では考えられない、ありそうもないものを見たり聞いたりしたとき
「シュールだなあ」、とつい口をついて出てしまうほど
すっかり日常になじんだ言葉だ。
超現実。
親分、いや帝王(法王とも?)アンドレ・ブルトンが
「シュルレアリスム宣言」をした1924年から彼の死の1966年まで、
第1次大戦中に起こったダダ時代を加えると
実に45年もの間続いた超現実主義運動だったんですね。

会場を年代別に4つに分けた、わかりやすい展示。
最初の部屋でまっさきに、目についたのが
マン・レイが撮ったというミシンと雨傘。
あの有名なロートレアモンの詩を、そのまんま!(笑)

「解剖台の上のミシンとコウモリ傘の出会いは美しい」

デ・キリコ、マックス・エルンスト、マン・レイ、
マルセル・デュシャン、サルバドール・ダリ、ポール・デルヴォ―、
ルネ・マグリット、フランシス・ピカビア、イヴ・タンギー、
ジョアン・ミロ、アルベルト・ジャコメッティ、・・・・・
名だたる芸術家のオンパレードだ。
そうそう、ポロックもいた。(わりと具象画を描いていたのにビックリ)
2つの大戦の間の、ある意味、綺羅星のような時代。
人間の意識の裏に隠された想像力を自在に引き出し、
偶然や瞬間の出会いに新しい芸術性を求める。
無意識の中に潜む世界を、それぞれ独自独特な方法で表現した
彼らとその作品、運動は、世界中に一大ムーヴメントを起こした。
パリの詩人たちがちょっと変わったことをして始まった、
なんてものではない広がりを
4つの部屋を行き来しながら、どっぷり感じた2時間。

普段あまり目にしないこの二人に注目。

ドラ・マールの写真作品(パラジウム・プリント)が2点。
彼女の作品を見たのは、実は初めてだった。
いわずと知れたパブロ・ピカソの愛人で、
黒髪に黒い瞳の個性豊かなこの写真家は、
ピカソが「ゲルニカ」を制作しているときの記録写真を残している。
そしてピカソの「泣く女」のモデルとしても
彼女的には(おそらく)不名誉な姿で残された。

    ピカソはドラ・マールを愛し
    捨てた
    そして「泣く女」は
    永遠に訴えている
    愛された印を
      (「泣く」という題詠でかつてこんな五行歌を出したこともある)

すべての部屋に少なからずの作品が展示されていたのは、アンドレ・マッソン。
ネームプレートを見なければ、絶対に同一人物とわからない。
それだけ多様な手法で、文字通りシュールな絵から抽象的な作品まで
描ききったという感じ。
ポロックら初期抽象表現主義に影響を与えたそうだが
オートマティスム(自動記述法)ってそもそも
ポロックのドリッピングに近いかも。(あれ?逆か?)


見終わってから、外のテラスでお茶を飲む。
手に持っていないとカップも飛ばされてしまうくらい
めちゃくちゃ風が強い。
それにしてもこのご時世、
現実に起こっていることこそシュールそのものでしょう、
なんてことを考えながら。

野菜&カツカレー

2011-05-26 18:38:01 | 美味いただく
本日、西日本では梅雨入りしたとか。
とっくに梅雨みたいな天気だったものねえ。

少し前、大量にコピーを取りに外に出ていたら
西の空が恐ろしいほどぐんぐん黒くなってきたので
慌てて帰ってきました。


今週は月・火と撮影立会い。
撮影の楽しみって、悲しいかな(?笑)お昼のお弁当だったりするわけで・・・。
料理撮影の場合はもちろん試食タイムがあるのだが、
今回はベツモノ。

初日は撮影現場近くのイタリアンレストランでしたが、
2日目は、料理家・Uさんの手作りカレー。
トマト・タマネギ・ズッキーニ・パプリカ・カボチャを小さく切って炒め
カレーペーストで軽く煮込むのだとか。
「水を使わないのよ、このカレーは」とのこと。
これをUさんこだわりの鹿児島産黒豚のカツにかけていただきます。
タイ米なので、カツカレーだけどおなかにもたれず、
シャンツァイ(香菜)がまた食欲をそそる。
かきたまスープは塩とごま油のみの調味で、これまたさっぱり。



あー、美味しかった!
「ごちそうさま!」

その後? 仕事しましたよ~。もちろん。

萌黄の染紬+萌黄の綴

2011-05-24 01:18:38 | きものがたり
110522.sun.



続けて着物の日。
大船・鎌倉芸術館にて朗読歌会。

草木染めの真綿紬。
花をかたどった中は格子柄。
ということは、もともと格子に織った紬を
絞って抜染し、その上に萌黄色をかけたという
大変手の込んだもの…のようです。(聞いた記憶では)

帯は同色・萌黄色の綴れ名古屋の八寸。
紫色のとんぼ玉の帯留。

この上に、薄物の濃紫の長羽織。

  <水浅葱 青磁 百緑 柳色 五月の風に色をつければ>


萌黄色はちょっと春っぽかったかな。
が、胴抜きで仕立てたので、この時期、楽なのです。
毎年ついつい出番が多くなります。