ペーパードリーム

夢見る頃はとうに過ぎ去り、幸せの記憶だけが掌に残る。
見果てぬ夢を追ってどこまで彷徨えるだろう。

題詠blog2012 未投稿歌091~100

2012-09-26 01:32:53 | 題詠2012

091:締
帯締めをきゅっと締めたる心地よさ秋風の声拾う夕暮れ

092:童
幽玄の湖畔に佇む菊慈童の春草描きし気高き姿

093:条件
いつの世も変わらぬ結婚の条件は心やさしく笑顔よきひと
水に土 肥料と条件そろえても思う通りにはいかぬ農業

094:担
四半世紀ぶりに会いたる担任の思いがけなき髪の白さは

095:樹

096:拭
テーブルを拭く手が止まるテレビでは爆破の街と痩せたる子らと

097:尾
尾道の友よはるかな海原を眺め子育てしているだらうか
尾花揺るる河原の先の秋の空君住む町へ長く続けり

098:激
身の裡に激しき流れを抱えつつ静かな笑みを君は見せをり

099:趣
加賀藩の栄華を偲ぶ城跡の秋の雲さえ趣のあり
趣味はお茶お花に料理昨今の女子には遥か遠き時代か

100:先
先達の言葉は重し素直なる心を持ちて受け止める日は
鍵盤の上を流れる指先の確かな動き立ち上る音

2012.09.08 完走

題詠blog2012 未投稿歌081~090

2012-09-26 01:25:42 | 題詠2012

081:秋

082:苔
石垣の奥で秘かに息づくは古刹名物光り苔なり

083:邪
戦争の止まぬ世界に生まれたる子等は如何なる邪悪を見るか
目に見えぬ電波に乗りて邪まな思いを交わす犯罪者もある

084:西洋
遥かなる大西洋にて獲られたる鱒の切り身の淡白な味

085:甲
甲板に夏の陽射しの照りつけてボーダーシャツが風になびけり

086:片

087:チャンス

088:訂

089:喪
病気して何かが狂ひ始めたと歌人詠へり乳房喪失
この頃の手厚くなりしペット葬友は愛猫の喪に服しおり

090:舌
上顎を噛みきられたるアリゲーターの舌の回りに蝶の舞い飛ぶ(バナナワニ園にて)

題詠blog2012 未投稿歌071~080

2012-09-25 16:15:23 | 題詠2012


071:籠
蘢球に庭球蹴球数あれど日本語根付くは野球のみなり

072:狭 0619
ひと筋の狭き山道頂きの神社目指してただに登れり
狭けれど春の日当たる庭に来て親子の猫が微睡みており

073:庫

074:無情

075:溶
煙吐く粗き岩肌黒々と溶岩流るるハワイ島に立つ

076:桃
遠州の御用邸脇桃の実の袋かけられ何を思ふか

077:転
お転婆な少女だったと白髪の婦人は笑ふおどけた眼をして

078:査
この書面よろしくご査収くださいと書いて送信ボタンを押すなり

079:帯 0720
緋の色を帯びて地球の夜が開ける皆に等しく光与へて
三尺帯背に揺らして金魚掬う祇園祭りに興じる幼

080:たわむれ
百日紅右左微かに首振らすたわむれの風東から吹く

題詠blog2012 未投稿歌061~070

2012-09-25 03:07:26 | 題詠2012

061:企
君がまだ企業戦士であつたころ見上げし空の色は何色?

062:軸
真夜中は時間の軸がくねくねと吾の周りで踊り始める
吾の中の地軸をわざと傾けて地層に眠る光を探す

063:久しぶり
この町で君と会うのは久しぶり変わらず頼むは深煎り珈琲

064:志
履歴書のきりと結んだくちびるに意志の強さがにじみ出ており

065:酢
ひところに流行りし竹酢万能の液体なるも仕舞いしままに

066:息
両腕を天に突き上げテープ切り君は笑顔で荒き息吐く

067:鎖
地球とふ大舞台にて生きてゆくため限りなき食物連鎖

068:巨
台風に倒れし巨木の銀杏より新芽の出でて耀いており  

069:カレー
複雑にスパイス混じりあう君の心を映すスープカレーは

070:芸
伎芸天の眼(まなこ)は時を翔けるごと夢見るやうに宙を見つめる

題詠blog2012 未投稿歌051~060

2012-09-24 02:03:01 | 題詠2012
051:囲
豊かなる海に囲まれ祝島原発拒む声を上げたり
新聞の囲碁欄のぞきつつ君は上の空にて箸を動かす

052:世話
世話物は古今東西変わらざる人情話で涙を誘ふ

053:渋
いつからか慣れてしまいし雑踏の渋谷の街にネオン溢るる

054:武
武蔵野の空に雲雀の声あがり通学路にも笑顔あふれる

055:きっと
大潮の晩に浜辺に生を受けしクサフグよきっと海に戻れよ

056:晩
月の晩は過去から使者がやってくる無くした記憶を蘇らせに

057:紐
桐箱を結わえし紐の綾織が遥かなる時の宝を守る

058:涙
汐風に吹かれて滲む江ノ島はあの日の涙覚えているか

059:貝
波際に寄せきし貝殻それぞれに海の記憶をつぶやいており
硝子器に閉じ込められし桜貝昔話の乙女のごとし

060:プレゼント
出会う人すべてが生きる証だと気づきしことが今日のプレゼント
緑葉に陽の透けてなおきらめくは空から届くプレゼントなり


題詠blog2012 未投稿歌041~050

2012-09-22 02:10:01 | 題詠2012

041:喫
今はなき木造社屋の喫茶室ステンドグラスの青の懐かし

042:稲

043:輝
無数なる光の粒が春の日の大海原に輝いており

044:ドライ
赤き実のドライフルーツ皿に盛れば異国の香り立ちのぼるなり

045:罰
神の罰受けしナルキス今もなお池の畔に影を揺らせり

046:犀

047:ふるさと

048:謎
咲く前の桜の枝で染むる糸いのちの色よいのちの謎よ

049:敷
緋毛繊敷かれし段の中ほどに五人囃子の眉のりりしき
緋毛繊敷きいる庭にて茶を点てるひとの指先初夏(はつなつ)を呼ぶ

050:活
夕陽浴び部活帰りを群れてゆく踊るもあれば跳ねるもありて

題詠blog2012 未投稿歌031~040

2012-09-20 02:35:16 | 題詠2012
031:大人
当麻寺行きて仏像に手を合わす大人の修学旅行流行りぬ

032:詰
詰襟の制服姿も晴れやかに君は卒業証書持ちたり

033:滝
近頃の女子に流行りし滝修行見栄やエゴなど洗い流して

034:聞
新聞を広げてみせて「これくらいだよ」と愛情の大きさ示す

035:むしろ
恋などといふよりむしろ愛かしら君の背中にそっと呟く

036:右
右目だけ鳶色だつたかの家のロシアンブルーのしなやかな風

037:牙
蝙蝠の舞ふ夕方は目に見えぬものたちの牙城昏き川床

038:的
端的にもの言ふばかりがいいでなし窓を見やりて雨音を聴く

039:蹴
幼き日缶蹴りをした公園のブランコの小さき影は変わらず

040:勉強
勉強は生涯逃れられぬもの道端の石が師匠にもなる

題詠blog2012 未投稿歌021~030

2012-09-20 02:06:27 | 題詠2012
021:示
桜色の人差し指で頁くり愛といふ字を君は示せり

022:突然

023:必

024:玩
耳元で玩具のマーチが響いてる子どもに戻る星月夜には
東北の瓦礫を拾い子供らの作る玩具の輝いており

025:触
指先の触れる音して早めたる歩調に君は気づいたろうか

026:シャワー
頭上より滝の如くのシャワー浴び「しゅぎょうみたい」と幼の歓声

027:損
損しても得とればよしといふ教え語りて君は改革をする

028:脂
脂身も骨もきれいに取り除き原型(もと)を知らぬ子ますます増える
青き背の魚の脂の成分で血液さらら長生きの素

029:座
くすくすと座敷わらしの笑ひ声君は聞いたかみちのくの夜
座布団を裏返し去る落語家の弟子は角帯きりと締めをり

030:敗
敗戦の記憶がかえる朝ドラの玉音放送を映像に見て

題詠blog2012 未投稿歌 011~020

2012-09-17 23:39:54 | 題詠2012

011:揃
二十四色揃いの色鉛筆水色ばかりが先になくなる
懐かしき紺のスーツは三揃い就活などと呼ばれぬ頃の

012:眉
咲き誇る桜の下に眉月のぎらり光りて刃磨けり

013:逆

014:偉
図書館の窓際の棚を占めていた偉人伝全集セピアの記憶
ガンジーやキュリー夫人に憧れて偉人伝読みし幼き吾よ

015:図書
夏休みの課題図書読み感想文追われて書きたる8月終わり
図書室に陽の長く入り一日の終了の鐘響きわたれり

016:力
悔やみごと遠心力でとんでゆけ宇宙の果てで塵にでもなれ

017:従 

018:希 
東北の希望となりし一本松春霞を背にすっくりと立つ

019:そっくり
亡き友とそっくりの顔して我を見る瞳の奥に揺れる湖
いつか見た夢の景色にそっくりな金の稲穂が揺れる秋晴れ

020:劇


題詠blog2012 未投稿歌 001~010

2012-09-16 13:51:35 | 題詠2012
百の題材のそこから、さらにいろいろな世界が広がりまして、
陽の目を見なかった(投稿しなかった)歌も倍くらいありました。
そのままにしておくのも可哀相なので、少しずつあげていきます。


001:今
湖岸にて石の羽根もつ白鳥(しらとり)の今にも飛ばん姿して立つ
今ここにページ繰りつついる命限りあること胸に刻まん

002:隣

003:散
灰色の空より数多散る花は大野一雄(おおの※)の命チューリップの赤
                        ※舞踏家=(故人)
畦道で散髪しいる理髪師の指の先から風通りゆく

004:果
雪雲を抱えし北の鈍色の空の果てから雁渡りくる
夕日浴びまどろみいたる果実酒の遠き記憶にある琥珀色

005:点
点ひとつがみるまに増える黒き影V字をなして雁の飛び来る

006:時代
捨てきれぬ時代遅れの洋服の肩パッドは我を威嚇している

007:驚
冷静な君の驚く顔を見て事態の重大なることを知る
冬にはや芽を出す庭の紫陽花の驚きながら危ぶみており

008:深
深々と頭を垂れて謝罪するテレビの中の見慣れたる景
湖に深く沈めた銀色の指輪が夜毎話しかけくる
引き出しの奥から出でしクレヨンの色は深緑いつかの春の

009:程
一枚の旅程眺めて世界地図頭の中にふわと広げる
今日はどの程度砂糖を加えよう紅きりんごのジャムを煮詰むる

010:カード
友達と思いし君のバースディカードから恋が零れ落ちたり