イマカガミ

こころにうつりゆくよしなしごとを・・・

ペンギンもクジラも

2007-11-09 23:53:36 | 
秒速2メートルで泳ぐ
を読む。amazonの該当ページ

激しくお勧め。

タイトルを見たときは
・流体の中をさまざまなサイズの生物が泳ぐときにはなにやらくりこみ的な、
運動状態に依らない速度に収斂するのだな
とか、
・きっと「ストロークの周波数X1ストロークで進む距離=一定」という関係式がある
という主張なのだろう(いわゆる、ゾウの時間ねずみの時間的な)
などと思ったものだ。
つまり水棲生物に物理的な考察を加えた本なのだと思って手に取ったのだ。

もちろん、そういう側面もなかったわけではないが、
この本の面白さは、著者と主にペンギンのかかわりの部分だ。
そこがなんとも言えずユーモラスで面白い。

例えば、ペンギンを捕まえる方法について述べた部分では
「巣でヒナを抱いているペンギンに姿勢を低くして近づいていく。
クエスチョンマーク「?」形の鉤をつけた棒を、そろそろと伸ばして、
サッと片足に引っかける。棒をゆっくりと手前に引き寄せると、
ペンギンは「おっとっと」といった感じで、意識と顔はヒナの方を向きつつも
足を引っ張られて人間の方にケンケンしながら近づいてくる。」

他にも、群れの中にいる過去に観測機器を取り付けたペンギンを
再度捕獲しようとするときにペンギンが挙動不審になる話や、
海中から水面へ上昇中のペンギンの写真など、
なんとも楽しげな様子が伝わってくる。
尤も、南極で実際に研究をするとそんなことばかりではないわけで、
いいところだけ凝縮した結果なのかもしれないが。

なんとも心引かれる本である。