エバーグリーン (いつまでもあほい)

酒と映画と本を愛し 音楽なら何でも
名前と同じで気(木)が多い

今更だけど
人間到る処青山有り  

むかし昔の

2019-06-02 05:46:12 | Weblog

田舎の母方の実家の墓所は 守り人が居なくなってしまったので
次第に手が入らず荒れてきている それを見かねて
というより 草が生え放題で盆や彼岸の墓掃除が大変なので
叔父と相談して 草の生えぬよう かたまる真砂土で被覆する事にして
数日がかりで土建屋の真似事をした
その様子を伺いに 墓の近所の知り合いが時折話にやって来る
(みな叔父と同年代の年寄りばかりだ)
老人たちの話は年月を超越してむかし語りが延々と続くのだが
それを傍らで聴いていて思い出したのは
平岩弓枝の 御宿かわせみ「むかし昔の」という一文
記憶をなくしてしまった老人がかわせみを昔の妾宅と
思い違いをして迷い込み 宿主は途方に暮れ
それを解決すべく東吾達が東奔西走するはなしだ
今の高齢社会を予見したかのような身につまされる秀作だった

抜粋

その老いのなかで、男が思い出したのは、むかし昔、

自分がひそかに通っていた妾宅と、

ひっそり自分を迎えてくれた女の面影だったのだろうか。


コメント
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