アジア人財事典

アジア人財カンパニー株式会社 井上一幸 がお届けする粋な話題の数々

読書のすすめ

2009-11-30 | メールニュース
皆さん、おはようございます。㈱グッドジョブクリエーションズの井上です。
本日はメールニュース第30号をお届けにあがりました。今年も残すところあと一ヶ月。皆さんにとって今年はどんな年だったでしょうか。
私はこれまで同様のペースで本を読んできました。平均して週一冊、一年でだいたい五十冊。その中で今年一番気になったのは、水村美苗『日本語が亡びるとき-英語の世紀の中で』。
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読書のすすめ
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まず誤解の無いように言いますが、この本には「英語が世界を覆い、日本語は消滅する」などとは書かれていません。ただ、日本語が廃れていくのは看過できない、という危機感は充分に伝わってきます。詳細は読んでいただくとして、その言わんとするところの一部を著者が別の場面で話しているので引用します。(日経新聞10月15日)

「話し言葉としての日本語は亡びないと思います。…ただ、優れた思考をしようとする人たちが、50年、100年先に本当に読みたい書き言葉としての日本語が流通しているかどうかが危うい、と思っているのです。」「日本語が亡ぶとしたら英語が基軸言語になったからではありません。日本人が勝手に日本語をだめにしていったのです。」

そう、そうなんです!「日本人が勝手に日本語をだめにしている」例としてまっさきに私が思うのは、「日本語はあいまいだから…」という巷にあふれる思い込み。

日本語あいまい説を信じきっている日本人のなんと多いことか。私に言わせれば、これは100%間違っている。もちろん、意味が二つに取れる表現を指して「あいまい」と言うのは正しいが、これはどの言語にも共通して見られることで、日本語の特性ではない。多くの場合「日本語あいまい説」が本当に意味するところは、「日本語は他の言語に比べて、相手を傷つけまいとする表現が発達している」ということである。「気づかい」や「思いやり」から生まれた立派な表現法だが、それを理解できなかった一昔前の外国人が、「日本語はあいまいだ」と言い始め、外国人の言うことは何でも正しいと思っている日本人が、うけ売りで言い広めたのだろう。

一番悔しいのは、日本語を勉強している現代の外国人が、日本人自身がそう言うのを覚えて、言い訳に使うことである。「ニホンゴ、アイマイダカラ、ワカリマセン」と。
だから、これをお読みのそこの日本人、もし今まで「日本語あいまい説」を信じていたのなら、今すぐ改めてください。

少し考えればすぐにわかるが、我々は複雑に入り組んだ現代社会の様々な現象を、日本語で正確無比に伝えて暮らしている。電気自動車もエコ家電も日本人技術者が日本語で考えて作り出している。難解な社会科学も語れるし、機知に富んだユーモアあふれる表現もできる。論理的な文章を書くこともできるし、ディベートすることもできる。同時に思いやりあふれる優しい表現もできるのである。あいまい、というのはただの思い込みです。

そして、本を読みましょうね。こういうことが書けるのも読書のおかげです。前出の著作によると、日本近代文学は世界の主要文学の一つ、ですよ。

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