アジア人財事典

アジア人財カンパニー株式会社 井上一幸 がお届けする粋な話題の数々

外国人採用に関する誤解と無理解 ②

2007-08-20 | マイビジネス
さて、前回に続いていわゆる“外国人”に対する我々の誤解と無理解について私の思うことを続けます。

①では、「留学生は卒業したら国に帰るんだろう」という誤解でした。
引き続き--

② 不法滞在も結構いるんじゃないの?
答え:いないとは言いません。でも彼らは表の世界にはあまり出てきません。

この疑問を受けることは①にくらべるとだいぶ少ないですが、疑っている人には何を言っても無駄、という類の疑問です。「御社で紹介する外国人のパスポートが本物かどうか証明できますか?」なんて言われても困ります!不法滞在の外国人が私たちのところへ職業紹介に訪れるとは思いませんし、ましては企業の面接に出向くなんて考えられません。意図的かそうでないかは別にして、不法滞在者になってしまったらひっそりと生きていくしかないと思います。

なお、「不法滞在」という単語から多くの方が抱くイメージは… 密入国、でしょうか?貨物船に紛れ込んで夜陰に乗じて上陸…なんて報道もありますから。
でもこれには注意が必要です。「不法残留」と「密入国」は大違いです。入国管理局のホームページでは「不法残留」という言葉が使われています。不法残留とはビザの期限が切れているのに出国の記録がない人です。彼らはパスポートは持ってますし外国人登録証もあります。ただ“期限切れ”なんです。(彼らを弁護する意図は毛頭ありませんが。)普通は「不法滞在」というと「不法残留」を指すことが多いと思います。ちなみに海外で「不法残留」となっている日本人も多数います。

ところが密入国となると悪どさが別格です。彼らは日本入国当初から確信犯です。パスポートは無いかニセモノ。行き先は確実に夜の世界。犯罪の舞台に顔を出している可能性も高いかもしれません。

どうでしょうか。少なからぬ人々が不法残留と密入国とを混同しているのではないでしょうか。少なくとも、コンビニのレジやレストランで見かける外国人留学生は、密入国ではありませんのでご安心を!


③ 日本語ができなければ商売にならないだろう。
答え:最初は誰でも苦労します。

私の見る限り、四年制大学を卒業する留学生の多く(だいたい8割くらい)は社内コミュニケーションには困らないだけの日本語力を持っています。理系で技術職に就くのであればそれで問題ないでしょう。ただ文系の卒業生ですぐに営業ができるか、となるとちょっと別。もちろん日本人の新卒と同じく最初は研修を受けさせてあげたいですが、それでもお客様の前で話ができるだけの日本語力を持っている学生は4割くらい、といった見当でしょうか。

ちなみに、本当に日本語がうまくて、電話だったら外国人だとわからない~、というレベルの学生もいます。これには本当に驚かされます。

なお、たいていの留学生は日本語能力試験の1級に合格しています。近年では1級でなければ大学に入学できなくなっているようです。ただ、この試験で測る日本語能力と仕事で使う日本語とはやや違うようです。私たちのTOEFL や TOEIC と同じで、いくら点数がよくても使い物にならない、という現象ですね。
一方、JETROが実施しているBJTビジネス日本語能力テストは、「しごとのにほんご」とのサブタイトル通り仕事現場を意識したテストになっていてお薦めです。このテストでJ1以上であれば(最上級はJ1+ )、営業に使える日本語をマスターしている、と考えていいでしょう。

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