Mo.の事件簿 A diary of Mo’s trips

事件簿などという大層なタイトルだが、実は単なる旅行記です。

25・ミケーネへ。

2008-09-02 | ギリシャ/Greece:2008
本日の行先はミケーネ遺跡。これもアテネ中心部から長距離バスに乗る。
昨日と似たような経緯をたどる。

ミケーネに行くには、昨日とは別の、キフィスウ・ターミナルへ行かなければならない。
でもこっちはわかりにくいとは書いてなかったし、
実際にも、地図を見ながら迷わず乗り場バス停に着いて、バスの運転手さんに
「キフィスウ・ターミナル?」と訊いて頷かれ、そのまま乗って行ったら、
終点がキフィスウ・ターミナルだったんだから、全然問題なかったんだけど、
……しかしこの乗り場バス停がなぜかごちゃごちゃした裏通りにある。
なぜこんなところをバス停にするのかさっぱりわからないよ。


もう一つ、わからないこと。
キフィスウ・ターミナルの建物に入って行って、切符を買う。その後バスプールに出る。
バスの発着所はそれぞれナンバーは付けられているものの、30か所か40か所のバス停があって、
そこからミケーネ行きのバスを探さなければならない。

普通「××行きは何番」という表示は、建物を出た正面にあるものでしょう。
しかし建物を出てもそういった表示は見当たらず。いやー、こういう表示がないってのは
やっぱりギリシャだよなー、と思いつつ一つ一つの場所を確認し。
しかしさすがに30か所を見て歩くのはあまりにも大変なので、
チケット売り場の人に訊こうと思い建物に戻りかけると。……あった。

……建物の出口の上の壁にこういう表示を貼っておくのは間違ってないか。
ってことは、建物から出た途端、後ろを見上げて確認しろってことだよね?
いや、知らなきゃ気づかないよ。どうしてこんなわかりにくい場所に表示しておくのだ。
やっぱりおかしいよ、ギリシャ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


ミケーネ遺跡の最寄のバス停まで、2時間とガイドブックにはあったのだが、
実際に乗っていたのは1時間40分。キフィティアというバス停で降りる。

……ミケーネ遺跡なんて有名どころなんだから、同じバスから降りる人がもっといると思っていた。
が、わたしの他には一組しか降りない。あれ?
降りたところにも大したものはない。個人商店をちょっと大きくした感じのスーパー?と、
他に数軒の建物。町では全然なく、集落というにも建物が少ない。
えー、例えて言えば、菅生辺りの田舎道によく似ている。まあ多少こっちの方が人はいそうだが。

ガイドブックには、ここから遺跡まで4キロと書いてある。
タクシーがあったら迷わずタクシーに乗ろう、と決めていたのだけれど、
菅生の田舎道のバス停に、タクシーが待機していると思いますか。
タクシーなんて絶対通りそうもない道路。

やっぱりなー、やっぱりなー。そういうことにはなると思ったけど。……歩くのか、4キロ。
まあ出たとこ勝負で玉砕するのはいつものことだ。他に方法がないというなら、
歩こうじゃないですか、4キロ。この激しい直射日光の下。

……少々未練がましく、小型スーパーに入って行って遺跡までの交通手段を尋ねてみる。
やっぱり歩くしかないようだ。店のおねーさんはにっこり笑って、
「この道をまっすぐ行って2キロくらいよ、がんばって!」……ううう。

でも2キロか。ガイドブックには4キロとあったが、実際はもう少し近いのかもしれない。
何といっても現地の人が言っているのだし。少し希望を持つ。
意を決して歩き始め、その道に書いてあった表示を見ても、やはり遺跡までは2キロ。
2キロなら。何とかなるだろう。多分。



A road to Mycenae.

歩き始めて5分くらいだろうか。
ほとんど車が通らないまっすぐな道で、珍しく一台横を通り過ぎて行ったと思ったら、
しばらく行ったところで停車する。運転席から女性が顔を出し、何事か大声で言っている。
急いで近づくと、どうやら乗せてあげると言っているらしい。

こういう時、乗りますか?乗りませんか?

わたしは乗ります。親切を受け入れていい人かどうか、という判断は自分で出来ると思いたい。
まあこの場合、男性一人だったらやっぱり断るだろうな。


しかし本当に天の助けでした。
女性は買い物帰りらしく、スーパーのビニール袋をたくさん乗せている。
車は普通のセダンで、……正直に言えばけっこう古く、ぼろぼろ。
乗っている間はお互い無言だった。わたしは話しかけてもらうことに慣れていて、
あまり他人に話しかけるのは苦手だし、相手が英語を喋るかどうかもわからない。

多分10分かそこら乗せてもらったと思う。距離で言えば2キロ前後。
女性は道路沿いの、とある店の前で車を止め、ここでホテルをやっていると言っているらしい。
ホテルというより民宿という感じの建物。ちょっと軽食堂的な佇まいでもある。
一瞬「客引きの一環として乗せて来てくれたのかな」という思いもよぎる。
お茶の一杯でも飲んで行った方がいいのだろうか。でも、これから先も長いしな……

結局「どうもありがとう」と言ってわたしはまた歩き出すんだけど、
彼女は気持ちよく手を振ってくれた。「じゃあね。遺跡までは2キロくらいだから」
……え?まだ2キロ?



Near Mycenae.

乗せてくれた人の民宿は写ってないのだけれど、町のたたずまいはこんな感じ。
道路沿いはレストランとお土産屋さん、民宿がほとんどを占めている。
ただ、人は歩いていなかった。暑いから外に出てないだけか、客そのものがいないのか。
この季節、客がいなかったらいつ来るのだ。
がらんとした印象の場所。

ところでレストランや民宿の名前に、アガメムノンやクリュタイムネストラ、
オレステスなんてのがごろごろあるんだが、いいのか。
呪われたアトレウス家の不吉な名前じゃないか。

ちなみにアガメムノンはトロイ戦争から帰ってきたら、その間に妃であるクリュタイムネストラに
不倫をされており、我が家に帰った途端に妻の愛人に殺されてしまうカワイソウな王様。
そのためクリュタイムネストラは実の息子オレステスに殺される。
しかしオレステスも母殺しの罪のため、狂人となって放浪する。
どう考えてもレストランの名前にふさわしいとは思えないのだが……

まあでもミケーネは彼らのお膝元。仕方ないのか。




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