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いいピアノを弾きたい

シューマン 幻想曲作品17 第3楽章

2009年07月17日 | 音楽教室
古典派との決別の1楽章で、たっぷり彷徨ったあと(しかし決して支離滅裂ではない)2楽章にいくのが順当ですが、これはあまりにベートーヴェンを意識しすぎて(後期のソナタの符点のリズム)爆発した楽曲。わたしたち女子供の手では「技術をさらいこむ」ことに最低20時間は費やすので、3楽章に進むことにしています。(笑)
『廃墟』『トロフィー』ときて3楽章は『棕櫚(しゅろ)』という原題があったそうです。「棕櫚」は椰子の木のことで 西洋では勝利、殉教というような意味の象徴だったそうです。

しかし勝利?殉教の意味を隠し持っているのか、この3楽章はロマンティックな分散和音の上にひそやかに美しいメロディが支配して転調を繰り返し高揚し穏やかに幕を閉じる。・・・とこんな説明文が陳腐の骨頂、私はこの曲の楽譜を電車の中で読んでよく涙します。実際弾いても初回は必ず泣いてしまい、2回目は涙はなく 血液が栄養を全身に廻らせてエネルギーに満ちてくるのを実感します。(3回目以降はふつうの状態に戻る)
へたな小説より 気持ちの整理になります。1楽章を弾き②楽章も逃げずに弾いたらもっとその感動は大きいでしょう・・・。2楽章を弾けないことは残念ですが、跳躍大好きな人におまかせして おいしいところだけ楽しみます。

写真は最後のC-durのⅠ度の和音の続く中 終止を前にⅣ度の和音のラの音を♭にしてシューマンの粋なメッセージと感じるところです。この30分近くかかる大曲の最後にこの和音を使うなんて!クララさんこういうところに惚れちゃったんだろうなあと勝手に思って弾いています。(笑)
Ⅰ楽章といいこれといいシューマンの終り方は格別優しい。