エルソル飛脚ブログ ~Run 4 Fun~

四万十川周辺をチョロチョロしている飛脚の記録です。

第20回四万十川ウルトラマラソン ~かなり私的な奮闘記 最終回~

2014年11月02日 | 四万十川ウルトラマラソン~レポート

■最終回■

カヌー館を出発。

カヌー館の出口は少し上り坂。
この時間に次に向かうランナーは少ない。

坂を上って車道に出る。
ここからはゴールまで試走もしていて土地勘もある。

次の関門に間に合わない絶望感を持ちながら走り出す。

「がんばれー!」
沿道の声援がアツい。
気持ちの整理がつかない。

「がんばれー!」
頑張れば次の関門もくぐれそうな気持になるが、
体が思うように動かない。

「がんばれー!」
声援が脚を進めてくれる。

ダメだ、やっぱり次の関門はくぐれない・・、
こんなところで終わるのか・・、・・嫌だ。

【終わりたくない・・】

「がんばれー!」
涙が出そうになるのを堪える。
「情けなさ」「不甲斐なさ」、いろんな思いが葛藤する。


網代の休憩所に到着。
トイレを済ます。

ここからは狭いクネクネ道を車に気をつけながら走る。

歩いたり走ったりを繰り返す。
前を行くランナーも全く同じ。

岩間の直線に入る。
直線は見通しがよく、はるか前方が見える。
まばらなランナー達に走っている様子が無い。

この直線は岩間の沈下橋に続いている。
沈下橋は渡りたい・・

カーブの向こうにエイドが見える。

68km地点、「岩間の沈下橋」に到着。


沈下橋の上にランナーはまばらで、ほぼ独占状態。
対岸のカメラマンが待ちくたびれている。

沈下橋の上は陽が傾き、静寂に包まれている。

ボランティアに聞いてみる。
「次の関門は閉まりましたか?」

「いや、まだイケますよ。あ、でもかなり厳しいですね~(笑)」
無理なのは承知していたが、
「まだイケる」という言葉に勇気をもらう。

走り出す。
少しだけ上っているのか、痛む脚が悲鳴を上げる。

70km地点通過。
何かひと区切りを終えたように歩き出す。

民家のボランティアによる「梨のエイド」、
楽しみにしていたが何もなかった。
今年は長雨の影響で不作だったのだろう・・、

走り出す。
前を行く二人のランナーを交わす。

茅生大橋を渡る。
ここをちゃんと走れていることが逆に悔しい・・。

橋のたもとは関門所。
その向こうを進んでいるランナーがいない。
関門アウトなのだろう。

走れる・・、悔しい・・。

橋を渡りきる。

【71.5km 関門タイムアウト】


レーシングチップを外され、ゼッケンの一部をちぎられる。

「終わった・・」

バスに乗せられ、他のリタイアランナーを待つ。
メールでいろんな人にリタイアを知らせる。

最後にバスに乗り込んだランナーは、
動けないらしく、両脇をスタッフに抱えられていた。

満員になったバスはクラクションを鳴らして出発する。
しばらく走ると車窓下に走るランナーが現れる。

ランナー達は諦めずに前を向いて走っている。
格好いい・・。
次の関門も厳しいはずだが、「ゴールを信じて走っている」。

バスは次々とランナーを追い抜く。
頑張るランナー達の姿をしっかりと目に焼き付ける。
「どうして自分はもっと頑張れなかったんだろう・・」
リタイアバスからたくさんの事を学ぶ。

川登地区を通りすがる時、「飛脚」の横断幕が目に入る。
応援隊のマネージャー女子(名目だけ)が額に手を当てて、
不敵な笑みでリタイアバスの中を伺っている。
「ヤバい・・」

バスは途中からマラソンコースを外れ国道を走り、
ゴール会場の中村高校のグラウンド上の堤防に到着する。

ゴール会場は次々と到着するランナー達の歓喜のゴールで賑わっている。

堤防からの階段を下る。
固まった脚が思うように動かない・・

ご近所ランナーを発見。
ゼッケンをちぎられている。
脚が攣って痛くて前に進めなくなって、自分からバスに乗り込んだらしい。
今年は脚が攣るランナーが多かったのか・・。

体育館で荷物を受け取り、皆のゴールを待つ。
飛脚達が一人ひとりと帰ってくる。
ゴールの表情はみんないい顔をしている。

飛脚応援隊長が今年はランナーとしてちゃんとゴールに帰ってきた。
彼女は数年前ランニングをゼロから始めて、今年60㎞を見事に走り抜いた。
まるで自分の事のように嬉しい。

間もなくして嫁が歓喜のゴールをした。
子供達が駆け寄る。
そういう光景が何だかとても嬉しい。
自分が勝手に走り出したウルトラマラソン。
ついに家族で喜びを共有する日を迎えることができた。

チーム飛脚の集合写真を撮る。
リタイアしたのは監督の自分だけ・・。
しかし、みんなの笑顔が美しい。

そして、念願の家族写真。

完走で嬉しそうな嫁と子供達の笑顔。
まばゆい光の中、家族は一枚の写真に納まる。

この写真一枚でこれからの人生をまだまだ頑張れる。

生きて生きて生き抜ける。

夜空は澄み渡り、「黄金色の照明」が降り注ぐ。

カナブンはちゃんと恩返しをしてくれた。

それにしても【やっぱり四万十ウルトラは最高だ】。

夜空を見上げながらつぶやく・・、

「去年94kmリタイア、今年71.5kmリタイアかぁ~」

「お父さん、もうウルトラマラソンは引退かな・・・」

次男「今決める事じゃあないね」

我らが飛脚達は、痛む脚に苦労しながら美酒が待つ宴会に向かう・・

■完■

~あとがき~
いや~長かったでしょう。
しかも、あまりにも「私的」な奮闘記でした。
まあ自分のブログなんで好き勝手やってもいいでしょう(笑)。

「完走記」ばかり(しかもスゴイ走力の方が多い)のブログの中で、
「リタイア奮闘記」を書くのはかなり恥ずかしいものです。

今回は71.5kmで関門アウトでしたが、
多くのリタイアランナー達と一緒に走りました。
皆それぞれが痛みを抱えながら一生懸命走る姿に勇気をもらいました。

リタイアや関門アウトとの葛藤や頑張りは、とてもドラマチックです。

そして、そんなランナーにも暖かく声援をくれる沿道の皆さん。
特に十和の学生達や西土佐の学生達の大きな声は、元気を一杯もらえました。

100kmという長い道のりは決して一人の力ではゴール出来ません。
ボランティアスタッフの応援、沿道の応援、
ランナー同志の励まし、仲間の力、
そして何より家族の力。

四万十ウルトラはそういう【人が持つ力の凄さ】を、いつも再発見します。

私自身は、年間のレースはコレ一本なんで、
冬はゆっくり休んで怪我をしっかりと直します。

春にちゃんと走れれば、
また大好きな四万十ウルトラを走りたいものです。

これを辛抱強く読んでくれた読者の方、
ありがとうございました。

~終わり~


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2 コメント

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Unknown (ken)
2014-11-06 20:48:19
エルソルさん 奮闘記ありがとうございます。
読みながらウルトラ当日をまた思い出して
少し涙がたまった自分がおりました。
しかし熱い思いがこもったレースだったんですね。
改めて完走できたのは、周りの皆様のサポートの
おかげってことを教えてもらいました。
家族写真素敵ですね。私は一人参戦でしたが、
沈下橋を含んだ四万十の情景は家族に見せたくなり
ました。次男さんの最後の言葉はその通りだと思います また次に向けて頑張ってください。
レポ熱かったです!
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kenさん、 (エルソル)
2014-11-07 00:04:47
心温まるコメントありがとうございます。
「あまりに私的なこと」はさておき、
レース道中の苦しみはランナー共通のもので、共感出来る部分も多いのでは?と勝手に思っています。
(脚の痛みを思い出すランナーさんもいるようです・笑)
しかし本当は70㎞以降の壮絶な闘いがドラマチックなのですが、今回その辺が書けずに悔しい思いです。
kenさんは今回体験しているんですよね~、素晴らしいですね。
沈下橋の上は四万十川を堪能できる一番の場所です。
是非、来年は家族でお越しください。
(・・って軽く言えないくらい遠いのは承知です。あ、抽選もあるか・・笑)
レポートが熱いのは、私の年間のレースがこれ一本だからです。
今は全く走らず、ケガ(クルブシ痛)のケアをしておりますが、
春に調子良ければ必ずエントリーすると思います。
長~い奮闘記の完走、ありがとうございました!
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