エルソル飛脚ブログ ~Run 4 Fun~

四万十川周辺をチョロチョロしている飛脚の記録です。

エルソル大阪物語■7■「クセが強い・・」

2018年01月12日 | エルソル大阪物語

■7■


理容科の授業は主に副主任「7:3古尾先生」と「若い藤本先生」が進めました。

「古尾先生」の授業はいつもピリピリしていて大変でした。
「授業中私語禁止!!」と早口できつく怒鳴り、
物音もしない静寂が訪れるまで何分でも睨み続けます。

細身の体の動きは限りなくロボットで、
軍隊のような授業は評判が悪く、すぐに反発する者が現れました。

高卒の『藤君』はいかにも典型的な大阪人で、古尾先生に対してもお構いなしでした。

古尾「遅刻してきた者は罰則!!前に立って鋏操作しなさい!」

 藤「いやいやちょっと待ってぇな、ちょっと聞いてください」
  「朝ウンコしようと思ったら、先にオカンが入ってあんねん」
  「早よせえ!言うてもな、なかなか出てきよらへんねん」
  「学校遅刻するやんけ!!いうてもアカンねん」
  「ウンコ我慢したらお腹痛なるからな」 
  「もう我慢限界で腹立って冷蔵庫殴ってん!ガンいうて」
  「見て先生、手ェ血だらけや、ホラ・・」
  「・・よう見たら血ぃ出てへんけど」
  「・・よう見たら皮ちょっと剥けてるだけやけど」
  「まあまあまあ、そんなんでちょっとだけ遅れた訳ですワ」

古尾「いい訳無用!さっさと前に立ちなさい!」

 藤「いやいや先生、前に立たなアカンのは僕のオカンですワ」
  「連れて来ましょか・・、まだウンコしてるかもしれんけど(笑)」

「堅物古尾vsお笑い藤」はまるで大阪名物「新喜劇」のようでした。

「藤」は洋楽に詳しくて、僕達はそれで仲良くなりました。
時代の流れで、レコード盤からCD盤に替わり始めていました。
僕はCDの「チキチキ」した音が嫌いで、路上で外人が売っている海賊版の洋楽テープを買ったりしました。
しかし新しく発売されるものはもうCDばかりで、
CDデッキを持っていない僕は藤によくダビングを頼みました。

「藤」は、
遠くを見回すようにアゴをあげて首を伸ばすのがクセでした。
何故か「ギッコンバッタン」と歩きました。
常に教室の隅々までチェックしているようで、
遠くからでも「それアカンでぇ~!それはな・・」とツッコミを入れます。
典型的な関西の「イッチョカミ」です。

下校時、学校近所のガンショップで発砲事件があったらしく、
報道陣が群がっていました。
「誰かこのガンショップについて知ってる人はいませんかー!?」
TVカメラの横でリポーターが僕達に問いかけました。

「知ってる知ってる知りすぎですワー」
「これって何チャン?関西テレビ?何時のニュース?」
たぶん何も知らないであろう「藤」が興奮しました。
当然藤にカメラが向けられ、インタビューが始まりました。

藤「いやいや、いつかはこんなんなると思ってましたワ~」

傍で見ていた幼顔仲田がつぶやきました。

仲田「上田君、あのカメラよう見てみ、電源入っとらへんワ(笑)」


イッチョカミ藤のなだめ役は同じ高卒組の『堀之口君』でした。

『堀之口』も根っからの大阪人で、
毛深い顔とデカイ体で一番後ろの席にドシンと座っていました。
「堀之口」は大柄な体に似合わず胃腸が悪いらしく、
よくトイレに行っては「またコーン出たワ」とダミ声で言いました。

堀之口「俺ナ、ごっつい胃腸悪ぅてナ」
   「スイカ食ったら必ずウンコの中にタネ混じってあるねん!」
   「コーン食ったらコーン出てくるねん!」
   「それでナ・・この前なんかナ・・ウンコ済んでナ・・」
   「拭いても拭いてもケツに残ってるウンコがあんねん!」

  藤「拭いても拭いてもか?」

堀之口「そ、そ、拭いても拭いてもやねん!」
   「それでナ、勇気もって紙丸めて摘んでみてん・・・」
   「そしたらナ・・」
   「クソにまみれた糸コンがトゥルルルルッと出たねん!!」
   「ガハハハ!」

  藤「・・お前、ケツ之口やなあ~!」

堀之口「やかましわ!皮がノビヒロ~!(藤ノブヒロ)」

堀之口と藤にはよくディスコに連れて行ってもらいました。
「NASA21」「ダンバー363」に「マハラジャ」。
入り口でキメキメ店員による服装チェックなんかがあって、服にはかなり気を遣いました。

「NASA21」は、堀之口がバイトしている関係でよく行きました。

「ハレル~ヤ♪ハレル~ヤ♪・・」

流行のユーロビートがガンガンかかっていて、みんな曲に合わせて同じ踊りをしていました。

堀之口と藤は踊り慣れていてとても格好良く見えました。

僕は少し踊ってはカウンターで酒を飲み、

どちらかというと「雰囲気」に酔っていました。

■7■


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