■68■
【5月の終わり】
『学校職員組』が日本橋の居酒屋で「お別れ会」を開いてくれました。
長島先生、古尾先生、武ちゃん、水落君。
長島先生「とりあえず乾杯するか・・、じゃあ乾杯~」
上田「古尾先生はやっぱりお酒はダメなんですか?」
古尾先生「カンベンして上田、・・飲んだら倒れるワ(笑)」
上田「いや~皆さんには随分とお世話になりました。」
「もう何の言葉もありませんワ」
「ありがとうございました」
長島先生「寂しなんなぁ~」
上田「ホンマ、何かごっつい寂しいですワ・・」
長島先生「これからこんな魚よりもっとええ魚毎日食えるんやろうな~」
刺身に手を伸ばした長島先生が続けました・・
長島先生「お前覚えてるか?」
「関美の生徒の頃、入学式の次の日やったかな・・」
「みんなに『明日学校に雑巾2枚持ってきて』って言うてな」
「後から『しまった』って思うとってん・・」
「お前田舎から出てきて一人暮らしやったからな」
「雑巾なんか無いやろな~って心配しとってんや・・」
「そしたら次の日、お前ちゃんと2枚持ってきたやろ?」
「よう見たら手縫いやったワ」
「綺麗な粗品タオルをヘタクソに縫ってあったワ・・」
「その話をしてからウチの嫁はずっとお前のファンやで、ハハハ」
「夜中まで縫ったんやろな~って」
上田「覚えてますワ」
「電話もなかった頃で相談相手も居なかったし」
「もう『知るか』思うて適当に縫いましたワ」
「小学校の家庭科が活きましたワ」
「しかし、ようそんな昔の些細な事を覚えてましたね~」
サラダばかり食べている古尾先生が続きます・・
古尾先生「ボクもお前の昔の事覚えてんで~」
「お前、生徒の時、東のシェービングモデルに手を挙げたやろ~?」
「東がお母さんに言ったらしくてな、」
「学校までお礼の電話がかかってきたで」
「『友達も出来ないウチの子に・・ありがとうございます』って」
「電話の向こうで泣いてたワ」
「よほど嬉しかったんやろな~」
上田「そうやったんですか・・」
「ヤツが持ったカミソリに横になって目をつぶるなんて・・」
「今やったら絶対嫌ですワ!!コワイもん!」
長島・古尾「ハハハハハ」
古尾先生「関美生徒から関美助教師、」
「助教師から修行に戻って、ちゃんとお店を出すってスゴイことやで」
「関美理容部の誇りやで!」
古尾先生が大袈裟に言い放ち、上手な笑顔をつくりました。
上田「そうそう古尾先生、やっぱ『関美』ですよね~!」
「なんで『グラムール』なんかにしたんやろ?」
「いろいろありましたけど、『関美バンザイ』ですワ!」
ビールが進みはじめ、すぐにほろ酔いになりました。
長島先生「お前らのクラスはホンマいろいろあったな~」
「歴代1、2番を争う大変なクラスやったワ」
水落「ボクもあのクラス、入った瞬間に『ヤバい』思うたもん(笑)」
酒が弱い水落君が頑張って酎ハイを飲んでいます。
上田「あのクラス、水落君が居ってくれて助かったワ」
「『普通の人』が居れへんかったもん・・」
古尾先生「確かに普通じゃなかったな~(笑)」
「そういや、お前東京に就職に行ったな」
「なんでダメやったん?」
上田「完全に背伸びしすぎましたワ」
「足元も見えてへんし、進む方向さえ分からんでした・・」
長島先生「若いうちは『背伸び』はせんといかん」
「背伸びしとかんと本当に伸びんもんや・・」
「お前にとってはええ背伸びやったんちゃうか?」
上田「そうですね、あれで地に足が着いた感じがします」
長島先生「それからまた偶然に藤本先生が病気になってな~」
「上田先生誕生や」
武ちゃん「いや~、うれしかったで~!」
「同じ南海電車って聞いたときから『やったー!』思うたな~」
「やっと竹中先生から逃れれるって(笑)」
長島先生「ユミか?」
「そういや~今日呼ぶの忘れたな・・呼ぶか?」
上田・武ちゃん「アカン、アカン、アカン!」
全員「ワハハハハハ」
古尾先生「それから水落に先生交代か~」
水落「僕にとっては『渡りに船』でしたワ、ホンマ」
「けど、そっからの上田君えらかったな~」
「店探しはハンパじゃなかったもんな~」
武ちゃん「ウチにもよう泊まりに来てたでな」
「夜中にブツブツうるさかったワ!(笑)」
武ちゃんと長島先生はついに日本酒に手を出しました。
上田「あの半年についての『正解』は分かりません」
「でも後悔は無いですね」
武ちゃん「それからしばらくして、まさか関美の店で店長やるとはな~」
「関美に縁ありすぎやな」
長島先生「人探しに困ってる時に、お前が現れたのにはビックリしたワ」
古尾先生「ホンマですね~、上田から後光が差してたワ」
上田「ハハハハ」
「いや~、何もかも勉強になりましたワ」
「こんなに大阪でやれるとは思いもしませんでした」
関美理容部と武ちゃん、
みんな年上なんで、正直な思いを素直に口に出来ます。
居心地のいい集まりで、時間はあっという間に過ぎていきます。
長島先生「高知に帰っても頑張りや!」
古尾先生「上田やったら大丈夫やからな、頑張ってな!」
武ちゃん「大阪で店出しぃ~や」
水落「高知の引っ越しは呼ばんといてよ!」
【長島先生】
大阪に出てきた頃、初対面の第一印象は「ジャンボ鶴田似」でした。
いろんな散髪屋さんで働いてきましたが、自分の「師匠」はこの方です。
自分の人生は「長島先生」抜きでは語れません。
それ位お世話になりました。
【古尾先生】
第一印象は「神経質なサイボーグ」でした。
大変可愛がって頂き、いつも真剣に話を聞いてくれました。
【武ちゃん】
第一印象は「背の高いカマっぽいロン毛の先生」でした。
兄貴分で、弱い自分を温かく見守ってくれました。
【水落君】
第一印象は「がっちりした柳沢シンゴ似」でした。
年上ですが、関美同期生です。
「富長の鋏」、そして水落君に頂いた「コーム(櫛)」は、
必ずCUTの最初に使うと決めました。
上田「みなさん、ありがとうございました!」
「ホンマにみなさんには下積みの頃から支えてもらって・・」
「感謝してもしきれないです!お世話になりました。」
「正直、関美に入ったときはどうなることかと思ったけど(笑)」
「ホンマに『関美バンザイ』ですワ!」
本当にこの方々には足を向けて寝られません。
自分を「大きく」、そして「強く」育ててくれました。
■68■(次回最終話)
最新の画像[もっと見る]
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます