エルソル飛脚ブログ ~Run 4 Fun~

四万十川周辺をチョロチョロしている飛脚の記録です。

エルソル大阪物語■63■「今日の雨はいい雨だ」

2018年02月01日 | エルソル大阪物語

■63■


「中沢カズヒロが東京でバンドやっててCD出してるらしいで」

高校の同級生、ショウジローが電話口で言いました。

東京で挫折した僕に的確なアドバイスをくれた彼、
ショウジローは神奈川の大学を出て地元高知で高校教員になっていました。

 上田「へぇ~、スゴイね~」
   「バンド名は?」

ショウジロー「【ザ・チャン】!」

 上田「チャン?・・オモロイ名前やね~」
   「しかし、どっかで聴いた事あるような・・・」

「野人」のような同級生ナカザワがCDなんか出すとは・・

6月梅雨入りした頃でした。
いつもBGMにしていた「FM802」で、DJヒロ寺平が軽快に曲を紹介しました。   

「今月のヘビーローテーションはこの曲!」

「ザ・チャン~今日の雨はいい雨だ~!」

「♪~~」

上田「ん?、今、チャンって言うた?」

 藤「チャン、言うたで」

上田「何ぃ~!?」

FMから流れてくるその軽快な楽曲に耳を疑いました。

それから間もなくして、
ライブハウス「WO’HALL」の津島支配人がCUTに訪れました。

津島「今度FM802の公開録音ライブがあるけど、来る?」
  「ザ・チャンっていってたなぁ」

上田「行きます!行きます!」

高校の同級生でヘアテックの顧客でもあった
「劇団赤鬼」のシモムラ(あだ名ヘモ)を誘って観に行きました。

「WO’HALL」入口でPASSをもらい、少し緊張しながら足を進めました。

もう既にライブは始まっていて、しかも大盛況でした。  
舞台上ではやはり間違いなく、「野人中沢」がベースを弾いていました。

上田「やっぱり中沢やな、アレ」

ヘモ「間違いないワ!スゲ~~」

ライブが終了して司会DJとボーカルのトークに移り、他のメンバーが舞台裏にハケました。
ヘモと一緒に急いで裏に回りこみました。

スタッフの一人をつかまえました。

  上田「チャンのナカザワ君を呼んできてもらえませんか?」

スタッフ「関係者ですか?」(疑い)

  上田「そうです!」(ウソ)

キョロキョロしながら出てきたのは、
間違いなく高校時代の同級生「野人中沢」でした。

中沢「おーっ!!どうしてこんなとこにいるの~!!」

中沢の第一声は高校時代そのままの地声のデカさ・・

上田「お前こそ何で~?」

ミュージシャン・劇団員・散髪屋、
異色の3人は舞台裏通路で久しぶりの再会にハシャギました。

スタッフ「公開録音中なのでお静かに!!」(キレかけ)

何度か叱られた後、場所を玄関ロビーに移しました。

中沢「で、ヘモは何してるの?」

ヘモ「劇団やってんねん」

上田「コイツの劇団赤鬼、今結構売れてるんよ~」
  「なかなかスゴイで」

ヘモ「中沢のほうがスゴイわ、ビックリした!」

中沢「まさか高校の同級生に会えるとは思わなかったよ・・」

上田「人生オモロすぎるな~」

しばらくの間、楽しいひとときを過ごしました。


そして後日、

久しぶりの男がお店を訪れました。

「上田ぁ~~、元気してたかぁ~?」

ヨシモトの漫才師、ショウショウの羽田昇平です。

上田「うぉーっ、健ちゃんやん!久しぶりやな~~」

昇平「上田、お前出世したな~、難波で店長か!?」

上田「健ちゃんこそ、なんば花月に出てるやろ!」
  「そうそう、前にTVでもチラッと見たで!」

昇平「チラッとっていうなーー!」
  「それより腹減ったから食いに行こうや」

上田「おう、行こ行こ」

近くのトンカツ屋に連れて行きました。

上田「健ちゃんトンカツ好きやったやろ?」

昇平「よう覚えとるな・・、中津の洋食屋、まだやってるかな~」

久しぶりの再会、
そしてお互いに今現在も頑張っている事が嬉しく思い、長い時間飲み食いしました。

昇平「上田!まだ付き合え!」
  「次はオレに任せろ!スナックや!いきつけやから」

千日前の雑居ビル3階の小さなスナックに連れて行かれました。

健ちゃんが扉を開けた瞬間、
店内のお客さんから大きな拍手と歓声があがりました。

「昇平ーーッ」「昇平ーーッ」

このスナックでは随分と人気者です。

健ちゃんはステージに上がり、モノマネや上手な歌を披露しました。

お客「おまえも芸人やろ!?何かやれ!」

上田「芸人ちゃいますワ!ムリムリ」

健ちゃんはひと通りのネタをやり終え、カウンターに戻ってきました。

上田「そうそう、福嶋が八幡浜で店出したワ」
  「思ったよりしっかりしてて、頑張ってんで~」

昇平「知ってるワ、オフクロさんがやってる『スナックこけし』」
  「30周年イベントとか言うてな、漫才で呼ばれたワ」
  「行ってビックリ、八幡浜市民会館満員御礼や!」
  「アイツのオカン、何モンやねん!」

上田「たしか菅原都々子のお弟子さんって言うてたな~」
  「ほら、『月がとっても青いから~~』の・・」

昇平「オフクロさん、美容院にスナック・・」
  「女手ひとつでアイツを育てて・・」  
  「オフクロさん大事にせぇ!って言うてきたったワ」

スナックは健ちゃんの「ツケ払い」でした。

外に出ると通行人から声を掛けられます。

通行人「昇平や!」
通行人「あれ昇平ちゃう?」

やはり、なんば花月の舞台に立っている健ちゃんは有名人でした。

通行人「横のヤツ誰や?」
通行人「あの横のヤツは相方?」

チラホラ聞こえてくる声はコワイものでした。

健ちゃんが「一休さ~~~んっ!!」と仮想の馬で走りました。

通行人「お前も何かやれーー!」

上田「できるかーーー!!」

ミナミの暗く淀んだ空からは雨が落ちてきました。

みんなそれぞれ頑張っている。

「今日の雨はいい雨だ」

■63■

ザ・チャン「今日の雨はいい雨だ」


ショウショウ昇平と・・


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