人生で私に最も大きな変化をもたらしたのは、このアレキサンダーテクニックという身体の使い方テクであることは疑いの余地がない。
初めてこれに出会ったのは三度めの留学をする少し前のこと。
劇団昴が毎夏開催しているRADA IN TOKYO というプロの俳優向けワークショップにおいて。
英国の王立演劇学校ROYAL ACADEMY OF DRAMATIC ART 通称RADA で使用している、からだの使いかた法である。
からだの芯、いわゆるインナーコアinner core をじっくりゆっくり鍛えながら、しなやかで強い身体を作る。
決して声と喉に負担をかけないよう、あらゆる動きに対して、常に無理なくバランスをとれる身体を作るのだ。
しかも、心の微妙で繊細な動きに即座に反応し、表現できる身体を。
この三月に私は一時声を失なったが、実は以前にも声が全く出なくなったことがあった。
ある12月、米国からの演出家が開いた二週間の演技ワークショップの通訳をしていたときのことだ。
風邪だと思っていた。
それにしては、風邪らしい症状はない。
変な風邪もあったものだ。
声の全く出ない囁きで最後まで通訳はした。
すいません。
RADAからアレキサンダーの先生、ILAN REICHELがやって来たのはその次の夏だった。
彼は百年前の舞台俳優アレキサンダーが声を失い、それを取り戻すまでの話をしてくれた。
*****
かなり成功している若い俳優アレキサンダーはある日、声の調子がおかしいことに気がついた。
医者に行くと「少し使いすぎているだけ。休みなさい。」と言われた。
休んでは使いを繰り返すがついに舞台の上で声が出なくなってしまった。
医者に行っても身体的な異常はとくに見当たらないと言われる。
アレキサンダーはふと思った。
「肉体的に悪いところがないのなら、使い方が悪いのかもしれない。」
そこで部屋に鏡をたくさん置いて、自らの一挙手一投足を観察し始めた。
それに子供と動物のからだの使い方の観察。
子供や動物は、あんなに小さな身体からどうしてあんなに響く声を出せるのだろう。
そしてついに頭・首・背中のバランスが声に大いなる影響を与えることを発見した。
彼は自分を治し、噂を聞いてやってきた仲間の俳優や教師、弁護士といった、声を職業にする人たちを治し始めた。
治療が評判になると、問題が起きた。
医者たちに無免許治療を訴えられたのだ。
アレキサンダーは医者たちに提案する。
「私のしていることが、からだに良いことか悪いことかを一緒に判断してください。悪いことなら今後、他者への治療はいたしません。」
結果、アレキサンダーの発見したことと治療の方法、その伝授のしかたすべてに正当性が認められた。
アレキサンダーはその後、英国に渡り、開校したばかりのRADAで俳優指導をし90歳を越えるまで現役で過ごして寿命を全うしましたとさ。
******
半年前に声を潰していた私は、この話を心の中で自分に重ね合わせながら通訳した。
自分では正しいと思っている使い方やストレスがないと思っている在り方を見直し始めた。
その効果が今の三輪えり花です。
信じられない運動音痴で頭とからだが全く連動していなかったのが、数式が溶けていくように繋がってきたの。
霧が晴れるように自分のからだが内側からも外側からも見えてきたって感じ。
バカとハサミは遣いよう、なんて諺のない国、オーストラリアで、異常がないなら使い方が悪いのかもと思い至ったアレキサンダー!
並の人なら考えもしないだろうに。
このアレキサンダー・テクニックは、今では世界の俳優や歌手や教師・弁護士・政治家ら、声を遣う職業の人のみならず、心身調整やセラピーにも使われています。
♀えーっと、じゃ、なんで今年の三月に声を無くしたんですか?
♂自分を酷使してきたこの数年間、病気をしたことさえなかったのは、アレキサンダーテクニックのおかげです。
が今年に入る頃から環境が激変。
休める、と思った瞬間に来ました。
声は休みたがっていたのだと思います。
これも良いきっかけと学びになりました。
*** 信頼できるアレクサンダーテクニックに触れられるところ
アレクサンダーテクニックアソシエイツ
http://www.alexandertechnique.co.jp/index.php
↑ 以前、演劇学校で私の生徒だった上原知子さんが講師になっています。
私も彼女のレッスンを受けましたが、とてもよい。
都内だと、目白でグループレッスンが受けられる、はず。
初めてこれに出会ったのは三度めの留学をする少し前のこと。
劇団昴が毎夏開催しているRADA IN TOKYO というプロの俳優向けワークショップにおいて。
英国の王立演劇学校ROYAL ACADEMY OF DRAMATIC ART 通称RADA で使用している、からだの使いかた法である。
からだの芯、いわゆるインナーコアinner core をじっくりゆっくり鍛えながら、しなやかで強い身体を作る。
決して声と喉に負担をかけないよう、あらゆる動きに対して、常に無理なくバランスをとれる身体を作るのだ。
しかも、心の微妙で繊細な動きに即座に反応し、表現できる身体を。
この三月に私は一時声を失なったが、実は以前にも声が全く出なくなったことがあった。
ある12月、米国からの演出家が開いた二週間の演技ワークショップの通訳をしていたときのことだ。
風邪だと思っていた。
それにしては、風邪らしい症状はない。
変な風邪もあったものだ。
声の全く出ない囁きで最後まで通訳はした。
すいません。
RADAからアレキサンダーの先生、ILAN REICHELがやって来たのはその次の夏だった。
彼は百年前の舞台俳優アレキサンダーが声を失い、それを取り戻すまでの話をしてくれた。
*****
かなり成功している若い俳優アレキサンダーはある日、声の調子がおかしいことに気がついた。
医者に行くと「少し使いすぎているだけ。休みなさい。」と言われた。
休んでは使いを繰り返すがついに舞台の上で声が出なくなってしまった。
医者に行っても身体的な異常はとくに見当たらないと言われる。
アレキサンダーはふと思った。
「肉体的に悪いところがないのなら、使い方が悪いのかもしれない。」
そこで部屋に鏡をたくさん置いて、自らの一挙手一投足を観察し始めた。
それに子供と動物のからだの使い方の観察。
子供や動物は、あんなに小さな身体からどうしてあんなに響く声を出せるのだろう。
そしてついに頭・首・背中のバランスが声に大いなる影響を与えることを発見した。
彼は自分を治し、噂を聞いてやってきた仲間の俳優や教師、弁護士といった、声を職業にする人たちを治し始めた。
治療が評判になると、問題が起きた。
医者たちに無免許治療を訴えられたのだ。
アレキサンダーは医者たちに提案する。
「私のしていることが、からだに良いことか悪いことかを一緒に判断してください。悪いことなら今後、他者への治療はいたしません。」
結果、アレキサンダーの発見したことと治療の方法、その伝授のしかたすべてに正当性が認められた。
アレキサンダーはその後、英国に渡り、開校したばかりのRADAで俳優指導をし90歳を越えるまで現役で過ごして寿命を全うしましたとさ。
******
半年前に声を潰していた私は、この話を心の中で自分に重ね合わせながら通訳した。
自分では正しいと思っている使い方やストレスがないと思っている在り方を見直し始めた。
その効果が今の三輪えり花です。
信じられない運動音痴で頭とからだが全く連動していなかったのが、数式が溶けていくように繋がってきたの。
霧が晴れるように自分のからだが内側からも外側からも見えてきたって感じ。
バカとハサミは遣いよう、なんて諺のない国、オーストラリアで、異常がないなら使い方が悪いのかもと思い至ったアレキサンダー!
並の人なら考えもしないだろうに。
このアレキサンダー・テクニックは、今では世界の俳優や歌手や教師・弁護士・政治家ら、声を遣う職業の人のみならず、心身調整やセラピーにも使われています。
♀えーっと、じゃ、なんで今年の三月に声を無くしたんですか?
♂自分を酷使してきたこの数年間、病気をしたことさえなかったのは、アレキサンダーテクニックのおかげです。
が今年に入る頃から環境が激変。
休める、と思った瞬間に来ました。
声は休みたがっていたのだと思います。
これも良いきっかけと学びになりました。
*** 信頼できるアレクサンダーテクニックに触れられるところ
アレクサンダーテクニックアソシエイツ
http://www.alexandertechnique.co.jp/index.php
↑ 以前、演劇学校で私の生徒だった上原知子さんが講師になっています。
私も彼女のレッスンを受けましたが、とてもよい。
都内だと、目白でグループレッスンが受けられる、はず。