絵描き家さんのデタラメdiary

自分の趣味や日常生活で感じたことをまったりと書き綴っています。

横山秀夫「震度0」

2006年06月01日 22時26分20秒 | ミステリー
一人の県警幹部の失踪によって起こる、
警察内部における利害関係の衝突を描いた作品。
キャリアとノンキャリアの対立という図式はよくありますが、
己の利益のみで動く幹部達の姿を描く筆者の力量が、
物語をよりリアルにしています。
事件そのものにはインパクトは無く、
野心や保身が交錯する権力闘争が色濃く描かれています。
本人のみならず、
それぞれの妻による腹の探り合いもエグイです。
物語には最後まで人間の醜態が描かれています。
最後にはやや希望を感じさせる部分もありますが、
その後に登場人物達が変わると思えるほどではないです。
警察官僚全員がそういう訳ではないでしょうし、
警察の内部事情を知るはずもありません。
しかしやけにリアリティーを感じるのは、
やはり筆者の力量によるところが大きいのでしょう。