イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

GENE[ゲーン](16) ミハイル、その愛

2007年05月24日 08時18分44秒 | 小説

 ポツン〈太大陸〉近辺の〈嵐の海〉に浮かぶ小さな島国として存在し、徹底した鎖国を貫き不戦を掲げながらも、真・天空帝国の…と言うよりチーイン王朝の最後の皇太子ラカ・チーイン・チーインの虚像に踊らされた国々の欲望の顎に滅ぼされた天空帝国の300人以上いた皇室の末席として生を受けながらも、市井の民草は同じく奴隷売買された者生き残りがいるかもしれないけれど、皇族他の誰もが処刑されラーチョオ王朝皇室の唯一の生きにして、今は亡きエルネスト・ヤーゴ・レイダー公爵の“至宝”たる二形(両性具有)の主人公イリ・イン・チャンシャン(旧姓★ラーチョオ)の幸福を己が幸福と思い定め、その存在自体が至福ゆえに影のように寄り添い、無償の愛を捧げる黄金の騎士ミハイル・リンゲルバウアーTVアニメ版『北斗の拳』の挿入歌「愛は魂(こころ)」♪ユリア(山本百合子)

 第3巻『紅蓮の稲妻』の「1 国葬」ともすれば狂気のままに暴走しかねないタオホンの琥珀色した瞳を、ミハイルは真っ向から見つめてひるむ素振りもない。ただ押し黙り、自分の意思を貫く姿勢だけを見せる。「……ふふん、いいだろう。俺は自国の民以上に異国民が嫌いだが、その度胸に免じ、これよりイリのあるところ、いつでも出入り自由の許しを与えよう」「…………」無言のまま、ミハイルは頭を垂れて感謝を示した。目をあげると、タオホンに引っ張られてよろめきながらも振り向くイリと視線が合い、唇に自然な微笑みが浮かぶ。いまにも泣きそうに引きつっていたイリの頬に、強がりからか苦い笑みがよぎった。ここにサーシャがいれば、命を賭してもタオホンの手から嫌がっているイリ奪い取っていたかもしれない。そのあとでどんな責め苦が待っていたとしても、どんな苦境に陥ろうとも、サーシャは後悔しないだろう。だがミハイルにはミハイルの命の賭け方があった。見守ることでしか自分のやり方を通せないミハイルは、もどかしさを感じつつも二人のあとを追う。”(P.36~39)とあるように、ミハイル見守り続けました…愛するイリ如何なる時も寄り添う影のように常に傍らに、そして死の淵イリ追い詰められた時は身を挺して守りました。チャンシャン王国亡命して10年の時を経てイリ心の奥底に封印していた愛ヤンアーチェに告げ、13年前父と台閣が真・天空帝国の侵略に加担したせいで後見たる一族祖国と共に失ったイリ台閣の猛反対を蹴散らしたヤンアーチェ正妃として迎え彼の息子を産み母となった後も、イリを愛し見守り続ける…それがミハイルの幸福です。

 画像は、篠原千絵先生の『天(そら)は赤い河のほとり』極悪人のポジションに追いやられたナキア皇太后&彼女に死を賭して献身し無償の愛を捧げたウルヒ・シャルマです。また、ウルヒ河惣益巳の『サラディナーサ』フロンテーラ一族の女性の歴代惣領の中で、惣領である愛する妻のためだけに竪琴を爪弾き歌った“吟遊詩人の夫”と共に、私にとっての理想のミハイル像の1人でもあります



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