幸せに生きる(笑顔のレシピ) & ロゴセラピー 

幸せに生きるには幸せな考え方をすること 笑顔のレシピは自分が創ることだと思います。笑顔が周りを幸せにし自分も幸せに!

「私は負けない 『郵便不正事件』はこうして作られた」村木厚子著 江川紹子(聞き手・構成)”誰でも虚偽の自白調書にサインしてしまいます。実際多くの事例がありました”

2018-12-06 09:15:00 | 本の紹介
・洪水のようなマスコミ報道、逮捕、取り調べ、起訴、164日間の勾留、裁判、無罪判決、そしてフロッピーディスクの改竄の発覚・・・。

・有罪率99%の日本の司法の中で、私は幸いにも無罪判決を得ました。さらに幸いなことに、検察が控訴を断念したことによって、「被疑者」「被告人」という立場から1年3カ月ほどで解放されました。

・今振り返ってみても、本当に幸運だったと思います。
 ・心身ともに健康で、拘置所の生活でも健康を崩すことはありませんでした
 ・収入の安定した夫がいて、私が被告人になって収入がなくなっても家族の生活を心配する必要がありませんでした

・素晴らしい弁護団に巡り合うことができました
 ・「客観的証拠」という基本を重視する裁判官が公判の担当でした
 ・家族が200%信頼して一緒に闘ってくれました
 ・多くの友人、職場の仲間が、物心両面でサポートしてくれました・・・
 数えたらきりがありません。こうした多くの幸運のおかげで、私は、虚偽の自白に追い込まれることなく否認を貫き、裁判を闘いきることができたのです。別の言い方をすれば、こうした多くの幸運が重ならないと、いったん逮捕され、起訴されれば無罪を取ることは難しいのです。

・「弱いから自白するんじゃない。弱いところを突かれて自白するんだ」。弱いところのない人間はいません。誰もが虚偽の自白をする可能性を持っているのです。私も自分が経験するまでは、何でやってもいないことを自白するんだろうと思っていました。しかし、今はよくわかります。誰もが事件に巻き込まれる可能性がある。巻き込まれれば、二人に一人は自白する。そして有罪率は99%です。

・出来上がった調書を見ると、「私は倉沢さんに会ったことはありません。凛の会のことは知りません」と完全に否定の文章になっています。私は、「会っていて、忘れていることもありえる」と何度も説明したのですが、どうしても直してもらえません。「調書というものはそういうものですから」と。「調書というのは客観的事実ではなくあなたの記憶なんですから、これでいいんです。また思い出したら、その時に別の調書を作るから」と言われ、結局押し切られてしまいました。後でわかったことですが、検察は、すでにほかの関係者から、「私と倉沢さんが会っていた」という調書を取っていて、私が倉沢さんと会ったことを否定する、つまり私が嘘をついているという調書を作りたかったようです。そういう調書を作らないと、私を逮捕できなかったのでしょう。

・家族の連絡先を聞かれたので、バッグの中の携帯電話を取り出して電話番号を調べるふりをして、こっそり、「たいほ」と三文字だけ打ち込んだメールを夫に送りました。

・拘置所では来ている服を全部脱いで、身体検査をされ、指紋、掌紋も取られました。灰色の上下のトレーナーを着せられて写真を撮られてから、タオルや歯ブラシ、食器など最低限のものを渡されて、自分の部屋に連れていかれました。畳二畳にトイレと洗面台のついた個室です。

・取り調べはお昼過ぎから始まり、休憩や夕食をはさんで、夜の10時頃まで続くというのが平均的な形でした。拘置所の就寝時間は9時なので、みなが寝静まった頃、刑務官に連れられて、拘置所の居室に帰るという毎日でした。

・弘中弁護士がこんなアドバイスをくださいました。「村木さん、残念だけど、検察の取調べというのは公平公正じゃない。裁判官というレフェリーもいないし、弁護人もついていない。今いるところは、検事の土俵だんだと思いなさい」。それを聞いて、「検事の土俵」で、私が勝つなんてありえないんだ、と分かりました。そうすると、私がやらなければならないのは、負けてしまわないこと。負けてしまわないというのは、やってもいないことを「やった」と言わないことです。きちんと自分の言ったことを書いてもらうなどということはあきらめて、嘘の自白調書を取られないということだけを目標とすることにしました。

・「4回も面会したのなら、手帳に面会予定を書き込むはずです。手帳にそんな記録はないのだから面会はしていないはずです」と私が主張すると、検事は、「すべてアポなしで押しかけたと倉沢さんは言っているよ」と主張します。そこで私の方は、「頼み事をするのに、アポなしで4回もおしかれるというのは、相当失礼で得意なことですから、そんなことがあれば覚えているはずです。それに、私は会議や出張などが多くて、自席にいないことがしばしばでした。よく厚労省に来られる方から『10回着て1回くらいしか村木さんの顔を見ないね』と当時言われたのを覚えています。倉沢さんが4回アポなしで着て、4回とも私が席にいて対応したなんてありえません」と縷々説明しました。ところが私のそういう説明は一切調書に記載されません。

・ただ、一度、心の底から怒って抗議したことがあります。遠藤検事が「執行猶予がつけば大した罪でない」と言った時です。「執行猶予なら大したことない」という言葉は、後に國井弘樹検事にも言われました。

・國井検事から、そのこと(支援する会)について、こう告げられました。
「支援する会ができるようだが、裁判になれば、そうした人たちを巻き込むことになる。否認していると、厳しい刑、実刑を受けることになるが、それでもいいのか」

・「あなたが何をしてたって、あるいはあなたになんの罪もなくたって、生きていれば多くのことが降りかかってくるわ(中略)だけど、それらの出来事をどういう形で人生の一部に加えるかは、あなたが自分で決めること」(『サマータイム・ブルース』サラ・パレツキー、山本やよい訳)

・弘中弁護士に、思わず、「どうしてみんな噓をつくんでしょう」と問いかけました。すると日頃は優しい弘中弁護士が、大きな声で、強い口調でこう言いました。「誰も嘘なんかついていない。検事が勝手に作文をして、そこからバーゲンイング(交渉)が始まるんだ。供述調書とはそういうものなんだ」

・勾留されていた期間は164日間
 ・面会に来てくださった方 約70人
 ・いただいた手紙 約500通
 ・体重 6kg減
 ・読んだ本 150冊

・塩田元部長は、調書の内容を全面的に撤回する証言を行いました。裁判官から「それでは、あなたの記憶にある確かなことは何ですか」と聞かれ、塩田さんは、「事情聴取を受けたことと、今ここ(証人席)に座っていること。それだけです」と答えました。結局、私の関与を認めた詳細な調書は、無から有が生み出された結果だったのです。この塩田さんの証言は、検察にとって衝撃的だったのでしょう。次の裁判から、検察官席に捜査の主任検事を務めた前田恒彦検事と大阪地検公判部副部長の吉池浩嗣検事が加わり、6人の検察官団になっていました。

・偽造した証明書を依頼者に渡す、つまりまさに犯罪が行われたと自らが主張する現場を確かめることさえ、検察側はやっていなかったのです。(衝立やキャビネがあり物理的に無理だった)

・そのプロセスで多くの人間が、フロッピーディスクの改竄の事実を知っていて隠していました。すべてが極秘裏に対応され、裁判ではずっと「村木は犯人だ」と主張し、懲役1年半を求刑しました。いったい検事という職業は何のためにあるのでしょうか。

・皆さん(検事)が、深く謝られたのはもちろんですが、みんなから異口同音にこうお礼を言われたのには驚きました。「こんなことを言うのは失礼だとわかっているが、ありがとう。こういうことがなければ、検察は変われなかった」と。

・周防正行法制審議会委員が訴えた三つの大きな問題点
 ・証拠開示
 ・取り調べの全過程可視化
 ・人質司法の問題(自白しなければ勾留が続く)

・被疑者ノートに、上村氏はこう書いている。
 「えん罪はこうして始まるのかな」
 「こういう作文こそ偽造ではないか」

・事実を知るために唯一残された道は、国家賠償請求訴訟を起こして、捜査に関わった検察関係者の証言を求めることだった。約4,100万円の支払いを求める裁判を起こした。ところが国側は休職中の給与分など約3,800万円について、訴えを認める「認諾」を表明。村木氏に賠償金を支払うことで、検察関係者の証人尋問を回避した。

・被疑者ノート
 ・日付
 ・取調事項
 ・印象に残った取調官の態度・言葉
 ・あなたの対応
 ・健康状態

・拘留中(20日間の取調べと164日の勾留)に読んだ本(149冊)にヴィクトール・E・フランクルの書いた「夜と霧」があります。精神科医がナチスの収容所での体験を記した本です。その本の中で著者は、収容所に収容されている人間の側にも、ナチスの側にも、いい人と悪い人がいると書いてあって、「検察もそうなんだろうなあ」と思いました。

感想
村木さんは部下が行ったことで逮捕されました。
部下の方は何度も「私一人でやりました」といくら検事に言っても取り上げてくれなくて、上司(村木さん)の指示があったのだろうと、検察のストーリー通りでないと認めてくれなかったそうです。
精神的に追いつめられてしまい、偽証の内容にサインしてしまったそうです。厚生労働省の人々の中にも偽証の調書にサインした人が何人かいたそうです。その中にも最後までサイン(偽証について)しなかった人もいたそうです。

検察の取調べは想像以上に精神的に追いつめられるようです。
そのような状況でも村木さんのように、最後まで無実を訴え続けることができるかどうか。
部下の人が悪いのではなく、偽証を認めてしまう今のシステムに問題あると村木さんは言われていました。
村木さんには確固たる”精神”をお持ちだったのでしょう。
無実を信じて支えてくれた仲間・支援者や家族があったからと言われていました。

笑い話的な事実
今、取調べの可視化(録音・録画)が求められていますが、検察の反対ですべてがそうなっていません。
FDの改ざんなどで検事が逮捕されました。
早速逮捕された検事の弁護団が「最高検に取り調べの録音・録画を要求」したそうです。
最高検「検事なら容疑者が自身を守るすべを知っているはず。可視化の必要性はまったくない」とはねつけたそうです。
検事は取り調べの苛酷さを身をもって知っており、自分の時は自分を守る録音・録画を要求されたのでしょう。
それだけ、厳しいということをいっているようです。

最高検の言葉は、一般の人は自身を守るすべを知っていないことになります。
なのに、全ての可視化を拒否しています。

この本は多くの冤罪がなぜ起きたか、無実なのにやったとの自白調書にサインをしてしまったかを取り上げています。

誰でも虚偽の自白調書にサインしてしまう可能性があること。
今の制度ややり方に問題があるのに検察庁は自浄能力がないことなど、この問題は国民が怒らなければならないのでしょう。
ゴーン氏が拘留が続いていますが、人質に取られた状況で、弁護士の立ち合いもありません。
国際的にも問題になっています。
今日はとても寒いです。
留置所も寒いのではないでしょうか?
身体が弱ると精神も弱ります。
精神的なストレスを与えて虚偽自白にサインさせる今の状況は大きな問題なのでしょう。
検事自らが逮捕され取り調べを受ける時に「可視化(録音・録画)」を求めたこと自体が、おかしいと思われていることを暴露されたようなものです。



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