海辺の町から

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西村賢太

2023-04-30 15:44:23 | 日記

  降り続いた雨も漸く上がり太公望がやって来た


  隅に追いやられても忘れず咲いてくれた


昨年2月に54歳の若さで亡くなった芥川賞作家西村賢太。
私小説作家藤沢清造の没後弟子を自称し 西村賢太もまた私小説を書き続けていた。
芥川賞受賞当時のインタビューが衝撃的だったのを覚えている。
手元にあった「苦役列車」を数ページ読んだままだった。

昨夜ETV特集 魂を継ぐもの~破滅の無頼派・西村賢太~を観た。
小学生の頃父親が犯罪者となり 両親の離婚 その後の人生が彼を苦しめ
中学を卒業すると親元を離れ待ち受ける肉体労働の日々。
その様な生い立ちからか華やかな世界から遠ざかり
破滅型作家藤沢清造の作品に出会ったのを切っ掛けに傾倒していった。

日々もがき続ける人生の哀しさ愛しさを書いていた。
私小説に拘りつづけ自分の人生をさらけ出し人気作家になっても
駄目な自分を書き続けた。

ー前方に終わりを臨んで・後ろを振り向いたとき其処には何も残っていない
死ぬまでには何か一篇 埋もれてもいつかしぶとく蘇る不屈の作品をーと
言っていた彼

ー人生を棒に振っている者に今年も来年もない 一切関係が無い
本当の始動は今からである。自分の為すべき事はやり続けるより他はない
まあ大した事じゃ ねえわなあー

破天荒に生きた彼の人生だったが彼の作品に救われた人が少なからず
居ることも知った 食わず嫌いだったけれど読んでみる価値があると教えられた。





海藻の旬

2023-04-29 09:44:46 | 日記

  西から雨が降ってきました


  雨の降る前にそら豆を採っていたら蛙の塒になっていました 失礼!


海藻の解禁になった海辺の町は忙しい。
4月から6月にかけて この時季にしか採れないため大潮の日は落ち着かない。
しかし今年は違う その時が近づいているからだ。
義母を気に掛けながら並行して海藻の仕事をしている。

施設に入所するまで住んでいた別棟にある義母の家。
生活道具一切が置かれたままで荷物で溢れていた どうしたものか案じていたが
持ち物の断捨離を夫の妹夫婦が帰省した折り手伝ってくれた。 
全てが一時に重なってしまう大変さを感じながら義母の持ち物全てを処分することに
同意して貰い一つ肩の荷が下りた。

自営業であるから止めようと思えば止められる仕事ではあっても
大きな収入源になっている 其れも4月から6月という限られた期間に。
嫁や孫達が其れを知っていて時間をやり繰りして手伝いに来てくれる。
弱っていく爺婆に比べ頼もしい助っ人になった。

大型連休もスタートしたけれど連休とは無縁の生活をしている。
海辺の町皆が忙しい時期で悲壮感も感じないで居られるのは有り難い。
磯の香りを身体一杯嗅ぎながら 毎日が日曜の我が身ではあるけれど6月まで頑張って
海が時化れば休み雨が降れば休み小潮にも休んで 小原庄助さんにならないようにしようと思う。

孫娘と保護猫

2023-04-26 16:23:15 | 日記

  風雨に曝された昨夜の雨も上がり太陽が顔を覗かせてくれました


  此れからの食卓を楽しませてくれるミョウガも三つ葉も元気です


こんな犬なら(秋田犬のわさお)飼いたいね~って言っていた。

ミカンを運ぶコンテナに 産まれて数日しか経っていないの子猫を2匹(雄雌)
孫娘が重たそうにしながら持ってきた。
孫娘の住むマンションは動物が飼えないので海辺の町で飼って欲しかったのだろう。
以前犬が飼えるものなら飼いたいね~と話していたが
何時までも元気でいるとも限らない年齢となり半ば諦めていた。

飼いたいという話を知っていた孫娘は 犬では無く子猫を連れてきた。
家庭菜園をしている近くに捨てられていた保護猫という。
動物病院に連れて行き病気の有無を検査して貰い子猫用のミルクと餌を携えていた。
壊れ物を扱うように2匹の子猫を抱えて絨毯の上で遊ばせている。
「おばあちゃん駄目ー?」って
サヨコさんの事もあって手の掛かる子猫まで正直自信が持てない 猫を飼ったことがないので
扱い方も分からない 孫娘の手の中にいると静かになってコンテナの中に置かれると
鳴き声は凄まじく 人に慣れてしまったのかも知れない。

どう考えても今の状態では無理なことを告げ新たな飼い主を探すように頼んだ。
孫娘には可哀想なことをしたけれど中途半端に一時的な感情で育てることが
子猫たちにとっても良いとは思えない。

翌日ツテを頼りに雄猫の飼い主が現われたけれど雌猫の行き先が決まっていない。
数日中に決まらなければ処分されるらしいが孫娘はどんな思いだろうか。
人間の身勝手な行為が動物たちの命を粗末にしている。

今日になって雌の子猫の貰い手が見つかったと知った。
5月の初め頃に引き取って貰えるそうだが 何としても殺処分されず悲しむ孫娘の顔を見ずに済んだのが嬉しい。






長男の嫁

2023-04-21 06:35:10 | 日記

  穏やかな一日の始まり


  JAに注文していた苗をやっと昨日土の中に移した だけ


余命一ヶ月を告げられた義母サヨコさん 胆管ガンが7㎝まで大きくなっていた。
子や孫ひ孫達がコロナ禍の面会に訪れている。
一目会いたいとの思いで遠路やって来るが目を開ける事も無く言葉を発することも無い。
黄疸が現われ身体中に浮腫みも出ている。
早ければ一週間と告げられその一週間が過ぎた 遺された時間を考える日々。

電話が鳴るたび不安と安堵が交錯 オサンドンに明け暮れている。
今日も関西からサヨコさんの孫家族を迎える。

サヨコさんは多くの子や孫ひ孫達40人程に囲まれて97年という人生を生きている。
大正から令和へと4つの時代を生きてきた。
夫を戦争に送りだし舅姑に仕え食べるために必死で働いて来た男勝りのサヨコさん
そうで無ければ生きて来られなかったのかと 長男の嫁とはそう言う物なのかと
我が身に変えて考えることが多くなって来た。
長男の嫁の我慢によって家が支えられる時代はもう終いにしなければいけない。

核家族が海辺の町でも進み子供達は別所帯 長男の嫁という概念は薄れつつ
家に縛られない新しい生き方が始まっている 其れで良いのだと思っている。

裁判官団藤重光

2023-04-16 10:28:02 | 日記

  通年日の出を見ていると太陽が移動していることが分かります


  ライラックの花が咲きました


ETV特集「誰のための司法か~団藤重光最高裁・事件ノート~」という番組を見た。
「大阪国際空港公害訴訟」最高裁判所大法廷判決をめぐるドキュメンタリーでした。
当時最高裁判事だった団藤重光裁判官は刑法学の第一人者で学者出身の裁判官です。

元運輸省航空局担当者とNHK 取材班との会話に
「団藤さんの記録の中にこの裁判の事を書いているノートが見つかった」と伝えると
「だからこう言うことが出てくることは良くないんですよ
最高裁が判決を出してしまえば其れが最終 争いようのない最終なんですよ」
元法務省訟務局担当者は
「守秘義務の関係から出ないですよ普通は これはシュレッツダーにかけて捨てるべきだった」と。

静かな夜を返して欲しいと近隣住民が大阪空港の夜間差し止めを求めた。
彼はその差し止め請求を認めた大阪高裁の判決を支持する立場で
最高裁第一小法廷では原告住民側勝訴の判決が見込まれていたが
当時の最高裁長官の意向で大法廷回付がなされ住民の意見を却下し
一転して差し止め請求も将来にわたる損害賠償請求も退けられたのです。

団藤元裁判官の遺したノートには当時の内幕が記され 独立を保つべきはずの司法にまで
国が介入 赤裸々に綴られた雑記帳「疑わしい時は被告人の利益に」と言う姿勢で
司法の果たすべき役割を問い続けた見応えのある番組だった。