ドバイ駐在員ノート

一人の中年会社員が、アラブ首長国連邦ドバイで駐在事務所を立ち上げて行く過程で体験し、考えたことの記録。(写真はイメージ)

「悪魔の詩」作者に爵位

2007年06月18日 00時19分13秒 | 時事
「悪魔の詩」のルシュディ氏への爵位授与に、イラン反発(朝日新聞) - goo ニュース

「悪魔の詩(うた)」というイスラム教の預言者ムハンマドを描いた小説を書いたインド系イギリス人作家ルシュディ氏にナイトの称号が与えられることになり、早速イランが反発しているらしい。ルシュディ氏は、イランの故ホメイニ師によって死刑を宣告されており、現在も24時間英国の警察の保護下にあるという。

このニュースを読んで驚いた。「悪魔の詩」の日本語版翻訳者が殺害されたことを知っていたので、てっきり作者もとうの昔に殺害されていたと思っていたからだ。ウィキペディアで調べてみると、暗殺未遂事件は多々あったが、実際に殺害されたのは日本人翻訳者とトルコ人のグループだけのようだ。日本人翻訳者には大変気の毒だが、警察も含め当時の(そして今も?)日本がイスラム教についてナイーブ過ぎた一例ではないかという気がする。

6月17日付のガルフニュースの社説は「疑惑の爵位授与(A Knighthood of dubious nature)」というタイトルでこの出来事を取り上げている。西側(とくに英米国)とイスラム諸国(特にイラン)との間で緊張が高まっている時期でのルシュディ氏への爵位授与は古傷を表面化させかねないとしている。「悪魔の詩」以外にもすぐれた業績をあげた作家ではありそうだが、よりによってこの時期の爵位授与に英国の政治的意図を感じ取るのは自然だろう。

この一事をもってただちに何がどうなるということもないとは思う。ただ、英国とイラン(そして西側とアラブ諸国)のぎくしゃくした関係を端無くも露呈した出来事と感じた。

最新の画像もっと見る