ドバイ駐在員ノート

一人の中年会社員が、アラブ首長国連邦ドバイで駐在事務所を立ち上げて行く過程で体験し、考えたことの記録。(写真はイメージ)

オマーン選挙

2007年10月29日 00時35分44秒 | 時事
10月28日のガルフニュースの1面は、異様な写真が目を引く。アバーヤを着た女性が列を成して並んでおり、最前列の若い女性はカメラをにらみつけている。これ、27日にUAEの隣国オマーンで行われたアシュラ(Ashura)と呼ばれる国王の諮問委員会(Advisory Council)を構成する84人の委員を631人の候補者の中から選ぶ公開選挙のひとこまだ。

オマーンは王政をとる国だから、アシュラに実質的な権力はない。4年の任期を持つアシュラの公開選挙は2003年以来2度目ということだ。前回は都市部の有権者が全く関心を示さなかったというが、今回は政府見通しによれば投票率が70%を超えるほど国民の関心は高い。

ガルフニュースによれば、約3百万人のオマーン国民の内、登録した成人男女38万8千人が選挙権を持つとされるが、この数は4年前26万2千人だったという。

今回、特に女性の投票者の数が男性のそれを大きく上回っている模様だ(3倍という説もあるが、それでは70%の投票率とはつじつまが合わない)。オマーンの人口構成は女性が45%というから、女性の方が男性より選挙に関心が高いことがわかる。その原因についての分析はされていないが、ドル安に伴うインフレに不満を募らせる主婦層が敏感に反応しているのではないか、というのはうがちすぎだろうか。なお、投票所は入り口から男女別々になっていて、女性の投票所では立会人も全て女性とのこと。

女性には選挙権だけでなく被選挙権も与えれているようだが、前回の選挙で当選したのはわずか2名だったということだ。今回は何名の女性がアシュラの委員に選ばれるのだろうか。また、男女が同席しない文化を持つこの国で、アシュラがどうやって運営されるのか、興味深い。

[10月29日22時追記]
29日付ガルフニュースによれば、当選した84人は全員が男性でその内訳は、38人が再選、46人が新たに選出されたとのこと。女性候補者21人は全員が落選したという。投票所に長蛇の列を作った女性達はほとんどが男性に投票していたということになりそうだ。全くもって不可解な現象だが、選挙の公正性を疑う声が聞こえてこないのが不思議だ。

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