京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

猛暑の石山寺

2017-05-10 08:36:03 | 日記
猛暑の石山寺
            金澤 ひろあき
 今年は「源氏物語千年紀」。『紫式部日記』の記事から、『源氏物語』が書かれて千年になったということらしいのですが、『紫式部日記』を読んでみると、千年前には『源氏物語』が、もう貴族たちの間で評判になっているということが書かれています。だから、「書き始めたのはいつか」というのは、正確にはわからないようですね。
 この篤い時に、ちょっと石山寺まで足をのばしました。このお寺で紫式部が『源氏物語』を書き始めたという伝説があるのです。JRを膳所でおりて、松尾芭蕉のお墓にお詣りして、路面電車のような京阪電車に乗り換えます。そのまま石山寺の門前です。私、この電車、のんきで好きです。
 瀬田川ぞいの道も篤い。仁王門の所へ来ると、青葉の緑。木陰がいっぱいです。木陰をみると、ほっとします。
  緑蔭や現役終わるような顔      ひろあき
 山門を入ってびっくり。特設のアクリル板で、「源氏物語千年紀特設会場」です。カフェ・ド・ゲンジ(源氏カフェですか?)までが出現しております。お寺とまあ不釣り合いで、夏目漱石や加藤周一先生がごらんになったら、キツイ批評が二つ三つ出てきそうですね。
 入る気が半分なくなったところですが、目をつぶって入って行き、本堂のほうへ。ジーンズ姿や短パン姿の女の人たち(娘というと若すぎるし、おばさんというと、そこまで年齢がいっていない)が十人ほど、仏前に整列します。そのまま『般若心経』を唱和しはじめたのには、びっくりしました。若いのに熱心なんですね。でも般若心経の唱和、少しバラバラ。うろおぼえの人がいるのは、ご愛嬌です。さてこの若い人たち、どういう人たちなんでしょう。
 ところで、私が好きなのは、本堂の上にある多宝塔。シルエットが美しいのです。 
 多宝塔の扉が開いていて、運慶作大日如来像を拝見できたのも幸運です。こういう平安時代・鎌倉時代の雰囲気・本物をありのまま見せるのが「千年紀」としては良いのではと思います。どのみち、『源氏物語』など、再現できるはずがないんですから。それよりも、『石山寺縁起絵巻』などを里帰り展示するほうが良いのです。
 今年は観音霊場三十三か所すべてが、秘仏御開帳をやるそうです。そちらのほうがすごいことかな。千年紀と関係しているかどうかは不明ですが。
  ものを言うテンポがズレる夏休み   ひろあき