京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

一花の三千世界

2016-04-20 12:06:21 | 日記
  一花の三千世界
           金澤 ひろあき
 小さな道路は、アスファルト舗装がされています。それが、道がまだ人間の領域であることを主張しています。夏草のみどりが道を占領しようとする、自然にもどそうとすることに抗するかのように。
 京都の長岡京市をちょっと西に入ると、こういう光景が広がっています。でもここは、平安京の前は日本の首都であり、『伊勢物語』や『古今和歌集』の舞台になった所なのです。とはいえ、当時も山のほうは草深い山だったのでしょう。その山の中にお寺が建てられています。今からあじさいを見に行く楊谷寺も山の中のお寺です。
 お寺の伝説では、清水寺をひらいた延鎮さんという和尚さんが、ここに来ると生身の観音様に会えるというお告げを信じてこられたそうです。
 お告げではなく、あじさいの話を聞いて私達も六月にやって来ました。車は青島 巡紅さんにお世話になり、いつもありがとうございます。
 川沿いの山に南向きに建っているところなど、清水寺とどことなく似ています。舞台の代わりに、奥の院から本堂へ向かって、あじさいの回廊があります。
  あじさいの寺へようこそ山の風     ひろあき
 ちょうど縁日らしく、鐘とご詠歌がお迎えです。梅雨の大雨がきれいに晴れてすがすがしい一日です。
  高く低く鐘つく寺の背は緑陰      三村 須美子
  くもの巣の光の粒や雨あがる      佐藤 駿司
 本堂から山の上に向かって奥の院への道筋。そこにあじさいがあります。改良種の大きな花でなく、小ぶりな、日本のもとからの花という感じです。
  あじさいの真花を一つ姉訃報      二神 大輔
  紫陽花や天使の卵羽根開く       青島 巡紅
 二神さんの句、悲しい知らせと結びつけ、しんみりとします。青島さんの「天使の卵」という見立てが新鮮。教えられました。
 山道をひとり歩いていると青葉、山桃の実を見つけます。坂の途中の池ではモリアオガエルの卵を見ることができました。草にかかる白い泡が卵だそうです。天然記念物だとか。
  山桃へ童話はじまる山の風       ひろあき
  あわがえる指差す先にのぞき顔     須美子
 さらにまた山門のあじさいのところで記念撮影、パチリ。
  ドライブに色をそえしかあじさいはね  内薗 日出杜
  腰ひけて蛇に届かぬ棒たたく      中野 硯池(投句作品)
  あじさいの一花三千世界なり      ひろあき

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