教科書によく出るシリーズ 『大鏡』弓争い 3
【語句説明】
①・南の院・・中の関白殿の邸宅の中の建物。一家で弓のゲームをやって楽しんでいたわけ。
・遊ばし・・尊敬語「遊ばす」 意味・・なさる
・し・・過去助動詞「き」連体形 「き」は直接に体験した過去の意味。従ってこのシーンを語り手の世継は目撃したことがわかる。
②この殿=藤原道長
・渡ら・・「渡る」 意味 来る
・せ給へれ・・「せ」尊敬 「給へ」尊敬で二重敬語 筆者は道長に二重敬語を使っている。
「れ」・・完了助動詞「り」の已然形
③・あやし・・意味 不思議だ 変だ
・中の関白殿思し驚き・・「思し」尊敬語 意味 お思いになる
※普段仲の悪い弟、道長が来たので驚いている。「あいつ、なんで来るねん」といった感じなのでしょうね。
・いみじう・・意味 大変
・饗応し・・よみは「きゃうおう」 意味 機嫌をとる
※仲が悪い弟であるが、来てくれたので大人の対応をしている。
・申させ給う・・「申さ」謙譲語 道長に敬意
「せ」「給う」尊敬語(二重敬語) 中の関白殿に敬意 二方面敬意になっている。
④・下﨟・・よみは「げらふ」 意味 下の地位
※道長は帥殿より下の地位。中の関白殿は弟の道長の位を抑え、息子の帥殿を高い地位につけていた。こんなところにも、兄弟仲の悪さが見える。
・おはしませ・・尊敬語 意味 いらっしゃる
・(中の関白殿は道長を)前に立て奉り・・「奉り」謙譲語 意味 申し上げる さしあげる ※中の関白殿は道長に丁重に対応して配慮している。
・射させ奉らせ給ひける・・この部分も(中の関白殿は道長に)
「させ」・・使役助動詞 「奉ら」・・謙譲語 「せ給ひ」・・二重敬語
「ける」・・過去助動詞
⑤・矢数・・的に当たった矢の数
・二つ劣り給ひぬ。・・「給ひ」尊敬語・・帥殿が主語の時は、二重敬語を使わない。差をつけている。
・「ぬ」・・完了助動詞
※帥殿が敗北。これを見た中の関白殿が、試合延長を言い出す。
⑥・御前・・貴い人 中の関白殿をさす
・候ふ・・謙譲語 意味 お仕えする
⑦・いま二度延べ・・もう二回延長する
※この時点で、帥殿は0勝1敗。二回延長して、2勝1敗にすることを、希望しているわけである。従って中の関白殿は道長に「勝ちを譲れ」と圧をかけている。
・させ給へ・・「させ」尊敬 「給へ」尊敬語 四段動詞「給ふ」命令形
意味 なさってください。
・(道長に)申して・・「申し」謙譲語 意味 申し上げる
・延べさせ給ひける・・「させ」使役助動詞 「給ひ」尊敬語 「ける」過去助動詞
(中の関白殿が道長に)延長させていらっしゃった
⑧・主語は「道長」。「思し」という尊敬語を使用・
・安からず・・「安から」意味 心おだやか 「ず」打消
※中の関白殿が道長に「勝ちを譲れ」と圧をかけているに対する不快感。
⑨・さらば・・意味 それならば 具体的「延長したいのならば」
・仰せられ・・「仰せ」尊敬語 意味 おっしゃる 「られ」尊敬助動詞 二重敬語
主語は道長
⑩射させ給ふ・・「させ」尊敬助動詞 「給ふ」尊敬語 二重敬語 主語道長
・やう・・意味 には
⑪・立ち・・意味 位につく ・べき・・当然助動詞
・ならば・・断定助動詞「なり」未然形―「ば」(仮定条件) 意味 であるならば
※道長の逆襲 矢を放つ前に宣言。
「道長の家から、帝や皇后が位におつきになるものならば」=「道長の娘が入内して中宮になる。娘の子供が次の帝になる。」=道長が権力を握る=中の関白家の没落
⑫・同じものを・・同じ当たるにしても
・ものかは・・詠嘆 ではないか
※道長の宣言通り、矢が的の中心に当たった=その言葉が実現する。
⑬・臆し・・意味 気後れする ・わななく・・・意味 震える
・故・・よみかた「け」 意味「理由」 ・にや・・・であろうか
・だに・・意味 さえ ・無辺世界・・・的の外れたところ
・給へる・・「給へ」尊敬語 「る」完了助動詞「り」連体形
⑭・なりぬ・・「なり」 四段動詞「なる」連用形 「ぬ」完了助動詞
⑮・入道殿=藤原道長 晩年出家したため、こう呼ばれる。
(私が)摂政・関白・・・ 摂政、関白は天皇代理。
・すべき・・「す」サ変動詞 「べき」当然助動詞
※この宣言は、⑰と同様の意味を持つ。ダメ押しでとどめをさしている。
⑯・始めの同じやうに=さきほどと同じように ・ばかり・・ぐらい
・同じところ=的の中心
・射させ給ひつ・・「させ」尊敬助動詞 「給ひj尊敬語 二重敬語 主語は道長
「つ」完了助動詞
⑱・もてはやし・・丁重にもてなす ・聞こえ・・謙譲語
・させ給ひ・・二重敬語 主語は中の関白殿 ・興・・おもしろみ
・こと苦う・・気まずく
・なりぬ・・「なり」四段動詞「なる」連用形 「ぬ」完了助動詞
⑲・父大臣・・大臣のよみは「おとど」。中の関白殿をさす。
・何か・・反語 どうして~か、いや、・・・
・な~そ・・禁止 するな ・制し・・止め
・ことさめ・・しらける
・にけり・・「に」完了助動詞「ぬ」連用形 「けり」過去助動詞
【語句説明】
①・南の院・・中の関白殿の邸宅の中の建物。一家で弓のゲームをやって楽しんでいたわけ。
・遊ばし・・尊敬語「遊ばす」 意味・・なさる
・し・・過去助動詞「き」連体形 「き」は直接に体験した過去の意味。従ってこのシーンを語り手の世継は目撃したことがわかる。
②この殿=藤原道長
・渡ら・・「渡る」 意味 来る
・せ給へれ・・「せ」尊敬 「給へ」尊敬で二重敬語 筆者は道長に二重敬語を使っている。
「れ」・・完了助動詞「り」の已然形
③・あやし・・意味 不思議だ 変だ
・中の関白殿思し驚き・・「思し」尊敬語 意味 お思いになる
※普段仲の悪い弟、道長が来たので驚いている。「あいつ、なんで来るねん」といった感じなのでしょうね。
・いみじう・・意味 大変
・饗応し・・よみは「きゃうおう」 意味 機嫌をとる
※仲が悪い弟であるが、来てくれたので大人の対応をしている。
・申させ給う・・「申さ」謙譲語 道長に敬意
「せ」「給う」尊敬語(二重敬語) 中の関白殿に敬意 二方面敬意になっている。
④・下﨟・・よみは「げらふ」 意味 下の地位
※道長は帥殿より下の地位。中の関白殿は弟の道長の位を抑え、息子の帥殿を高い地位につけていた。こんなところにも、兄弟仲の悪さが見える。
・おはしませ・・尊敬語 意味 いらっしゃる
・(中の関白殿は道長を)前に立て奉り・・「奉り」謙譲語 意味 申し上げる さしあげる ※中の関白殿は道長に丁重に対応して配慮している。
・射させ奉らせ給ひける・・この部分も(中の関白殿は道長に)
「させ」・・使役助動詞 「奉ら」・・謙譲語 「せ給ひ」・・二重敬語
「ける」・・過去助動詞
⑤・矢数・・的に当たった矢の数
・二つ劣り給ひぬ。・・「給ひ」尊敬語・・帥殿が主語の時は、二重敬語を使わない。差をつけている。
・「ぬ」・・完了助動詞
※帥殿が敗北。これを見た中の関白殿が、試合延長を言い出す。
⑥・御前・・貴い人 中の関白殿をさす
・候ふ・・謙譲語 意味 お仕えする
⑦・いま二度延べ・・もう二回延長する
※この時点で、帥殿は0勝1敗。二回延長して、2勝1敗にすることを、希望しているわけである。従って中の関白殿は道長に「勝ちを譲れ」と圧をかけている。
・させ給へ・・「させ」尊敬 「給へ」尊敬語 四段動詞「給ふ」命令形
意味 なさってください。
・(道長に)申して・・「申し」謙譲語 意味 申し上げる
・延べさせ給ひける・・「させ」使役助動詞 「給ひ」尊敬語 「ける」過去助動詞
(中の関白殿が道長に)延長させていらっしゃった
⑧・主語は「道長」。「思し」という尊敬語を使用・
・安からず・・「安から」意味 心おだやか 「ず」打消
※中の関白殿が道長に「勝ちを譲れ」と圧をかけているに対する不快感。
⑨・さらば・・意味 それならば 具体的「延長したいのならば」
・仰せられ・・「仰せ」尊敬語 意味 おっしゃる 「られ」尊敬助動詞 二重敬語
主語は道長
⑩射させ給ふ・・「させ」尊敬助動詞 「給ふ」尊敬語 二重敬語 主語道長
・やう・・意味 には
⑪・立ち・・意味 位につく ・べき・・当然助動詞
・ならば・・断定助動詞「なり」未然形―「ば」(仮定条件) 意味 であるならば
※道長の逆襲 矢を放つ前に宣言。
「道長の家から、帝や皇后が位におつきになるものならば」=「道長の娘が入内して中宮になる。娘の子供が次の帝になる。」=道長が権力を握る=中の関白家の没落
⑫・同じものを・・同じ当たるにしても
・ものかは・・詠嘆 ではないか
※道長の宣言通り、矢が的の中心に当たった=その言葉が実現する。
⑬・臆し・・意味 気後れする ・わななく・・・意味 震える
・故・・よみかた「け」 意味「理由」 ・にや・・・であろうか
・だに・・意味 さえ ・無辺世界・・・的の外れたところ
・給へる・・「給へ」尊敬語 「る」完了助動詞「り」連体形
⑭・なりぬ・・「なり」 四段動詞「なる」連用形 「ぬ」完了助動詞
⑮・入道殿=藤原道長 晩年出家したため、こう呼ばれる。
(私が)摂政・関白・・・ 摂政、関白は天皇代理。
・すべき・・「す」サ変動詞 「べき」当然助動詞
※この宣言は、⑰と同様の意味を持つ。ダメ押しでとどめをさしている。
⑯・始めの同じやうに=さきほどと同じように ・ばかり・・ぐらい
・同じところ=的の中心
・射させ給ひつ・・「させ」尊敬助動詞 「給ひj尊敬語 二重敬語 主語は道長
「つ」完了助動詞
⑱・もてはやし・・丁重にもてなす ・聞こえ・・謙譲語
・させ給ひ・・二重敬語 主語は中の関白殿 ・興・・おもしろみ
・こと苦う・・気まずく
・なりぬ・・「なり」四段動詞「なる」連用形 「ぬ」完了助動詞
⑲・父大臣・・大臣のよみは「おとど」。中の関白殿をさす。
・何か・・反語 どうして~か、いや、・・・
・な~そ・・禁止 するな ・制し・・止め
・ことさめ・・しらける
・にけり・・「に」完了助動詞「ぬ」連用形 「けり」過去助動詞
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます