京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
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節分の壬生狂言

2021-03-30 08:04:16 | 俳句
 節分の壬生狂言
               金澤 ひろあき
 仕事を少しだけ早く終えて、壬生寺へ行きます。節分の二月二日と三日、壬生寺では壬生狂言が演じられます。
演目は「節分」。まさに季節そのものです。
 阪急電車で四条大宮で降り、四条通りを西に行きます。四条通りに面した神社では、節分ということで火を焚き、お神楽をしています。厄よけになるそうです。
 その神社の通りを南へ下ると壬生寺ですが、小さな狭い通りに、夜店が出て本当にお祭りです。壬生寺の境内も屋台がびっしり。お祭りなので、人がいっぱい。なかなか進めません。でもみんな楽しそう。私だけイライラして、鬼のような顔をしていたかも……。
 壬生寺はお地蔵さんのお寺。今日は坊さんが本堂で護摩の火を焚いています。寒いときに火を見ると、何かホッとします。
 舞台ではもう狂言が始まっています。赤鬼の酒呑童子が、舞台でいばっています。そこへ鬼退治に来たお多福さんが、まずは鬼をだまし、贈り物をします。贈り物の中に、鬼の力を失わせる酒「鬼殺し」があり、それを大杯で鬼に飲ませます。鬼が酔って寝たところを襲いますが、鬼も目をさまして応戦。最後はお多福が豆をまいて鬼を退散させます。豆をまくたびに、鬼はおおげさに転びます。鬼と言っても、女には弱い……。これが四十分ほど演じられますから、かなりの熱演です。
 壬生狂言はセリフがいっさいなく、ガンデンという打楽器に合わせて踊ります。パントマイムです。もともとは、文字を知らない民衆に、仏教をわかりやすく伝えるために始めたものだそうです。こういう芸能も、のどかで良いもんです。
  節分の福連れ帰る年男      金澤 ひろあき
  壬生狂言鬼の震えの息白し    同
※2009年のものです。