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初歩の文書分析と論理学モドキ(メモ)

黒谷❸黒谷戒家①血脈

2021-12-24 06:42:45 | 中世宗教史迷い道
 南都の真言系の律(具足戒)回復運動(叡尊、信空、忍性)にすこし遅れて、天台宗においても十三世紀から十四世紀にかけて黒谷を本拠地にした円頓戒復興運動がおこります。南北朝期に新黒谷における法勝寺・元応寺を戒壇とする所謂「黒谷戒家」です。

 この黒谷戒家については以下の特徴があります。
❶極めて思弁的な傾向が強く、勧進・救済活動を特徴とする真言律とは対照的です
❷<戒家血脈>(不思議な系譜です)
叡空―源空ー信空ー湛空―恵尋―恵顕ー興円ー恵鎮(円観)ーー惟賢〈法勝寺流〉
                            ❘ー光宗〈元応寺流〉
源空~恵尋の間は浄土宗の祖師であり、天台僧として戒に厳しく、同じ黒谷に起居したことで有名な源空(法然)に接ぎ木した可能性が高い。傍証として「叡空―源空」は恵心よりの血脈に繋がりますが、興円ー恵鎮ー光宗は覚運ゆかりの人物です。
 ※むしろこの系譜は、江戸期における戒論争を何かの形で反映した仮託と見たくなります。
 ※更に踏み込めば、江戸期以降の浄土宗内の大乗戒・円頓戒論争を反映したものである可能性すらあります。
❸恵鎮以降の学派を略述すると、遮那業:黒谷流(西山流の分派)恵鎮、光宗は兄弟弟子。口伝法門:檀那流・慧光房竜、但し興円ー恵鎮と光宗は血脈が異なる。記家としては光宗が突出(興円ー恵鎮は記家との交流は認められるが記家とは言えない)。

 §参考:比叡山黒谷における戒律復興とその思想

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