ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

メモ:平成30年度税制改正における給与所得控除の扱いなど

2018年01月08日 23時50分20秒 | 国際・政治

 2017(平成29)年12月22日、「平成30年度税制改正の大綱」が閣議決定されました。

 この大綱は、2018(平成30)年度税制改正について、次のように述べています。

 「働き方の多様化を踏まえ、様々な形で働く人をあまねく応援する等の観点から個人所得課税の見直しを行うとともに、デフレ脱却と経済再生に向け、賃上げ・生産性向上のための税制上の措置及び地域の中小企業の設備投資を促進するための税制上の措置を講じ、さらに、中小企業の代替わりを促進する事業承継税制の拡充、観光促進のための税として国際観光旅客税(仮称)の創設等を行う。また、地域社会を支える地方税財政基盤の構築の観点から、地方消費税の清算基準の抜本的な見直し等を行う。このほか、国際課税制度の見直し、税務手続の電子化の推進やたばこ税の見直し等を行う。」

 その上で、最初に「個人所得課税」として「1 個人所得課税の見直し」、「(1)給与所得控除等」として、次のように改正する旨を示しています。

 まず、給与所得控除額を一律10万円引き下げます。

 次に、給与所得控除額の上限額が適用される給与(など)の収入金額を850万円に引き下げ、上限額そのものを195万円に引き下げます。

 従って、次のようになります(▲は私が計算した例です)。 

 ①収入金額(給与等)が162万5000円以下(X≦1,625,000)

 →給与所得控除額は55万円

  ▲例えば、給与による収入が160万円であれば、給与所得控除は55万円ですから、給与所得は105万円です。

 ②収入金額が162万5000円を超え180万円以下(1,625,000<X≦1,800,000)

 →給与所得控除額は収入金額の40%から10万円を引いて得られた金額

  ▲例えば、給与による収入が170万円であれば、給与所得控除額は58万円となります。従って、給与所得は112万円です。

 ③収入金額が180万円を超え360万円以下(1,800,000<X≦3,600,000)

 →給与所得控除額は収入金額の30%に8万円を足して得られた金額

  ▲例えば、給与による収入が300万円であれば、給与所得控除額は98万円となります。従って、給与所得は202万円です。

 ④収入金額が360万円を超え660万円以下(3,600,000<X≦6,600,000)

 →給与所得控除額は収入金額の20%に44万円を足して得られた金額

  ▲例えば、給与による収入が500万円であれば、給与所得控除額は144万円となります。従って、給与所得は356万円です。

 ⑤収入金額が660万円を超え850万円以下

 →給与所得控除額は収入金額の10%に110万円を足して得られた金額

  ▲例えば、給与による収入が800万円であれば、給与所得控除額は190万円となります。従って、給与所得は610万円です。

 ⑥収入金額が850万円を超える(X>8,500,000)

 →一律195万円です。

  ▲例えば、給与による収入が900万円であれば、給与所得控除は195万円ですから、給与所得は705万円です。

 以上に示した例を、現行の所得税法第28条第3項に従って計算してみます。

 ①給与による収入が160万円→給与所得控除は65万円(∵160万円の40%は64万円となりますが、これは65万円未満です)→給与所得は95万円

 ②給与による収入が170万円→給与所得控除額は68万円→給与所得は102万円

 ③給与による収入が300万円→給与所得控除額は108万円→給与所得は192万円

 ④給与による収入が500万円→給与所得控除額は254万円→給与所得は246万円

 ⑤給与による収入が800万円→給与所得控除額は200万円→給与所得は600万円

 ⑥給与による収入が900万円→給与所得控除額は210万円→給与所得は690万円


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