ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

2012年3月27日、すずかけ台駅

2020年01月17日 00時00分00秒 | まち歩き

 最初にお断りです。今回は、私の「川崎高津公法研究室」に掲載していた「待合室」の、次の記事の再掲載です。

 第495回:「東急田園都市線途中下車(25) すずかけ台駅(その1)」(2012年9月22日〜29日掲載)

 第496回:「東急田園都市線途中下車(25) すずかけ台駅(その2)」(2012年9月29日〜10月6日掲載)

 いずれも、写真撮影日は2012年3月27日です。誤字脱字を除き、内容を修正しておりません。したがいまして、後の事情変更なども一切反映しておりません。御注意ください。

 

 しばらく田園都市線から離れていましたので、今回は「東急田園都市線途中下車」シリーズに戻ります。全部で27の駅がありますが、まだ取り上げていないのは3つ、すずかけ台(DT24)、南町田(DT25)、そして中央林間(DT27)です。この順番に取り上げることといたしましょう。そこで、今回はすずかけ台駅です。

 長津田から各駅停車に乗ると、すぐに東京都町田市に入ります。一つ目が隣のつくし野駅で、その次がすずかけ台駅です。つくし野と同じような形の駅舎ですが、街も続いていると言えるような所です。所在地は町田市南つくし野3丁目、渋谷からちょうど28キロメートル(営業キロ)という場所です。元々は南つくし野という名称で計画されていたとのことです。現在の駅名となった理由は、後に記します。

 すずかけ台駅が開業したのは、1972(昭和47)年4月1日です。この日につくし野からすずかけ台までが開業し、終着駅となりました。つきみ野まで延長したのは1976(昭和51)年10月15日です。

 つくし野、すずかけ台、南町田、つきみ野の駅舎は、形などは異なるものの、大きな屋根という共通のコンセプトを持っています。何らかの意味が込められているものと考えているのですが、あるいは当時の流行だったのでしょうか。

 つくし野駅と同様に、すずかけ台駅の周辺にも上のような「町づくり宣言」があります。詳しいことはわかりませんが、建築協約があり、165平方メートル以上、つまり50坪以上の宅地面積を確保することなどが盛り込まれているようです。ただ、つくし野駅と異なり、高さの制限などはないようです。つくし野駅周辺の場合は2階建てが原則となっており、実際に歩いてみると3階建てかそれより高い建物はほとんど見当たらないのですが、すずかけ台駅周辺には、高層とまでは言えないとしてもビルが多いようです。

やはりつくし野駅と同様に、駅前広場には木が植えられています。かなり大きなものに成長しました。もっとも、これは駅名にも採用されているスズカケノキ(鈴掛の木)ではないようです。

 すずかけ台駅と言えば東京工業大学です。大井町線と目黒線の大岡山駅に本部がありますが、こちらにもキャンパスがあります。以前は長津田キャンパスと言われていましたが、現在はすずかけ台キャンパスと言うようです。駅が町田市にあるのに対し、キャンパスは横浜市緑区にあります。駅のすぐ東側に国道246号線が通っており、その辺りが都県境になっています。

 ところで、意外に知られていない事実ですが、すずかけ台という駅名は東京工業大学に由来します。但し、同大学が鈴掛の木をシンボルとしている訳ではありません。駅名の名付け親、とまでは言えないまでも、東京工業大学が東京急行電鉄に対し、駅名について提案をしたために、現在のすずかけ台という名称になったのです。しかも、これは非常にセンスのよい名称なのです。

 鈴掛の木のラテン語名はPlatanusで、日本ではプラタナスと言います。これは、古代ギリシアの大哲学者、または哲学の祖、プラトンの名に由来します。彼はアテナイで一種の学校を開きました。アカデミーの語源にもなったアカデメイアです。このアカデメイアには鈴掛の木が植えられていたということで、いわば学問の象徴でもあります。東京工業大学は、このエピソードを基にして、駅名を提案したのです。東急、東京工業大学の両者は、なかなか洒落たセンスを持っていました。「東京工業大学前」などとしなかったところが粋です。

これは何のオブジェなのかわかりませんが、撮影してみました。

これも何なのかわかりません。

庭園ではないのですが、灯篭が置かれています。田園都市線の駅では珍しいものです。

 

 東京工業大学すずかけ台キャンパス(旧長津田キャンパス)の最寄り駅であることに因んで名付けられたすずかけ台駅の周辺を歩いています。学問を象徴する木の名前を冠するというのが、センスの良さを意味しています。

 この辺りも起伏がある地形で、それを生かした駅前広場となっています。階段を昇ると小高い丘で、緑の屋根の駅舎を見下ろすこととになります。私が訪れたのは3月下旬で、春の香りが漂う日でした。

 元は南つくし野として計画されたこの駅の周辺は、つくし野駅とは異なり、高層建築物が目立ちます。カーブを描いている電車のホームとは対照的に、右側を通る国道246号線は直線的に伸びています。東急田園都市線は、渋谷から南町田まで、この国道246号線と並行するように線路が敷かれており、渋谷区の道玄坂上交差点から世田谷区の新町一丁目交差点までは、田園都市線が国道246号線の下を走ります。それから先は4度も交差しており(瀬田交差点付近、梶ヶ谷交差点付近、江田駅と市が尾駅との間、藤が丘駅と青葉台駅との間)、江田駅とすずかけ台駅では田園都市線と国道246号線が接します。ちなみに、田園都市線には踏切がありません。

 東京工業大学すずかけ台キャンパスの入口です。駅は東京都町田市にありますが、キャンパスは横浜市緑区長津田町にあります。そのため、以前は長津田キャンパスと称していました。上の写真では、左上のほうに、僅かではありますが国道246号線が写っており、この辺りが都県境です。但し、地図のように明確に示されている訳ではありません。東名高速道路の横浜町田インターチェンジにも近く、車で高速道路を走っていると、すずかけ台キャンパスの建物がよく見えます。

 今回は訪れていませんが、すずかけ台キャンパスの近くに高尾山があるそうです。地図にも記されています。

 田園都市線の上の橋から撮影してみました。私が立っている所は東京都町田市ですが、地図を読むと、どうやらこの交差点が都県境であるようで、右奥から向かってくる道路(国道246号線から分かれてくる道路)が境界の役割を果たしています。何も標識がないのですが、この交差点の奥は神奈川県横浜市緑区です。国道246号線を長津田駅付近から走ると、つくし野交差点付近で東京都町田市に入るのですが、すぐに神奈川県横浜市緑区に戻り、すずかけ台駅付近から都県境の役割を果たし、町田市辻の交差点から再び町田市に入り、南町田駅への入口となる東名入口交差点を過ぎると再び神奈川県に戻り、僅かではありますが横浜市瀬谷区を通ってから大和市に入ります。

 今度は、東京工業大学とは反対の側を少しばかり歩いてみます。隣駅のつくし野から続いているような街で、建物を見渡しても、すずかけ台よりもつくし野という標記が目立ちます。すずかけ台駅の近くにある町田市立の中学校もつくし野中学校です。南つくし野という住居表示ですし、そもそも、つくし野は公募で決まった地名なので、すずかけ台よりもつくし野のほうがよく用いられるのでしょう。

 交差点から駅前広場のほうを撮影してみました。すずかけ台駅の開業時の様子は、どのようなものであったのでしょうか。そんなことを思いながらこの辺りを歩くといっそう面白くなるでしょう。

 さて、残った南町田と中央林間を目指さなければなりません。次は、隣の南町田駅へ向かいます。


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