ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

第211回国会参議院議員提出法律案第5号

2023年03月04日 11時22分30秒 | 国際・政治

 衆議院のサイトを見ていたら、現在開かれている第211回国会に、参議院議員提出法律案第5号として「財政法の一部を改正する法律案」が提出されていることがわかりました。野党側から提出されています。

 さて、法律案はいかなるものでしょうか。衆議院のサイトに掲載されていましたので、申し訳ございませんが全文引用の形を採らせていただきます。

 

   財政法の一部を改正する法律案

 財政法(昭和二十二年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。

 第四条第一項中「以て」を「もつて」に改め、同項ただし書中「但し」を「ただし」に改め、「公共事業費」の下に「、教育・科学技術関係費」を加え、「又は」を「、又は」に、「なす」を「する」に改め、同条第二項中「前項但書」を「前項ただし書」に、「又は」を「、又は」に、「なす」を「する」に改め、同条第三項中「第一項」を「第一項ただし書」に改め、「公共事業費」の下に「及び教育・科学技術関係費」を加える。

 第二十二条中「外、左の」を「ほか、次に掲げる」に改め、同条第一号中「第四条第一項但書」を「第四条第一項ただし書」に改め、同条第二号中「公共事業費」の下に「及び教育・科学技術関係費」を加え、同条第三号中「第五条但書」を「第五条ただし書」に、「引受」を「引受け」に、「借入の」を「借入れの」に改め、同条第四号中「借入の」を「借入れの」に改め、同条第六号中「外」を「ほか」に改める。

   附 則

 この法律は、令和六年四月一日から施行し、この法律による改正後の財政法第四条及び第二十二条の規定は、令和六年度の予算から適用する。

 

 以上の改正案が国会で可決されるとなれば、財政法第4条は次のようになります(取消線および赤字が修正部分)。

 第1項:「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以てもって、その財源としなければならない。但しただし、公共事業費、教育・科学技術関係費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすすることができる。」

 第2項:「前項但書ただし書の規定により公債を発行し又は借入金をなすする場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。」

 第3項:「第一項ただし書に規定する公共事業費及び教育・科学技術関係費の範囲については、毎会計年度、国会の議決を経なければならない。」

 次に、財政法第22条は次のようになります(取消線および赤字が修正部分)。

 柱書き:「予算総則には、歳入歳出予算、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為に関する総括的規定を設ける外、左のほか、次に掲げる事項に関する規定を設けるものとする。」

 第1号:「第四条第一項但書ただし書の規定による公債又は借入金の限度額」

 第2号:「第四条第三項の規定による公共事業費及び教育・科学技術関係費の範囲」

 第3号:「第五条但書ただし書の規定による日本銀行の公債の引受引受け及び借入金の借入借入れの限度額」

 第4号:「第七条第三項の規定による財務省証券の発行及び一時借入金の借入借入れの最高額」

 第5号:「第十五条第二項の規定による国庫債務負担行為の限度額」(改正なし)

 第6号:「前各号に掲げるもののほか、予算の執行に関し必要な事項」

 第7号:「その他政令で定める事項」(改正なし)

 提出の「理由」は「教育・科学技術関係費の財源について、国会の議決を経た金額の範囲内で、財政法第四条第一項ただし書の規定により公債を発行すること等ができるようにする必要がある」と説明されています。

 財政法第4条第1項但書による公債の通称は「建設国債」ですが、同じ条項を根拠とする「教育国債」(あるいは「教育科学国債」)の発行ができるようにする、ということでしょう。本来、財政法は健全財政主義を採っており、「建設国債」は例外です。既に何十年にもわたり、特例法によって赤字国債の発行が行われていますから、今さら例外の拡大云々を責めるのもおかしいとも言えますが、「建設国債」と「教育国債」とを同列視できるのかどうかも疑わしいでしょう。いかなる根拠によるものであるのか、説明を伺いたいところです。


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