昨年(2019年)の2月1日に「地方創生 やめたらどうか」、11月17日に「地方創生 目標と現実との乖離」という記事を載せました。また地方創生について記します。
もう、地方創生という看板を下ろし、仕切り直すしかないでしょう。
完全に破綻しているからです。地方創生という政策の目標の一つは、東京圏への人口集中の抑制でした。しかし、現実には、各地方の人口の均衡は実現せず、ますます東京圏に人口が集中しています。
この厳然たる事実は、地方創生という政策が誤っていたことを端的に示しています。早期に、かつ徹底的に見直し、少なくとも現在の様々な施策は廃止するというようなことを行わなければ、無駄を重ねるだけになります。
以上のように記したのは、昨日(2020年2月1日)の朝日新聞朝刊4面14版に「東京圏転入超過14万人」という、小さいながら重要な記事が掲載されていたからです。
1月31日に総務省が統計を発表しました。住民基本台帳に基づいて、2019年に国内を転居した人(日本国民に限定されています)の数です。それによると、東京圏(東京、神奈川県、埼玉県および千葉県)は14万5576人の転入超過で、24年連続とのことです。
日本の三大都市圏と言えば、東京圏、名古屋圏(愛知県、岐阜県および三重県)および大阪圏(大阪府、兵庫県、京都府および奈良県)ですが、名古屋圏は1万1515人の転出超過で7年連続、大阪圏は3857人の転出超過でやはり7年連続であるとのことです(但し、前年度比などは記されていません)。
記事に書かれている総務省の担当者のコメントは「若者の移動を見ると、進学先や就職先の多い東京に集中する傾向が続いている」というものですが、果たしてそれだけでしょうか。そうではない、進学先、就職先だけの問題ではないだろう、と私は漠然と思ったのです。生活しやすいかしにくいか、などの要素も含まれるでしょう。東京圏は家賃が高いが交通費などは安い、東京圏は他の地方ほど車社会ではない、東京圏は他の地方ほど閉鎖的ではない、など、どこまで正しいかわかりませんが、様々な要素があるでしょう。たとえば、高校生が通学するのに鉄道もバスもないから家族が自家用車で送迎をしなければならない、という地方は少なくありません(大学生などについても当てはまる所があります)。
また、東京圏の鉄道の混雑がよく言われるのですが、道路の渋滞よりはるかにマシである、というのが、私の経験に基づく考えです。理由は簡単で、鉄道の混雑の場合、それが人身事故や車両故障などを原因とするものでなければ、大体何分遅れだというように時間を読むことができます。しかし、道路の渋滞では、(距離と慣れによるのかもしれませんが)そう簡単に時間を読めません。
そもそも、東京一極集中などと言いますが、これは最近に限られた現象ではありません。過疎化対策のための法律(過疎地域自立促進特別措置法)が何度か名前を改めながら現在まで存続していることはその証しですが、年数の積み重ねがあるのです。
そればかりでなく、社会構造の変化などもみなければなりません。先日、山形市の百貨店、大沼が自己破産を申請することになり、突然閉店したという事件がありましたが、その原因も複合的なものでしょう。山形市は都道府県庁所在地で唯一、百貨店がない市となりましたが、背景は複雑であるはずです。勿論、企業経営の問題が大きいとは考えられるのですが、それだけでは説明できないでしょうし、全国的に見ても百貨店は減少の一途をたどっており、徳島市も今年の9月から百貨店のない都道府県庁所在地になります(こちらのほうが山形市より先に決まっていました)。今後もその傾向は続くでしょう。
こうしたこと一つを取っても、次々に別の問題とつながることがわかってくるはずです。
下放政策を採るのであれば話は変わってきますが、人の流れを食い止めるのは難しいのです。
本日は、この辺りでお開きとさせていただきます。
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