X万回の災害

阪神大震災の後、ビートたけしは「死者５千人の災害が起きたのではない。１人が死んだ災害が、同時に５千件起きたのだ」と語た。

これは、私たちの想像力への問いだ。
１人ひとりに対する命の問題を考えることはとても重要なのではないだろうか。

私たちは、もしかするとマスコミの影響もあり、戦争や災害の規模を死者などではかろうとする。
「○万人」というとリアリティを失わせるが、その中に、自分がいたら…家族や、愛する人や、動物たちがいたら…どうだろう。

その１つひとつの命はかけがえのないものであり、命に限らず「思い出の品々」もあろう。その中に私たちは「私」を構築している。

忘れてはいけない。

今回の震災は１万３千人が行方不明で、１万数千人が亡くなった…だけではない。その何倍も、今を生きている人々が苦痛や苦悩の中にいる。
「１人が亡くなり・影響を受けた災害が、同時にX万回、起きた」ことを覚えていたい。
X万回でリアリティがないのであれば、Xの代わりに、自分の家族・知人・動物たちを数に入れて、想像してほしい。
その何万倍に、その思いは、今も広がっているのだ。それは、とても悲しい。