アゴラに藤堂仁氏が,“放射性廃棄物の処分,対策の紹介 —「地中処分と」と「核種変換」”として論考を投稿されました.
http://agora-web.jp/archives/1493147.html
それに対して,以下のコメントを投稿したので,ここに掲載しておきます.
ウランにフッ素をくっつけてフッ化体にするとウランはガスとなり,連鎖反応によって生まれた様々の元素(核廃棄物)と分離します.すると,核廃棄物の95%を占めるウランが単一金属として分離されます.ウランの他にも一部ガスとなりますが,沸点が異なるので,それらも分離できます.分離されたウランはそのほとんどがウラン238であり,放射性ゆえ注意は必要ですが核弾頭にはなりません.しかも自然界に存在する物質です.残り5%,プルトニウムと連鎖反応によって核変換した種々の元素の混合物を,そっくり熔融塩炉に入れ消滅させます.分離されたウランを地上で保管すれば,地層処理は無用になるでしょう.連鎖反応させ,安全な元素を分離して取り出すという地道な作業の繰り返しです.固形の高放射性ゴミではできませんが,液体を扱う熔融塩炉なら実用化の可能性があります.全世界の核兵器の廃絶が現実化します.
従来のオメガ計画とは異なります.核のゴミを液体の状態で熔融塩炉を用いて消滅させます.
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最近,オメガ計画という言葉があちこちで使われるようになりました.オメガ計画とは,Option for Making Extra Gains from Actinides and Fission Products の頭文字を名前にした計画で,原子力委員会が1987年に制定したもののようです.
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=07-02-01-07
しかし,核廃棄物の処分は,実際上は地層処理ばかりが宣伝されて,このような放射性元素の核変換,消滅を考える計画があったとは一般には殆ど知らされていなかったと思います.どこに埋めるか,処分地を探す・・,その一点張りだったと思います.
オメガ計画には,熔融塩炉を用いる方法も出てきますが,それは名ばかりで,急に出てきたのは固体の燃料を用いる「もんじゅ」を活かすための方便のように感じられます.
「もんじゅ」では,安全な元素とさらに分裂させねばならない危険な元素との分離が,事実上困難だと思います.
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