森中定治ブログ「次世代に贈る社会」

人間のこと,社会のこと,未来のこと,いろいろと考えたことを書きます

失敗学会フォーラムに参加して

2014-06-22 12:38:30 | 原発・エネルギー

昨日(2014.6.21)東京大学工学部において,失敗学会フォーラム“『東電等の刑事責任』再稼動云々の前に白黒つけたいことがある”が開催されました.先般の市民シンポジウム「対論!人類は原発をどうするのか?」でコメンテーターをお願いした飯野謙次先生がその世話人をされていて,やはりゲストとしておいで下さった吉岡律夫さんや後藤政志さんも講演者となっており,お誘いを頂いたので参加しました.

吉岡さんや後藤さんの他に,内閣法制局参事官,京都地検検事正等を歴任された古川元晴弁護士,原発事故調に参加されたコマツ顧問の淵上正朗さん,東京大学工学部教授の中尾政之先生がお話しされ,法学者の船山泰範先生が資料を配布されました.その後,参加者との質疑となりました.

質疑の最初は,古川氏,淵上氏,吉岡氏らを中心として事故前の地震予測に関する,政府と東電の経緯についての詳細な議論があり,私のような非専門家にはどのように東電の責任につながるのかつながらないのか,話全体をつかむことがなかなか難しいと思いました.後半は工学・技術の問題になり,工学・技術はいつも失敗,不完全を乗り越えて改良され進歩していくものであるゆえ,原理としてその発明者あるいは稼働者の責任を追及できないという原則論があることが分かりました.

であればそれを扱う組織や人の問題,つまり気の弛みや驕りなどいわゆる人災であれば責任を問えるのではないかと,私は直感的に思いましたが,それも航空管制における真逆の指示のように明確なものでなければ実際上は問えないというお話があり,やはりこれも非常に難しい問題であることが分かりました.

そのかわり,過去の失敗を新しい技術やシステムには活かすことが必須であるとのお話が古川氏からあり,ついで中尾氏から過去の失敗を活かすだけではなく,最悪の失敗が生じた場合を想定しどう対処するかを考え最善の準備をしておくことが必要とのお話がありました.

私も,過去の失敗を活かすことは重要であるがそれは対処法の半分であり,最悪の事態を想定しそれに備えておくことも必須であって,それが残りの半分であり,この両方で初めて失敗が克服されるのではないかと思いました.この後半の半分の“最悪に事態に備えておくこと”に関して私の意見を述べ,古川氏のご意見をお聴きしました.

私の発言(一部補足追加)・・・福島の原発震災の時,原子力委員会の近藤俊介委員長は最悪の事態では移転を認めるつまり人が住めなくなる地域が現場より250km以遠にも及ぶ可能性を指摘している.つまり,冗談や笑い事ではなく,現実に東北から関東に人が住めなくなる可能性があったことを意味し,それだけの人を受け入れる地は簡単に見つからないことから,これは日本が祖国を失うことを示唆する.実際に国連の職員や米国人等は早々に退避した.当時ロシアのメドベージェフ大統領は「人口が少ないシベリアや極東で、日本の潜在的労働力を活用することも考えるべきだ」と述べ,一時的な回避地としてではなく,最悪の事態においては日本民族のために生活の場として極東を解放する用意があると受け取れる発言をしている.これは原発震災直後,日本が国を失う事態に陥ったときの時を外さない率直な発言であり,他国のために自ら進んで自国を譲ろうとしたとみることができる.日本はこの隣国ロシアの同じ人間としての真っ直ぐな言葉を忘れるべきではないだろう.しかしながら,嬉しい申し出ではあるがシベリアやカムチャッカでは,日本人にはちょっと寒すぎるようにも思う.寧ろ中国にお願いして,かっての満州の地を日本民族の移住のために解放してもらったらどうだろうか.その方が,寧ろ日本人に合っているのではないかと思う.かっては自国がありながら新しく“満州国”を創った.そういう過去の経緯を水に流し,今度は自国を失った日本がお願いして両者が平和裡に新しい国を建設するのである.

“現実に起こりうる最悪の事態を想定する”とは,こういうことを考えそのための対処を行うことだと思う.大飯原発は稼働差し止めとなったが,確定したものではなく今後その可能性は残されている.例えばこの原発が稼働し,最悪の事態になれば関西一円に人は住めなくなろう.民族移動の代替地を用意しておけとまでは言わない.しかし,いざ!というときに「委細承知している」と黙って土地を提供してくれる国家関係を構築しておく必要があろう.

この最悪の事態への対処に関する議論は,日本人を一段高いところに導く.「尖閣諸島問題」で日本は中国と角を突き合せ,軍事衝突にもなりかねない状態にある.しかし日本が中国に頭を下げ,人口密度の低い地を日本民族のために解放してくださいとお願いする時,尖閣諸島で角を突き合せていてそれができるだろうか.人が住むことすらできない島の奪い合いで相互に敵視し憎しみ合うことがいかにつまらないことか,どれほど重要なものを失うか,こういう視点にたてばそれが見えてくるのである.

・・・・・

上記のような意見を述べ,古川氏に見解をお聴きしましたが,古川氏はこれには直接には答えられず,あらゆる最悪の事態とその対処について国民が論を尽くすことが大事だというご見解でした.この他にも熔融塩炉に関するやり取りもしましたが,長くなるので省きます.大変有意義なひとときをもつことができました.

クリックお願いします.

          

 

 

 

コメント