森中定治ブログ「次世代に贈る社会」

人間のこと,社会のこと,未来のこと,いろいろと考えたことを書きます

U出版・自費出版と商業出版の間 ー初めての裁判(5)

2017-07-25 09:41:28 | 社会問題

(5)控訴の結果

5月31日に控訴した出版裁判について結審がでました。
(この出版裁判の発端と経緯については過去のブログを参照してください)

私と長瀬氏の敗訴となりました。

私も長瀬さんも、代理人(弁護士)も、社会の一般常識として、出資をした者、つまり金銭的なリスクを負った者がその制作物の所有者であると考えました。しかし結果としては、我々の常識ではなく覚書に書いてある通りの判断でした。
つまり、覚書には著者が100冊献本を受けると記述されており、所有者であれば献本を受けるはずはない。したがって所有者は赤○氏であるという、論理に基づく結論です。
これに対して、もしその論理で考えるなら、赤○氏もパブリシティー献本という言葉で100冊取ったのだから所有者は両者のいずれでもなく、両者に共通する架空の存在であってそこから両者が献本を受けたのではないか、そう論理付けられると主張しました。
実際に、著者が100冊献本を受けるなら、私も同じ部数をもらうよと言ってU出版社長の赤○氏がもって行ったのです。
だからこのことを言えば控訴は勝つだろうと思いました。
ところが、赤○氏もパブリシティー献本という言葉で100冊取ったのは事実だけれども、覚書にはパブリシティー献本100冊と書いてあるだけで赤○氏が献本を受けるとは書いてないのです。

最初から覚書に罠があったというほかはありません。

考えてみるとパブリシティー献本の意味がよく分かりません。出版社とか卸などに配ったのか??国会図書館じゃあるまいし、出版された本がいちいち全部献本されても出版社も卸も書店も保管に困ってしまうでしょう。私の前に同じく“U出版”で本を出した人が一人いました(私が二番目)。講演会で私が講演した時、赤○氏は受付付近にその“U出版”の本を置かせて欲しいと頼み、私はそれを了解しました。その本は、講演と関連があり相当売れたように思いました。そこで販売された本は赤○氏自身が持参した本であり、むろん卸や書店を流通していないので流通経費はありません。売上の全額が利益です。しかも制作費は著者が出していれば一切の負担なく売上全額が自分のものです。こんな虫のいいビジネスはちょっと思い当たりません。

最初のK先生のお話では、赤○氏は出版業界に顔が広いので出版社を紹介して便宜を図ってくれるということでした。大学教授や著名な人にはそうしているのでしょう。しかし赤○氏は、私に対してはどうしてもうちで出版させてくださいとお願いしました。赤○氏は絶版にして全部廃棄したと言いますが、実際大手の書店には私の本はまだ置いてあります。しかし、裁判で敗訴して所有者が彼ということになった以上どうすることもできません。6:4で利益分割の約束が全額赤○氏の取り分になります。本の中身は無論私、本の制作費も全額私、それでいて売り上げは全額赤○氏のものです。私が自分の正当な取り分を受け取るには裁判しかありません。


結論として、赤○氏のような小企業で、お金を出資してくださいという話は全て詐欺だと思った方がよいと思いました。著者の中には、とにかく出版さえすれば出資や利益のことなどどうでもよいという人もいるでしょうから、そういう人は無論のこと、社会的に発言力がないと見た人には積極的に迫っていくのでしょう。赤○氏の謳い文句である著者と出版社のコラボによる新しい出版形態 “U出版” も10冊を超えたということです。この裁判に勝ったので、これから大威張りでこのビジネスを進めるでしょう。何せポイントを押さえた簡単な覚書でスタートすればよいのです。私の場合のように、著者から権利関係が明記してあるちゃんとした契約書を結んでくれと要望が出れば、「もちろん結びます。ただし今は細かい契約書で時間を食っているより本の制作が先です。出版までには結びます」。こうしてお金を入れさせたら赤○氏のもの、「この業界でこれ以上詳しい契約書を結ぶ習慣はありません。誰も結んでいませんよ。どうしてもというならこの出版は止めてもいいですよ。ただ既に動いているので、あまりお金は戻ってきませんが・・」

何れにしても、制作物の書籍は赤○氏が持ち(倉庫代は著者に請求するが)、売り上げも赤○氏のところに入るので、どうにもならないのです。個人出版のようなところにお願いする場合には、全額を支払う前に罠のない覚書(契約書)を作らなければ出版するものではないと思いました。裁判に勝って、怖いビジネスが大手を振れるようになりました。
今後も出版することはあろうかと思います。

いい経験、社会勉強をしました。

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コメント (4)
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