森中定治ブログ「次世代に贈る社会」

人間のこと,社会のこと,未来のこと,いろいろと考えたことを書きます

安藤昌益を知っていますか?

2012-11-24 10:02:13 | 人類の未来

安藤昌益(1703-1762)は,江戸時代の医師であり,思想家です.

彼の残した書物「自然真営道」のなかで“男女ヲ人ト為ス.一人ヲ以テ人ト為ル則ハ失リナリ.“転定ハ一体ニシテ上無ク下無ク,統ベテ互性ニシテ二別無シ”と言っています.

男女6才にして席を同じくせずとされた,男女差別の非常に激しい時代,身分差別が厳然とあった時代に,なんと“男女”と書いて“ひと”と読ませたのです.そして人間には上も下もなく,身分の違いはないと世間に断言したのです.“転定”は“てんち”と読み,天も地も,いわゆる天の身分をもつ人も地の身分の人も人間として何ら差はないという意味です.

日本の民主主義の原点として,今見直されています.

この人を発見したのは,狩野亨吉という人で京都大学の初代学長を務めた人です.夏目漱石と仲が良く,漱石の「我輩は猫である」に出てくる“苦沙弥先生”のモデルといわれ,ものすごく優秀な人だったそうです.

その後,再び埋もれてしまいました.再発見したのはカナダ人で在日カナダ大使を務めたE・ハーバート・ノーマンです.この人は太平洋戦争直後に,進駐軍(GHQ)として日本に来ました.進駐軍は,野蛮な国日本を人間らしい民主主義国家に導いてやるといってやってきたのです.ところが日本には,米国よりも早く真に人間の平等と民主主義に目覚めた人がいたのです.吃驚仰天したノーマンの顔が目に浮かびます.

そして現代が第三のブームです.今年の10月25日に「現代を生きる安藤昌益」(御茶の水書房)が出版されました.私も「日本のヘーゲル 安藤昌益」と題した小論を啓上しています.そして11月4日に「3.11と安藤昌益の集い」と題した大きなシンポジウムが東京電機大学・丹羽ホールで開催され,500名の会場が超満員でした.講演のなかでは,竹下和男氏の食育のお話が大変面白く心を打ちました.子どもがどう生きていくかというテーマは人の心を打ちます.これはに日本だけではなく世界に普遍でしょう.そして,12月21-24日には,千住ミルディスI番館(北千住マルイ)内のシアター1010で「自り伝」と題した安藤昌益の劇が催されます.

“ヒト”は生物のひとつです.男女が未来に命をつなぎます.私は生物学者として,“男女”ともって人とした安藤昌益に驚きます.さらに,空間的に離れた別個体を併せて一つのものとした安藤昌益に驚きます.安藤昌益は仏教を否定したけれども,唯識(仏教)と共通するものがあるのではないかと私は思います.

ヘーゲルは彼の著作「大論理学 有と無の統一」において,“むしろ両者が同一のものではないということ,両者は絶対に区別されるが,しかしまた分離しないものであり,不可分のものであって,各々はそのままその反対の中に消滅するものだということである”と述べています.

生命(ここではヒトと同じですが)とは,個々に識別でき決して同じではないが,同時にまた一つであって分離できないものであるということに気づいているように,私は思います.ヘーゲルは,現実には男と女つまり性による社会的な役割を固定的に捉えた,封建的な面をもっています.しかし,それらの封建的な面にとらわれて彼を除外してしまえば,彼の人類に残した大きな遺産をも捨ててしまうことになるでしょう.

この生命(人間)について12月1日(土)に,東大(駒場)で開催される日本人間進化学会(会長 長谷川眞理子)で発表し,参加者と議論する予定です.生命とは何かという問いかけに対する人間の深い理解が,人間を成長させ,核兵器の廃絶,全世界の戦争の放棄や地球環境の破壊から人類を解放する力になるのではないかと私は思います.


PS.  11月25日(日)は私の歌の発表会です.「遥かなるサンタルチア」「アヴェ・マリア(マスカーニ)」の2曲を歌います.12月4日(火)は横浜みなとみらいホールで第66回全日本学生音楽コンクール全国大会(声楽)です.キップを買いました.初心者で大変僭越ではありますが,可能であれば前回のようにそれぞれお聴きした率直な感想をブログに上げるつもりです.あくまでも一人の観客(素人)としての印象ですので,誤解のないようにお願いいたします.

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   拙著「プルトニウム消滅!」,「マジ」のタグのついたエネルギー本に関する感想ブログ・書評レビューランキングで1位になりました.生物学,経済学,公共哲学を統合した本書全体を貫く主張の真面目さを,読者の皆様に感じとって頂けたのではないかと思います.

 読み易い本です。是非読んでみてね

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平和の国 平和の社会システム 日本

2012-11-10 13:39:18 | 原発・エネルギー

日本は平和の社会システムをもっています.

もし自爆テロリストが小さな爆弾をもって新幹線に乗り込んだとします.新幹線が200km/hで走っているところで爆発させれば,もちろん爆発させた本人も死ぬでしょうが,電車は転覆し大勢の無辜の民が死ぬでしょう.

飛行機は,搭乗時に荷物検査とボディー・チェックをします.新幹線では,そんなこといちいちしていません.もし上記のような事件が日本で発生すれば,その後,新幹線に気楽に乗れなくなるかも知れません.大変な警戒も必要となり,動かせなくなるかも知れません.毎日ものすごい数のビジネスマンが利用し,社会が動いています.日本の経済は,それだけで大打撃になるでしょう.ひょっとすると日本国債が暴落し,デフォルトの引き金を引くことになるかも知れません.

日本でなぜテロが起きないのか.なぜ新幹線が爆破されないのか.

人間は,本来平和を志向します.人間に限らずあらゆる生命がです.人間は生き物を殺して食べますが,それは必要だからです.食べる以外にも,研究や趣味やスポーツに他の生物を殺しますが,それも必要性があるからです.

何の意味もなく,おもしろ半分で,それができるからといって,大量の人殺しをする人は通常はいません.日本社会は,この最も常識的な,人間の原点にある基本的な考え方に基づいている非常に常識的な,真っ当な社会です.真っ当な社会は,平和を前提とする社会であることが直感的に分かります.

アサド政権を擁護するのではありませんが,シリアの問題は非常に錯綜しています.今現在の瞬間を捉えて,○○が悪いと一方的に裁断することは非合理だと私は思います.悪と裁断される者が善と一緒に行動していたときもあります.長い過程のなかで現在があります.

悪を滅ぼせば結果として善だけが残る.この主張は論理的で分かり易いです.正義のヒーローが出てきて悪を滅ぼしめでたしめでたしとなる物語は,どうもこういった論理ゆえに分かり易く好まれるのだと思いますが,その瞬間はそう見えても決してそうはなりません.善と悪は一つのものの言わば表裏だからです.

アサド政権制裁のための会議を東京で開くことに強く反対します.

もし新幹線が爆破されたら,それからアラブ人が新幹線に乗り込むことは拒否されるでしょう.犯人はアラブ人だけではありません.あらゆる人を疑わなくてはならず,日本人は本来そんな社会システムも,そんな伝統ももっていないのです.日本社会は成り立たなくなるでしょう.日本の私的な利益ばかり考えず,全世界の規範となる人間本来の社会システムをどうすれば維持できるか,それを考えるべきだと私は思います.

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高レベル放射性廃棄物に関するシンポジウム

2012-11-07 09:52:38 | 原発・エネルギー

以下に日本学術会議からの案内(ニュース)を添付しましたが,12月2日(日)に日本学術会議が高レベル放射性廃棄物の処分について市民参加型の一般公開シンポジウムをもちます.

拙著「プルトニウム消滅!」に前回のシンポジウムの内容を書きましたが2年ぶりです.前回は,会場の参加者(一般市民)から意見をいただき,またNUMOと共通した考えをもちたいということだと思うのですが,会場の一般参加者とのかなり長い質疑の時間をもちました.今回は内容が詰まっているのでどうなるか分かりません.

参加申し込みをしました.前回は,高レベル放射性廃棄物の地層処分するとして埋めた周辺の住民に何年位交付金を支払うかという会場からの問いがありました.私は,そりゃ10万年以上のとてつもないことになるのだろうと思いました.今回は,そんな膨大なコストのかかる方法ではなく,海洋投棄の話が出るかもしれないと思います.日本海溝に捨てればただ,しかも廃棄物をプレートがマグマに巻き込んでくれるというシナリオです.自然の力を利用したクレバーな方法だとなりかねません.面倒なことは一切なく国際条約を破棄するだけです.生命を考えてきた一人の生物学者として,生命に基づく一つの生物として,そして人間として許せないと思います.

どんな展開になるか分かりませんが,大変重要なシンポジウムです.人数に限りがありまだ間に合うかどうか分かりませんが,希望の方は申し込まれたらよいと思います.

森中 定治

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日本学術会議主催学術フォーラム「高レベル放射性廃棄物の処分を巡って」の開催について (ご案内)

■日時:平成24年12月2日(日)13時00分~18時00分

■会場:日本学術会議 講堂

 平成24年9月11日に原子力委員会に提出した「高レベル放射性廃棄物の処分に関する回答」は、手交に至る前から大きな社会的関心を呼び、原子力発電の是非をめぐるバックエンド問題として極めて重要な課題であることが浮き彫りになった。高レベル放射性廃棄物の処分は、原発を存続するないし廃止するに関わらず、対処しなければならない問題であり、これまで先送りされてきたこの問題について、上記原子力委員会への「回答」をベースに多様な立場からの議論をシンポジウム形式で実施する。 

13:00~13:30 第1部 

 開催挨拶及び基調報告「高レベル放射性廃棄物の処分に関する回答」について   今田 高俊(日本学術会議会員、東京工業大学大学院社会理工学研究科教授) 

13:30~14:50 第2部

 基調講演「高レベル放射性廃棄物の処分について」  鈴木 達治郎(原子力委員会委員長代理)  武田 精悦(原子力発電環境整備機構(NUMO)理事)  石橋 克彦(神戸大学名誉教授)  山口 幸夫(原子力資料情報室共同代表)

14:50~15:10  休憩

15:10~17:40 第3部 

 パネルディスカッション テーマ1,総量管理2,暫定保管3,多段階の意思決定

コーディネーター 柴田 徳思(日本学術会議連携会員、千代田テクノル株式会社大洗研究所研究主幹)

パネリスト  鈴木 達治郎(前出) 武田 精悦(前出) 石橋 克彦(前出) 山口 幸夫(前出)  舩橋 晴俊(日本学術会議連携会員、法政大学社会学部教授)  千木良 雅弘(日本学術会議連携会員、京都大学防災研究所教授)

17:40~18:00  第4部 総括及び閉会挨拶  山地  憲治(日本学術会議会員、公益財団法人地球環境産業技術研究機構理事・所長)

 コーディネーター   柴田 徳思(前出) 

■参加費:無料

■申込

以下のURLよりお申込み下さい。

URL: https://form.cao.go.jp/scj/opinion-0003.html

■申込、参加に関する問い合わせ先 

 日本学術会議事務局企画課学術フォーラム担当

  〒106-8555東京都港区六本木7-22-34

 電話: 03-3403-6295/FAX: 03-3403-1260

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