森中定治ブログ「次世代に贈る社会」

人間のこと,社会のこと,未来のこと,いろいろと考えたことを書きます

特攻隊の遺書をどう読むか

2014-12-11 20:57:42 | 人類の未来

年末に近づいた2014年11月30日,東京渋谷の東京ウィメンズプラザで“NPO法人 ブリッジ・フォー・ピース”が主催して講演会が開催されました. “「いつか来た道」を再び辿らないために,今できること”と題して,ブリッジ・フォー・ピースの鈴木佑輔さんが質問する形で元特攻隊員の岩井忠正さんのお話を聴く催しでした.岩井さんは,1920年の生まれで94歳,こんな機会は滅多にないし,来年4月の市民シンポジウム「対論!右派の異端者 左派の異端者」に向けて自分の考えをまとめるのに有用と思い参加しました.

この集いは30人くらいの比較的小さな集まりでしたが,なんとその半数以上が大学生を含む30歳台以下の若い女性,また男も若者が多く,私のような60歳台以上の老人は私と一緒に参加した2名の他にあと2名,全部で5名程度の,殆どが若者の集いでした.元特攻隊員の話では明るい話ではないだろうし.政治に関する講演会では多くが老人ばかりなので,まるでクッキング教室のようなこのあでやかな集いに大変驚きました.

岩井さんには,さすがに若いお嬢さん(お孫さん?)が付き添っていらっしゃいましたが,そのお話は明瞭で分かり易くかくしゃくとして,拝聴してとてもよかったと思いました.

岩井さんは慶応義塾の学生の時に,学徒出陣で海軍に入隊し,機雷学校に入学して訓練を受け,その後特殊兵器要員に選抜され最初“回天隊”に,その後“伏龍隊”に配属されました.回天は人間魚雷のことで比較的知られていますが,伏龍とは,潜水服を着て海に潜み,棒の先につけた機雷で敵船を突き,敵船とともに自爆する特攻です.出撃の前に戦争が終わり,九死に一生を得たのです.特攻を2種類も経験した人は他にいないのではないかとのことでした.

お話と同時に配られた資料に,「特攻隊員の遺書をどう読むか」という論考があり,ご自身も特攻隊のただ中にいて運命が僅かでもずれれば遺書を書いて出撃した当事者であり,お話は大変重いと感じました.しかし,このブログは,あくまで私が岩井さんのお話から受けた印象です.

特攻隊の遺書は,もと陸軍基地であった知覧特攻平和記念館(鹿児島県)に展示されているものが有名ですが,陸海軍を問わずありさまざまに取り上げられます.また,学徒出陣の兵士が書いた遺書は「きけ わだつみのこえ」としてまとめられ東京大学協同組合により出版されました.そこには,BC級戦犯として死刑となった学徒兵の遺書も含まれるとのことです.(ウィキペディア12.2014)

どの隊員も概ね出撃が決まるとその前夜に遺書を書き,内容も共通するとのことでした.

つまり,それは検閲のうえで両親のもとに届けられるので,ここまで育ててくださった両親にまず感謝を述べ,その両親よりも先に死ぬことを詫び,しかし死ぬ目的が恐ろしい野獣から日本を守るためなので、どうぞ笑って許してくださいという結論に行き着くということでした.しかし,岩井さんのお話では,特攻仲間の中で好き好んで喜んでいる人は誰もいなかったようでした.明日自分は死ぬことはもう定まったことであり,このような遺書を書いてそれを繰り返し繰り返し読みまた考えて自分自身を納得させるのだということでした.

日本人の子どもや女性を守るために,未来の日本を守るために,若い自分が生命を賭けて襲ってくる悪魔と戦う,これには誰もが感動します.人を涙させ,感動させるものがあります.問題は,この感動が侵略戦争に利用されることだといわれました.感動することが悪いのではなくて,それを悪用することが悪いのです.この感動を,逆に人を生かすために用いることができるのではないかと私は考えました.

あと,心に残ったお話は,人間の望み,要求というものは教育によって植え付けられるのではなく,自分自身の中にもっているんだというお話でした.さまざまな社会運動が湧き上がってきます.金が儲かるわけではない,いや金を使ってもやります.なぜそんな社会運動をするのか?自分の中にもっているんですね.

それから「槍は矛を呼ぶ」という言葉,インパクトがありました.さらに戦前と現代の違いは?と問われて,「戦前は民主的な話をすればアカの始まりと言われ,すぐ逮捕された.今は自由民主党(自民党),民主党,社会民主党(社民党),何事も民主的でなくては始まらない.これくらい動き易くなっている.その上普通選挙もある.戦前とは社会環境が全く異なる」とのことでした.なのになぜ,戦前の時のようになっていくのでしょうか.選挙ができるのに,なぜ投票率が50%を切るようなことが生じるのでしょうか.

私は,この辺を来年4月11日の市民シンポジウムでお話ししたいと考えています. 

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