ふらいすたーげ

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金八先生 第6シリーズ

2009-02-22 11:49:29 | 金八・3B関係
シリーズ屈指の人気作。すべてを見ても、面白さ、過激さ、生徒の描写、クラス、職員室、教育論、説教、青春のどこをとってもバランスがよかった。
一般にも知られてもいるように、鶴本直(上戸彩)と成迫政則(東新良和)を中心に描かれていくが、彼らの問題がクラスの問題と深く結びつくよう展開されていて、第7のしゅう、舞子、伸太郎のように浮くことはなかった。第8の大将と美香に近い。
しかし別の見方をすると、そのバランスのよさが、多彩なテーマが絞りきれないまま終わったとも言えてしまうがこれは仕方ない。
特に、幸作の病気は内容は深くよかったが、少しテーマが重すぎた。はじめから金八が家庭と学校の面倒を同時に見る両挟み状態が進行し、学園を舞台にしたドラマの焦点が絞りきれずに終わった感がある。また、暗い学校に対比される明るい坂本家が暗くなったのも辛かった。多くの問題ある家庭が展開するなか、唯一明るい坂本家でエネルギー再生産が図られるという図式が崩れた。繰り返すが話としては本当によかったと思う。
また「直と政則」3回のクライマックスのあと卒業までの北村充宏〔ミッチー〕(川嶋義一)と取り巻きの彼女たち、彼らと直とクラスとの修復が早すぎる気がする。それまでの亀裂が根深すぎた分、直は授業のあと、ミッチーは説教のあと、ゆっくり今までの心を解いてほしかった。他の主要生徒の問題も、あっさりエンディングに突入してしまいどうかと思う。ラストはさらに金八の異動、教育問題、OB出演も重なり、テーマを背負いすぎて、ややクラスが消化不良に終わったのがこのシリーズの唯一の欠点だろう。

以下、目立った生徒たちの感想

直は「男」を演じたことがまず評価されるだろう。最後まで口にできない同じような苦悩の日々を演じたこともすごい。マンネリ化しそうで難しそうだった。またこれほど最後になるまで自然に笑わない暗い主人公も珍しい。これまた苦しい役だろう。

政則もずっと表情が引きつっていた面では同じだった。彼は人間的な成長が現実のように感じられうまかったと思う。引きこもり状態の子が雪解けのように少しずつクラスに馴染んでいき、赤嶺繭子(佐藤めぐみ)と山田哲郎〔てっちゃん〕(太田佑一)への友情と愛、「直と政則」の回で事件との対峙→クラスとの対峙→報道と人権の授業、そして父との面会、金八の擁護と別人のように大きく成長した。私は事件がばれたときの繭子に対する涙目が忘れられない。深い悲嘆、苦悩、怒りに愛が拮抗して力んでいる姿が一枚の絵画になっていた。
その主役級に匹敵する役どころが信太宏文(辻本祐樹)と今井儀(斉藤祥太)だった。ノブタの演技は誰もが圧倒された、忘れがたい存在になっただろう。私は今までこれほど心にグッと来る関西弁を聞いたことがなかった。深い悲しみのときの笑顔が本当にうまかった。机を歩くシーンは名場面の一つだろう。儀は穏やかな顔と鋭い顔の切り替えがとてもスムーズだったと思う。
ミッチーの存在感もすごい。ネット上の感想によくあったが、本当に北村充宏という人間がいるかのようだった。家庭描写も皆無に近いなか視聴者が彼の人物像を把握できるのもあの演技あってこそだ。思春期の子がオカマ言葉で叫ぶ強がりと弱さ、そしてセリフを手玉にとる変幻自在さが完全に独自の存在感を与えていた。クラスを茶化す場面、直との乱闘、和解のときの笑顔が忘れられない。
政則グループに欠かせない、繭子とてっちゃんも比重が高い。繭子はてっちゃんの保護者(?)としての優しさと、政則への深い友情と恋愛感情も混じった慕情が濃い風景のような印象を与え、世界を支えていた。あの優しさは清純派美少女と初恋モノに王道の展開だ。話しがずれるが、こういう率直な優しさが7の舞子にはほしかった。彼女が舞子をやればよかったのに。失礼。ちなみに彼女はこの番組がなければ有名になってなかったようである。てっちゃんはしゃべる場面と言葉にできない場面いずれも身体で演技ができていたと思う。
長谷川賢〔ハセケン〕(加藤成亮)グループへ。彼の評価ポイントは健全さと優等生さだが、もうひとつ鋭い演技がほしかった。笹岡あかね(平愛梨)と前多平八郎(田中琢磨)は背景化してしまい、演技以前に脚本がもっとはっきり性格を魅せてほしかった。ミッチーグループも同じ。あと安原弘城(竹沢正希)も個性的なキャラだっただけに惜しい。一方で嘉代正臣〔カッシー〕(佐々木和徳)と菅俊大〔スガッチ〕(途中慎吾)はキャラがかぶっていたきがする。
重要な助演の江藤直美(鈴田林沙)は好演だが似た表情が多かったから、もっと変化を与えてもよかったのでは。木村美紀(森田このみ)はその点、父の自殺未遂から多様な表情が見れた。
学級委員の小堀健介〔コボ〕(佐藤貴広)はノブタと同じく弱さがうまい。彼はひた向きさも光った。青沼美保(本仮屋ユイカ)ははっきり、まさしく「初志貫徹」でしゃべる所が一番。
今回の優等生は見えない深みがあった。近藤悦史〔主任〕(杉田光)はガリ勉場面しかないが、見えない所でよい人間性ばかり感じさせる。風見陽子(中分舞)も大好きだった。二人とも素をあえて出さず、悪ぶって、真面目ぶって、秀才を目指しているのがよかった。この二人がささやかに思い合う様子もどこかいい。
本田奈津美(谷口響子)は「特別美人でもないが、かわいいと言える」という、つまり「ありがちな女子」という脇役に見事に徹していた。笠井美由紀(高松いく)は「あなたのためなら死んでもいい」というストーカーのイメージが焼きつく役になってしまったが、それ以外でも目の使い方が非常にうまかった。笑顔、コミカルさも吸い込まれるようでいい女優さんだと思う。
星野雪絵ちゃん(花田亜由美)は、ともすれば背景化しそうな子なのに、キャラが良すぎで特していた。馬場恭子〔おかあさん〕(金沢美波)は赤ちゃんシーンで本当にお母さんみたくインパクトありすぎ。でも怒鳴る突っ込みキャラでなくてよかった。常にクラスのことを考えているようでうまく合っていた。山越崇行〔チュウ〕(中尾明慶)は愛嬌のあるちょっかい家で面白い。先生が呼び出して話しをききやすいふざけキャラというのは面白い。

回復

2009-02-22 00:10:36 | 一般記事
出したばかりで申し訳ないが、前掲の記事は一度白紙に戻すことにした。
シベリア鉄道はいつか乗りたいと思っていたが、時間が必要だし、若くないと体力的にきついからとつい焦っていた。冷静に考えたら、少し調子に乗っていたかもしれない。
とにかく豪州での20日近い修道院生活に集中したい。そのまでの間も全く仕事を探さないわけにもいかない。
実際は予算面が厳しいから保留なのだ。時間とお金が叶えば、船と3日の鉄道くらい乗りたいと思っている。
辛いときも弱音を吐かない人間が一番かっこいいと思う。でも誰もがなかなかそうはできない。せめて辛いときに弱味を見せない人間がいい。でも私はそれも苦手だ。
やっと体調が回復してきた。金沢に来てからこの5年間、インフルやら食道炎やらいやな病気はあったが、正直この5日ほど辛かったことはない。熱もない、体もだるくない、頭痛も大したことがないのに、ひたすら頭が苛つく。風邪の後に、急性の蓄膿症が来たのだ。これは前も一度なった最悪の天敵だ。自分は、インフルもそうだが、自分の頭が自分の意志と関係なく苛立つことに我慢ができない。そういう意味では神経質な人間なのか。
職安の説明会に(休めないから)無理に行ったら、目付きも危ないし、質問されても「はあ?」とか言ってすごい状態だった。言葉もろくに聞き取れない。意識がもうろうとしている人みたいだった。どこかの国の財務大臣みたいだった。
体は元気なのに頭だけがフラフラして苛つくのはこんなに辛いことなのかと再確認。自分がどんなに弱い人間か、ただの葦にすぎないかががよくわかった。また、久しぶりに精神的な病の恐怖も思い出した。昔体験したが、最近忘れていた。苦しい思いほど、質的には刻まれても量的には早く忘れやすいものはない。
さて、この引きこもり期間中に金八第6シリーズを制覇することができた。その感想もまた出したい。