能ある鷹は爪を隠すというが、一昨日とはうって変わっての日常が、社内では繰り広げられていた。緊張感が増していた。連帯感はもちろん増したろうが、表に出してはただの馬鹿になってしまう。*1それぞれに己れの職務がある。皆仲がよくても、仕事は別。すべての人は容赦してくれても職務は別。待ってくれない。
リルケはかつて職業とは巨大な因習のようなものだと説いていた。*2私もそれは思い知らされてきた。よく一人でやる仕事は存在しないというが、職業というのは、それに携わってきた、幾千年の人々の知恵や伝統、一方苦しみや呪いも背負っているかのようなのだ。医者が、「お前医者じゃないのか?治してくれよ。」と言われるとき。また、「あんた警官でしょ!なぜ見張ってくれなかったんだ!」と言われるとき。世界中の何千年という「歴史」が彼を襲うのである。彼はそこでかつていた無数の「医者」「警官」と出会うのだ。
・朝、岩盤浴。昼、会社。
*1いつも思い出す言葉がある。ドラマ『王様のレストラン』で大好きな仙石のセリフ、「オーナー、ここはレストランです。サークル活動ではない。」
*2「私は職業というものは大へん苦しく、大へんうるさく人に要求してくるものだと思います。それは巨大な因習を背負っていて、その課題に対する個人の見解などをほとんど容れる余地を持っていないからです。」
「(中略)ただ私があなたに助言できることは、職業というものはすべてそうではないか、ということを考えていただきたいということだけです。それは個々人に対して押しつけがましい要求をいっぱい持ち、敵意に満ちたものではないか、いわば黙って、仏頂面をしながら、味気ない義務に従った人々の憎悪をいっぱいに吸い込んでいるのではないか、ということを。」(リルケ、高安国世訳『若き詩人への手紙』新潮文庫)
リルケはかつて職業とは巨大な因習のようなものだと説いていた。*2私もそれは思い知らされてきた。よく一人でやる仕事は存在しないというが、職業というのは、それに携わってきた、幾千年の人々の知恵や伝統、一方苦しみや呪いも背負っているかのようなのだ。医者が、「お前医者じゃないのか?治してくれよ。」と言われるとき。また、「あんた警官でしょ!なぜ見張ってくれなかったんだ!」と言われるとき。世界中の何千年という「歴史」が彼を襲うのである。彼はそこでかつていた無数の「医者」「警官」と出会うのだ。
・朝、岩盤浴。昼、会社。
*1いつも思い出す言葉がある。ドラマ『王様のレストラン』で大好きな仙石のセリフ、「オーナー、ここはレストランです。サークル活動ではない。」
*2「私は職業というものは大へん苦しく、大へんうるさく人に要求してくるものだと思います。それは巨大な因習を背負っていて、その課題に対する個人の見解などをほとんど容れる余地を持っていないからです。」
「(中略)ただ私があなたに助言できることは、職業というものはすべてそうではないか、ということを考えていただきたいということだけです。それは個々人に対して押しつけがましい要求をいっぱい持ち、敵意に満ちたものではないか、いわば黙って、仏頂面をしながら、味気ない義務に従った人々の憎悪をいっぱいに吸い込んでいるのではないか、ということを。」(リルケ、高安国世訳『若き詩人への手紙』新潮文庫)