豪商が繁栄できたのは江戸時代の社会に上手く適応したからだろう。その組織は幕藩体制に合わせて造られていたはずである。だがその組織は社会が激変すると大幅に変革しなければかえって邪魔になる。幕末から明治維新の変革期に生き残り、しかも大財閥になれた三井と住友は本来ならありえない抜擢人事を断行することによってそれに成功したのである。
三野村利左エ門と広瀬宰平は三井と住友の大番頭となり両家が大財閥となる礎を築き上げたが、二人ともほんの少し前に生まれていたら番頭どころか正式採用されたかも疑わしい人物である。江戸時代の由緒ある商家の採用は相当厳しかったという。そんな二人を大抜擢して全権を委ねた三井と住友の当主は賢明だったと言うしかない。韓信や大村益次郎と同じである。だがそんな人事には「何であんな奴が!」という怨嗟の声が凡人たちから上がったと思う。
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