中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

赤松へのエール

2008-01-08 20:03:42 | Weblog
 阪神が新井をFAで獲得して以降、相手球団の広島が誰を人的補償で求めてくるか、記者という立場を越えて興味津々だった。阪神の首脳陣になった気分で、勝手にシュミレーションしてみたが、プロテクトできる28人をはるかに越え、合計35人になってしまった。ポジションにこだわらず「これは絶対残すべき」「これも外せない」とアトランダムにチョイスしていったら、その人数に。当時、南球団社長が「悩ましいわ」と顔をしかめていたが、至極当然。それだけ、今の阪神というチームにとって、外せない人材が多いということだろう。

 で、赤松か。投手陣に頼り切りの阪神にすれば、野手には目をつむってリストから外しても仕方がない。だが…。25歳という年齢と、足が速いという個性をとれば、本当は残したい選手だったのには違いない。故障を抱える赤星に足の面でかげりが出始めている以上、その後継者養成は絶対に必要。確かに、チョンボは多いが“ポスト赤星”の最右翼と誰もが考えていただけに、惜しい。

 プロ野球デスクという「内勤」を終え、久々に現場復帰した去年の春季キャンプ。様変わりの現場風景についていけなかったことがしばしばあった。だいたい、若い選手と40を過ぎたおっさんとでは、そう簡単に話がかみ合わない。担当記者当時、ルーキーだった今岡はもう主軸中の主軸。「よっ、今ちゃん!」なんて昔のように気軽に声などかけられん。そんな中、唯一直接取材をしたのが、この赤松くんだった。確か、フリー打撃で対戦した助っ人投手、お、そうだジャンだ。あの汗かきオヤジとの対戦についての感想を聞いたんだった。実力差がありながら、何だか楽しげに答えるのに好印象を持った。それ以来、好ましげに見てきた。

 チームには、1人くらい、剽(ひょう)げたお調子者がいてもいい。その明るさが全体を照らし、活気を作っていくものだからだ。比較的マジメな選手が揃っている阪神には、そういう意味で損失だが、広島で彼の個性が光ることを願う。憎らしいぐらい、光り輝け。リストに残さなかったことを後悔させるくらい、強烈に輝いてみせろ。まだまだ25歳。可能性を信じ、胸を張っていってくれ。