中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

智弁和歌山の坂口くん

2008-01-25 20:29:19 | Weblog
 前夜(24日)に少し飲み過ぎたようで、朝、目覚めると頭がガンガンして起きられない。2人の息子たちが保育所と小学校に出かけて行っても、オヤジは布団からはい出すことができず、ただ蓑虫のように丸くなっているだけ。トホホ…。毎日このブログを更新するという目標が早くも断たれ、自分の体の方もガタがきたのだろうか。ともかく、この失態で仕事のスケジュールが狂ってしまった。

 重だるい体をひきづるように、向かった先は和歌山。今春のセンバツ高校野球の出場校が決まるというので、近畿4強に入っていた智弁和歌山の取材に出かけた。仕事の場はプロ野球でも、事情により高校野球だって取材する。また、ときには高校野球の方が面白かったりするから、気分転換にはもってこい。で、割り当てられたのが、智弁和歌山だった。

 ここに、坂口くんという主砲がいる。コアな高校野球ファンなら覚えているだろう。昨夏の選手権大会・仙台育英戦で、あの豪腕・佐藤由の決め球であるスライダーをものの見事に捕らえ、左翼席中段に運んだ怪物2年生だ。ナマでもテレビでも見ることができなかったが、取材したものに聞くと、とんでもない打球だったという。今回のお目当ては、その坂口くん。去年の大阪桐蔭・中田と比べてどうか。彼の醸し出す雰囲気を感じたかった。

 小雪がちらつく中、出場決定の報が入り、名将・高嶋仁監督が胴上げされた。そして帽子を高々と宙に投げて喜ぶ恒例のシーン。坂口くんは…と見ていたが、その場に紛れていた。つまり、現段階では「いるだけで目立つ」という中田級には達していないということ。昨秋の近畿大会で3戦連発という“大技”でスカウト連中の目に改めて留まったが、彼がよりすごくなっているかどうかは、春の大舞台でわかる。高嶋監督は「マークされている中で打つのがいいバッター」と話していたが、本当にその通り。注目を一身に浴びる中で豪快な一発を放てば、一躍中田級に躍り出る。

 体格はよかった。186㌢で90㌔と堂々たるもの。サードを守るには少し太いかな、と思うが、モノは確かに良い。取材してみると、これがまた謙虚(高校生だから当たり前か)。「僕らが一番下だ、というつもりではい上がっていきます。ホームランは狙いません。ヒットでいいです」。そう言えば、去年の中田もそんなことを言ってたような気がするな。大きなことはプロになってから言えばいい。こんな子には、スクスクと育っていってもらいたい。

 それにしても寒かった。メモをとる手がかじかんで、まともな字が書けないんだから…。そうこうしながら、もうすぐ春がやってくる。