生物多様性維持とかを高らかに謳ったはずのCOP10は,結局名古屋議定書なる内容空虚な文書だけを残して閉幕しました。
そもそもこの生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の趣旨は,世界中で失われつつある生物種を少しでも残し,維持しようという高邁?な理想だったはずです。しかし,現実の会議はそんなものではなく,未開の地に残され,もしくは未発見の遺伝子産物,例えば草木,動物,菌類などを採取して持ち帰って研究し,新薬などを創成した場合に生まれる莫大な利益を,それら遺伝子産物の元となった草木などの原産国にも分け与えよ,という極めて泥臭い「分け前分捕り合戦」だったのです。当然,原産国は開発途上国,研究開発と商品化は先進国,という決まり切った構図が描かれているわけです。開発途上国は,分け前はコロンブスの大航海時代まで遡りたいわけですし,研究開発と商品化に金をかけてきた先進国は当然抵抗します。こんなことはわかりきったことですから,この問題に深入りすることは止めます。
それよりも単純でしかも深刻なのは,生物多様性維持は結構だが,どこまで維持することができるのか,と云うことです。おおまかなことは前のブログで提起しておいたので,今回は具体例,トキの問題を取り上げます。
かつて日本上空を当然のように飛び回っていたトキは,農薬の過剰使用でエサとなるドジョウなどが減少するにつれてついに絶滅に追いやられました。もう遥か昔の話でした。それが,絶滅したトキを再生しようと云うことになり,国家的プロジェクト(らしい)にまで発展して,一部では人工繁殖したトキが新潟方面で飛び始めるに至りました。
しかし,これは本物の日本の特別天然記念物トキなのでしょうか。
とんでもない。中国に生息するトキを日本に持ち込んだに過ぎません。ですから,DNAを検査すれば一目瞭然のはずです。それとも,かつて日本に生息していて絶滅したトキそのものが中国産だったのでしょうか。
このまま現在の野生復帰を続ければ,なるほど一見日本の特別天然記念物トキが再現したように見えますが,これは全くの中国産トキの繁殖に過ぎないのではありませんか。
そうしたトキを見て,将来「日本は中国領の一部になった,それが証拠にトキを見よ」と中国人に主張されても反論のしようがありません。もちろんこれはブラック・ユーモアであって欲しいのですが。
日本原産の特別天然記念物トキは絶滅してしまったのです。それが現実です。その事実を国民が自覚すべきなのです。
単なるロマンとしてのトキの再繁殖なぞ無意味なのです。ただし,この幻想を食い物にしているのではないかと思われる連中がいるのです。
毎年どれだけの予算がトキ繁殖と野生復帰に使われているのでしょうか。そしてそれは適正な予算執行なのでしょうか。それこそ「仕分け」すべきものなのではありませんか。
今年3月,トキのために建設されている約4000平方メートルの馴化ケージ内にいたトキが,外部から侵入したテンに襲われました。何羽かのトキがテンに食べられてしまったのです。環境省はケージの隙間を塞ぎ,さらに外側に電気柵を設置したのです。これにかかった費用が約4000万円!当時のNHKニュースの映像を見てびっくりしました。そもそものケージの鉄骨は,溶断したと思われる柱の断面がギザギザ,まともな工事ではありませんでした。しかもできあがったケージは穴だらけ,外敵の野生動物が自由に出入りしていたのです。最初からしっかりと管理していれば起こらなかった手抜き工事です。工事の乱雑さは,個人としてあるいは企業として鉄骨工事を経験した人であれば,一目でこれはひどい,と判るほどです。切り口は触れれば怪我しそうですし,溶断面はギザギザでした。通常,仕上げにグラインダーをかけて平滑にするのが常識であり,工事人の良心です。
ほとんどがらんどうのケージの補修費が,1平方メートル当たり1万円!ひど過ぎませんか。実際には周囲の金網だけですから,周囲1メートル当たりではもっとかかったことになります。こういう工事を「やらずぶったくり」と云います。
おそらく,地元の鉄骨工事屋(多分)は,新築から補修まで大儲けしたはずです。今日の日本で大手を振ってこんなことができるのは,いわゆる環境関連工事だからではありませんか。生物多様性も云ってみれば環境問題です。そして「環境を守ろう」,「自然を守ろう」と唱えれば「そこのけ,そこのけ…」なのです。一見正義に見える不正がまかり通っているのです。
今回の生物多様性に関する会議も,アメリカは冷静に回避しました。生物多様性維持の条約そのものを締結していないのです。日本国中がセンチメンタリズムに充たされた日本は,これからもどんどん貴重な財産を外国にむしり取られ続けるでしょう。
昔から思うのですがトキは繁殖、熊は駆除。
なんで?
こんなものに\1だって使うのはおかしい。
トキ事業に「廃止」を!