30年近く
私に尽くしてくれた
わが愛しのカメラ
大げさに言えば
世界中を一緒に旅してくれた
相棒だった
山を歩いていた頃は
正直、お前さんに
あまり感謝していなかったようだ
山の風景を
おまえさんの中に収めるだけの存在だったから
あまり感謝の気持ちが無かったんだね
山に登れなくなって
眼がよく見えないけど
耳があまり聞こえなくて
体が不自由になって
おまえさんの素晴らしさを知った
馬鹿な私だけど
お花がこんなにも綺麗だと教えてくれたおまえさんに
愚痴ばかりを言ってたけど
それでも、一生懸命に
ここだよと
言葉ではなく
感性でおしえてくれたね
重くて古い
フイルム写真
あの、カシャという
シャッター音が
たくさんの喜びを伝えてくれたね
今、別れがとてもつらいよ
おまえさんと別れられないよ
37枚の中で
わずか、1~2枚の命の輝きを
魅せてくれた
金くい虫のおまえさんだけど
今の私の支えになってくれたね
悲しいかな
ツーとも、ジーとも
言ってくれないおまえさん
電池だって
新品に取り換えたよ
だけど動いてはくれないね
壊れちまった
そうなのだね
とても、寂しくて、悲しいよ
もう一度
あの、カシャという
シャッター音が聞きたいよ