一般には知られていませんが、保険診療は消費税と無縁です。
しかし、医療機関が購入する薬剤やワクチン、医療機器、消耗品などには当然、消費税がかかります。
つまり、消費税が増税しても、それを収入に反映させることができないしくみになっており、経営が苦しくなります。
医療の他に消費税が回収できない分野ってあるのでしょうか?
今回(2019年10月)、消費税10%にアップする際、さすがに保険診療も消費税を徴収してよい、と変革されるだろうと思ってきましたが、なしのつぶてで、結局なにも変わりませんでした。
その辺の事情を扱った記事を見つけました。
皆さん、窓口負担が増えたからといって「便乗値上げだ!」と勘違いしないでください。
適正な改定です。
なお、保険診療外の費用は、各医療機関で自由に決められるため、消費税増税分が反映されます。
■ 消費税10%で医療費も値上げ なぜ?
(2019.9.25:読売新聞)
(田村良彦 読売新聞専門委員)
◇ 2年ごとの通常改定とは別の「臨時の値上げ」
10月1日から消費税が10%に引き上げられるのに伴い、医療機関の初診料なども値上げされる。保険のきく医療費は非課税のはずなのに、なぜ値上げされるのだろうか。
公的医療保険の値段は、国が一律に定めている公定価格だ。保険点数は1点が10円で、通常、2年に1回改定される。前回の改定は2018年4月だった。次回は2020年4月に予定されており、今回の値上げは2年ごとの改定の間に行われる「臨時の値上げ」ということになる。
◇ 初診料は60円、再診料は10円アップ
10月から値上げになるのは、初診料や再診料のほか、入院にかかる基本料や管理料、保険薬局の調剤基本料などが対象だ。
たとえば、初診料は現在の2820円から2880円に、再診料は720円から730円に引き上げられる(窓口負担はその1~3割)。
◇ 消費税10%で医療費も値上げ なぜ?
薬剤費などを除く診療報酬本体の改定率は、プラス0・41%(医科0・48%、歯科0・57%、調剤0・12%)。薬価や材料費は実勢価格による引き下げも合わせた改定が行われる。
◇ 消費税引き上げ→医療機関にとって負担増
消費税が上がると、なぜ保険点数が引き上げられるのか。
医療機関は、物品などを業者から仕入れる際に消費税を支払っている。一般的な小売業であれば、小売価格に消費税を上乗せして消費者から徴収したうえで差額を納付する仕組みで、実質的な負担はない。これに対し、保険の診療費は非課税であるため、医療機関が患者から消費税を徴収することはできない。
この結果、医療機関が仕入れに際して支払った消費税分の金額は、医療機関の負担になっている。税率が8%から10%に上がれば、医療機関の仕入れにかかる負担もその分増えることになる。
◇ 医療機関の負担増を診療報酬で補填
消費税による負担分の 補ほ填てん を求める医療側に対し、国は、診療報酬の改定に上乗せする形で対応。税率が5%から8%に引き上げられた2014年4月の診療報酬改定においても、増税による医療機関の負担増分を含めた引き上げが行われている。ただしこの時は、通常の2年ごとの改定と同時だったため、患者側にとっては、消費税増税による値上げという印象は薄かったかもしれない。
実は、今回の診療報酬改定の作業中、前回の5%から8%に上がった際の改定による補填が不十分だったとの検証結果が明らかにされた。このため、今回の改定にあたっては、税率が5%から8%に上がった部分も含めた、5%から10%の部分について、より正しい補填となるように点数の見直しを実施したとしている。
◇ 差額ベッドやセカンドオピニオンの料金は?
消費税率の引き上げが影響するのは、これだけではない。保険適用外の費用で消費税の対象となっているものは、税率アップがそのまま患者の負担増となる可能性がある。
たとえば、治療法の決定などに際して別の医師の参考意見を聞くセカンドオピニオン。原則、保険適用外だ。
国立がん研究センター中央病院(東京都)によると、同病院のセカンドオピニオン外来は、60分で現在の4万3200円(税込み)から、4万4000円(同)になる。差額ベッド代についても、たとえば従来1日3万7800円(税込み)の部屋は、3万8500円(同)といった具合に、消費税の2%アップに伴って10月から値上げされる。
◇ 診断書などの文書代、おむつ代なども
保険適用外で実費徴収が認められている費用の例としては、次のようなものなどがある。
・おむつ代や病衣貸与代、テレビ代や理髪代、クリーニング代などの日常生活上のサービスにかかるもの
・診断書などの文書の費用や、カルテ開示の手数料など
・在宅医療にかかる交通費や薬剤の容器代
・インフルエンザなどの予防接種や美容形成の費用など
実際の負担額は医療機関によっても異なるが、消費税の課税対象となっているものは10月から税込み費用が上がる可能性がある。それぞれの医療機関で確認したい。
しかし、医療機関が購入する薬剤やワクチン、医療機器、消耗品などには当然、消費税がかかります。
つまり、消費税が増税しても、それを収入に反映させることができないしくみになっており、経営が苦しくなります。
医療の他に消費税が回収できない分野ってあるのでしょうか?
今回(2019年10月)、消費税10%にアップする際、さすがに保険診療も消費税を徴収してよい、と変革されるだろうと思ってきましたが、なしのつぶてで、結局なにも変わりませんでした。
その辺の事情を扱った記事を見つけました。
皆さん、窓口負担が増えたからといって「便乗値上げだ!」と勘違いしないでください。
適正な改定です。
なお、保険診療外の費用は、各医療機関で自由に決められるため、消費税増税分が反映されます。
■ 消費税10%で医療費も値上げ なぜ?
(2019.9.25:読売新聞)
(田村良彦 読売新聞専門委員)
◇ 2年ごとの通常改定とは別の「臨時の値上げ」
10月1日から消費税が10%に引き上げられるのに伴い、医療機関の初診料なども値上げされる。保険のきく医療費は非課税のはずなのに、なぜ値上げされるのだろうか。
公的医療保険の値段は、国が一律に定めている公定価格だ。保険点数は1点が10円で、通常、2年に1回改定される。前回の改定は2018年4月だった。次回は2020年4月に予定されており、今回の値上げは2年ごとの改定の間に行われる「臨時の値上げ」ということになる。
◇ 初診料は60円、再診料は10円アップ
10月から値上げになるのは、初診料や再診料のほか、入院にかかる基本料や管理料、保険薬局の調剤基本料などが対象だ。
たとえば、初診料は現在の2820円から2880円に、再診料は720円から730円に引き上げられる(窓口負担はその1~3割)。
◇ 消費税10%で医療費も値上げ なぜ?
薬剤費などを除く診療報酬本体の改定率は、プラス0・41%(医科0・48%、歯科0・57%、調剤0・12%)。薬価や材料費は実勢価格による引き下げも合わせた改定が行われる。
◇ 消費税引き上げ→医療機関にとって負担増
消費税が上がると、なぜ保険点数が引き上げられるのか。
医療機関は、物品などを業者から仕入れる際に消費税を支払っている。一般的な小売業であれば、小売価格に消費税を上乗せして消費者から徴収したうえで差額を納付する仕組みで、実質的な負担はない。これに対し、保険の診療費は非課税であるため、医療機関が患者から消費税を徴収することはできない。
この結果、医療機関が仕入れに際して支払った消費税分の金額は、医療機関の負担になっている。税率が8%から10%に上がれば、医療機関の仕入れにかかる負担もその分増えることになる。
◇ 医療機関の負担増を診療報酬で補填
消費税による負担分の 補ほ填てん を求める医療側に対し、国は、診療報酬の改定に上乗せする形で対応。税率が5%から8%に引き上げられた2014年4月の診療報酬改定においても、増税による医療機関の負担増分を含めた引き上げが行われている。ただしこの時は、通常の2年ごとの改定と同時だったため、患者側にとっては、消費税増税による値上げという印象は薄かったかもしれない。
実は、今回の診療報酬改定の作業中、前回の5%から8%に上がった際の改定による補填が不十分だったとの検証結果が明らかにされた。このため、今回の改定にあたっては、税率が5%から8%に上がった部分も含めた、5%から10%の部分について、より正しい補填となるように点数の見直しを実施したとしている。
◇ 差額ベッドやセカンドオピニオンの料金は?
消費税率の引き上げが影響するのは、これだけではない。保険適用外の費用で消費税の対象となっているものは、税率アップがそのまま患者の負担増となる可能性がある。
たとえば、治療法の決定などに際して別の医師の参考意見を聞くセカンドオピニオン。原則、保険適用外だ。
国立がん研究センター中央病院(東京都)によると、同病院のセカンドオピニオン外来は、60分で現在の4万3200円(税込み)から、4万4000円(同)になる。差額ベッド代についても、たとえば従来1日3万7800円(税込み)の部屋は、3万8500円(同)といった具合に、消費税の2%アップに伴って10月から値上げされる。
◇ 診断書などの文書代、おむつ代なども
保険適用外で実費徴収が認められている費用の例としては、次のようなものなどがある。
・おむつ代や病衣貸与代、テレビ代や理髪代、クリーニング代などの日常生活上のサービスにかかるもの
・診断書などの文書の費用や、カルテ開示の手数料など
・在宅医療にかかる交通費や薬剤の容器代
・インフルエンザなどの予防接種や美容形成の費用など
実際の負担額は医療機関によっても異なるが、消費税の課税対象となっているものは10月から税込み費用が上がる可能性がある。それぞれの医療機関で確認したい。