日本人(およびアジア人)が欧米人に比べて新型コロナの感染者・重症者数が低く抑えられている現象の原因を“ファクターX”として模索する動きが以前からあります。
言い出しっぺはノーベル賞学者の山中伸弥教授ですね。
私はマスク着用と生活習慣(人と人との距離の遠近)かなあ、と考えてきましたが、肥満率やら、遺伝子説やら、予防接種歴やらいろんな意見が飛び交っています。
最近の記事でも取り上げられているものが目に留まりましたので、
紹介します。
■ 「なぜ日本は重症化率が低いのか」新型コロナ"ファクターX"は2つに絞られた
順天堂大学の小林浩幸教授のよる解説で、ファクターXは、
・BCG接種歴
・交差免疫
の二つに絞られたと結論付けています。
しかしBCG接種歴に関しては、北欧の某国ではBCG接種世代と非接種世代で感染・重症者に差がないという報告があり、わたしは否定的ではないかと感じています。
交差免疫については、今後の検証が待たれます。
一方、ファクターXは幻想だ!という反対意見もあります;
■ 「ファクターXは幻想だ」岩田健太郎医師が説く“withコロナなどありえない理由”
長田 昭二(2020/12/13 文春オンライン)
岩田Dr.は、
「山中教授の“ファクターX”説は政府の経済活動優先の後押しになった」
しかし、
「残念ながら現状では、ファクターXを強力に立証する報告はない。細かな、マイナーな報告はなくはない」
レベルと指摘します。そして、
「日本では“安全”と“安心”という二つの言葉をセットにして使うことが多いが、外国では“安全”は使っても“安心”はあまり使わない。“安全”が根拠に基づくものであるのに対して、“安心”は気分的な問題。」
と、日本は“ファクターX”という“安心”材料をエサに、感染対策のガードを下げてしまったため、
現在の流行拡大を招いた、と結論づけています。
新型コロナ対策は経済と流行のバランスを如何に取るか、
各国で悩みながら対策を取ってきました。
今のところ、厳格な感染管理にシフトした台湾・中国は経済活動を維持し、
中途半端な国々は流行がコントロールできず経済的にも苦しい状況に陥っています。
“集団免疫”を実質的に目指してきたフィンランドも最近旗色が悪くなってきました。
ここで有効なワクチンが登場すれば、台湾・中国の方針が正しかったことになりそう。
ただ、ワクチンが頓挫すれば、台湾・中国はずっと厳しい政策をとり続けなくてはならなくなるリスクを抱えます。
どちらに転ぶか・・・ワクチンの成功・失敗にかかっています。
いずれにしても、地球規模のこの壮大な実験の結果を次世代に残す義務があると思われます。