小児科開業医の当院では、
新型コロナ感染対策として、
以下のようなことを行っています。
・オンライン予約
・WEB問診
・駐車場待機(待合室閉鎖)
診察室は接触歴の有無で3パターンに分けています。
①濃厚接触者(家族内発生)
→ 時間&空間隔離:発熱外来専用プレハブで火・水・木・金の11:30〜
②濃厚ではない接触者(学校・園・施設などで発生)
→ 空間隔離:一般診療時間に隔離室で診療
③接触歴なし
→ 一般診察室で診療
①濃厚接触者(家族内発生)
→ 時間&空間隔離:発熱外来専用プレハブで火・水・木・金の11:30〜
②濃厚ではない接触者(学校・園・施設などで発生)
→ 空間隔離:一般診療時間に隔離室で診療
③接触歴なし
→ 一般診察室で診療
診察終了後は毎回、
すべての診察室で環境消毒も行っています。
また、スタッフの個人用防護具として、
・マスク(※1)
・手袋(※2)
・フェイスシールド
・ガウン
※ 1)発熱外来ではN95マスク、それ以外ではサージカルマスク
※ 2)医師は1手技毎に手指消毒
を装着しています。
また、新型コロナ検査の検体は、
・発熱外来では換気扇の下で
・それ以外は駐車場にスタッフが出向いて
鼻前庭ぬぐい液を採取しています。
この度、日本プライマリ・ケア連合学会から「診療所における効果的な感染対策の好事例の紹介」が報告されました。
その内容と当院の感染対策をこちらを参考に比較検討してみます。
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診療所における効果的な感染対策の工夫例
【工夫1】待合室における感染対策
・自家用車で来院している患者は車中で待機してもらう。
・基本的な感染対策を徹底する。具体的には窓開け、サーキュレーターの活用、二酸化炭素モニターを設置する。
(当院)
・二酸化炭素モニター設置済み
・サーキュレーターではなく強力な換気扇を追加設置済み
【工夫2】診察・検体採取時の感染対策
(1)院内のゾーニング・動線分離を行う
・発熱・感冒様症状患者の駐車場と院内への動線を一般患者と分離する(例:矢印などで導線をわかりやすく表示する)。
・発熱・感冒様症状患者用の診察スペースなどを確保する(例:パーティションによる簡易な分離/空き部屋などを診察室として活用など)。
・空間的分離を行わない場合において、発熱・感冒様症状のある患者とそうでない患者を、時間的に分離して診察する。
(2)個人防護具(PPE:Personal Protective Equipment)の着脱を工夫する
・患者対応時にはサージカルマスクを常時装着し、飛沫曝露のリスクがある場合はアイシールド・フェイスシールドを装置する。
・患者に手や体幹が直接接触する可能性がある場合は、手袋・ガウンも装着する。
・1対応ごとに手指消毒を徹底する。手袋を使用する場合は、1対応毎に手袋を交換し手指消毒も徹底する。サージカルマスク、アイシールド・フェイスシールド、ガウンの交換は、大量の飛沫を浴びたり、それらが患者に直接接触した場合に限定してもよい。
(3)検体採取の場所を工夫する
・検体採取を屋外や駐車場(や車中)で行う(ただしプライバシーへの配慮は必要)。
・唾液によるPCR検査・抗原定量検査や、鼻かみ液によるインフルエンザ迅速抗原検査を活用することで飛沫やエアロゾルの発生を抑える。
(4)その他の感染対策上の工夫
・難聴の患者と大声で会話することを避けるために、スマートフォンを用いた翻訳機器の音声認識・自動文字化機能を活用する。
・患者にタブレット端末を渡して、オンラインで診療、説明などを行う。
・上記のような感染対策が構造的に困難な場合は、時間的分離で対応する。
(当院)
・小児は多種のウイルス感染症患者がいるので「発熱患者=コロナ疑い」とせず、接触歴の有無・程度で時間的・空間的隔離をしている。
・すべての診療で、換気・環境消毒・個人防護具装着をしており、違いはマスクの種類のみ(濃厚接触者の場合のみN95を装着)。
・検体採取は発熱外来では専用プレハブで2つ並べて設置した換気扇の下で行ない、それ以外は駐車場の車内で行っている。
【工夫3】処方・調剤における工夫
・特例承認の経口抗ウイルス薬の処方に必要な同意書を電子化し、タブレット上でサインを得る。
・発熱患者への処方・調剤の流れについて近隣調剤と共に確認し、感染対策の助言を行い、発熱患者が薬剤を受け取れる体制を構築する。
・調剤薬局が近接している場合は、患者は自院駐車場の自家用車内で待機し、薬局から手渡しに向かう。
・調剤薬局において電話やオンラインでの服薬指導や配送体制を構築する。
発熱外来を設置・運用する上での課題と工夫例
【課題1】通常診療よりも大きな作業負担を軽減する
初診患者が多くなるため、病歴・背景情報把握にかかる負担の軽減が必要
・事前にWEB問診(インターネットによる問診)システムで情報収集する(例:企業が提供するWEB問診システムを活用し、対面診察の時間を短縮など)。
・発熱・感冒様症状用の問診票を用意し、緊急性のある症状の有無、電話診療やオンライン診療の可否、新型コロナ感染症治療薬の適応などを事前に確認する。
(当院)
・オンライン予約とWEB問診を導入し、院内滞在時間を極力短くしている。
【課題2】院内感染が生じた場合の休業リスクに備える
・日本医師会などが提供する休業補償保険に加入する。
・医療機関の休業が生じても個別の訪問診療を維持するために、平時から地域の医療機関間での連携体制を整える(例:地域の在宅患者情報を共有するネットワークへの加入など)。
・休業した場合でも可能な限り電話・オンライン診療を継続する。
(当院)
・院内で感染者が発生した際、対面診療ができない期間は可能な限り電話診療を行った。
【課題3】かかりつけ患者に重症化リスクの高い患者が多い
・院内各所での感染対策に工夫が必要。
・電話・オンライン診療の適切な活用。
(当院)
・重症化リスクの高い患者は多くない。
・希望により電話診療を選択できる。陽性患者は基本的に電話診療。
【課題4】施設構造などの問題で理想的な感染対策が難しい
・施設構造などの制約を踏まえた現実的かつ効果的な感染対策を工夫する。
・時間的分離(診療時間の分割)による対応。
・電話・オンライン診療の適切な活用。
(当院)
・一般診察室、隔離室、発熱外来専用プレハブを接触歴の有無・程度により使い分けている。
・陽性者は電話診療で対応している。
【課題5】発熱・感冒様症状患者への処方・調剤の流れを工夫する
・上記【工夫3】を参照。
【課題6】必要に応じて一部の患者にオンライン診療を適切に活用する
・予約時の情報でオンライン対応できると判断した患者にはオンライン診療を提案する。
・事前にWEB問診で情報を収集する。
・企業が提供するオンライン診療システムの導入。
・行政が設置するオンライン診療センターで診療を行う。
(当院)
・WEB問診導入済み。オンライン診療は将来導入検討中。
【課題7】入居しているテナントの管理者の理解を得るよう努める
・時間的分離を検討する(例:発熱・感冒様症状患者専用の診療時間帯、曜日を設けるなど)。
・電話・オンライン診療の適切な活用。
・・・以上、当院で行っている感染対策は検証しても問題ないと思われました。
現在は電話診療のみですが、
今後、オンライン診療を導入すれば、すべてクリアできます。