小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

夜尿症の講演会を聞いてきました(2014.1.19)。

2014年01月20日 06時41分33秒 | 小児医療
第18回東京小児科医会セミナー(於:ステーションコンファレンス東京)
講演1「抗利尿ホルモン療法について」 村杉寛子先生(天正堂クリニック)
講演2「夜尿症アラームの使い方」 堀加代子先生(世田谷子どもクリニック)
特別講演「夜尿症診療は新たなステージへ~明日からはじめる問診・検査・治療のコツ~」 藤永周一郎先生(埼玉県立小児医療センター腎臓科医長)


という講演会に参加してきました。
夜尿症に関してまとまった話を聞く機会は乏しく、知識の確認と更新を兼ねて極寒の中上京しました。
ふむふむと頷くこと多し。
記憶に残っていることをメモしておきます;

・夜尿症児は睡眠が深いために覚醒しにくい(覚醒障害)と考えられてきたが、近年捉え方が変わってきた。それは、過活動性膀胱(膀胱が勝手に収縮してしまう)をベースに睡眠が浅くなり(睡眠障害)、それが夜尿に繋がるという真逆の考え方。

・夜尿は小学1年生(7歳)で10%存在する。その子達は無治療でも1年ごとに10~15%治っていく。治療を行うと治癒率が2-3倍に増える。つまり、夜尿症児が10人いると毎年1人は自然に治り、治療をするとそれが2人になる、ということ。
 ・・・有効率低し!

・多尿型より膀胱型の方が治療抵抗性。治療は大きく分けて薬物療法とアラーム療法があるが、膀胱型には両者併用療法でなければ太刀打ちできない。
 ・・・これは実感として頷けます。

・アラーム療法のメカニズムは「起こしてトイレで排尿する」ことを目指すものではない。
 ・・・これが今ひとつわかりません。

・アラーム療法は家族の協力が必須。このため脱落例が多く(40%以上)、はじめる前に治療意欲の確認が必要。家族の誰かが患児の側に寝ていてアラームが鳴ったら児を起こす必要がある。起こし方には様々な方法があり、堀先生は「覚醒反応(寝ぼけてムニャムニャ程度)が得られればOK」、藤永先生は「起こしてトイレへ連れて行く」とのこと。

・ステップアップ法(弱い治療からはじめ、無効例には治療を強めていく)よりステップダウン法(強力な併用療法からはじめ、有効なら治療を弱めていく)の方が脱落例が少ない。


 講演を聞いて気になったこと。
 昨年聴講した帆足先生(おねしょ博士として有名)の講演会の時も感じたのですが「併用療法をしても改善なき場合は専門医へ紹介してください」とのコメントに違和感。
 東京ならそれで済むかもしれませんが、群馬県で夜尿症専門医っているんでしょうか?
 そのコメントを耳にする度に「夜尿症診療はまだまだ発展途上だなあ」と思ってしまいます。
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