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小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

(医学雑誌拾い読み)「アトピー性皮膚炎の自然歴と修飾因子」

2017年07月01日 16時37分24秒 | アトピー性皮膚炎
日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会誌 12-1:31-35,2014
成田政美(国立成育医療センター)

■ アトピー性皮膚炎の自然歴(ドイツ、2004)
2歳までにアトピー性皮膚炎を発症した例のその後の経過
(complete remission)3歳までに寛解:43.2%
(Intermittent)間欠的に症状遷延:38.2%
(Persistent)7歳まで持続:18.7%

■ 現在の乳児湿疹の診療(以下の内容)は正しいのか?
・離乳食開始前の乳児湿疹患者にアレルギー検査
・感作が認められたら「これらの食物は母親の母乳から移行し、児に食物アレルギー症状としてのアトピー性皮膚炎を発症している」と説明
・授乳している母親の食物制限
・児の離乳食での食物制限

これこれ!
私も伊藤節子先生の本を読んでからこのように指導してきましたが、現時点でもこれでいいのか、学会報告を聞いていると不安になりますね。


■ アトピー性皮膚炎に対するプロアクティブ療法は食物抗原のみならず吸入抗原の感作も予防する
治療開始1年後にリアクティブ療法群ではダニ特異的IgE抗体、スギ特異的IgE抗体っが有意に上昇、プロアクティブ療法群では明らかな上昇が認められなかった(論文作成中)


アレルギー疾患予防の立場からは「乳児期の湿疹はとにかく治しておくのがいい」ということが繰り返し言われています。
しかし皮膚科専門医の間では必ずしも常識ではないらしいのが悩ましいところ。

当院では治療に難渋する(mildクラスのステロイド軟膏ではコントロールできない)アトピー性皮膚炎患者さんは皮膚科へ誘導しているのですが、その皮膚科の治療方針がバラバラで、オーソドックスにストロングクラスのステロイド軟膏で治療する皮膚科医がいる一方で、ステロイド軟膏は必要ないと保湿剤だけにしてしまう皮膚科医もいて、湿疹が悪化した患者さんは混乱してしまい、困ってます。

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