小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

マスク再考2023

2023年06月05日 07時11分15秒 | 予防接種
飛沫感染する感染症にとって、マスクが有効であることは明らかです。
しかし「マスク着用義務化」はそれだけではなく、
疾患の重症度や社会への影響も考慮して判断されます。

前項に続き、マスクについて考えてます。
こちらの記事が参考になりました。

▢ 5類移行でマスク着脱議論が再び炎上、それって誰の何のため?
2023/05/12:ケアネット)より一部抜粋;
…2023年5月8日から、ついに新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)は、感染症法上の5類扱いとなった。とは言っても、多くの一般人にとっては5月7日と5月8日で一気にガラリと生活が変わるわけではないだろう。ただ、接客が伴う各種業界ではこの日を機に以下のようにさまざまな変化が起こることが報じられている。
・『「3年間お世話になりました」処分か保管?アクリル板どうする「5類移行」正式決定』(テレビ朝日)
こうした身近な変化から、多くの人はいわゆる「コロナ禍」という言葉が有していた深刻さから徐々に解放されていくのだろう。
・・・
この3年間、新型コロナに関しては嵐のように大量のニュースが流れた。その時々で伝わった情報を理解しつつも、状況が頻繁に変化するため、多くの人が混乱しただろう。私なりにいまだに残るこのウイルスの厄介さを箇条書きにすると以下のようになる。
  • 感染力が既存の感染症の中でもかなり高いほうに分類される
  • 重症化・死亡リスクが集団によって大きく異なる
  • 短期間で感染の主流をなすウイルス株(変異株)が入れ替わった
  • ウイルス株の入れ替わりとともにワクチンの効果が変動した(とくにオミクロン株出現以降)
  • 感染力のピークが発症前にある
なかでも最後の性質は、今回のユニバーサル・マスク対策の根拠となっている。また、日常会話の飛沫で容易に感染してしまうことから、人との接触を避けることが対策の核となり、飲食業を中心に一部の業態が深刻なダメージを被った。ちなみに前述の知人も飲食業ではないが、深刻なダメージを食らった業種の人である。その意味で社会の中でもコロナ禍に対する「恨み」にはかなりの濃淡がある。
一方、感染症法上の5類になったところでウイルスそのものは根絶されたわけでも何でもなく、重症化・死亡リスクの高い人たちは依然として一定の警戒が必要である。その結果、そうした人の中にはなかなかマスクを手放せない人もいる
これらを総合すると、新型コロナを巡る問題はどうしても社会の分断を招きやすい性質を有してしまう。
…子供がマスクを外しやすくなるように、この5類化を機に学校では教職員や来訪する保護者は半ば強制的かつ一律的にマスクを外すことを求めている(少なくとも私はそう受け取って応酬した)。しかし、これはかなり困難な話だ。学校にも一定数はいるはずの重症化・死亡リスクの高い人に対し、公権力はリスクが上昇する方向への行動変容を強いることはできないからだ。
文部科学省の都道府県・指定都市教育委員会の教育長などへの通知でも原則は「マスクの着用を求めないことを基本とする」としつつも、「基礎疾患があるなど様々な事情により、感染不安を抱き、マスクの着用を希望したり、健康上の理由によりマスクを着用できない児童生徒もいることなどから、学校や教職員がマスクの着脱を強いることのないようにすること」と付記している。
・・・
いずれにせよ新型コロナに関して現時点の知見が維持される限り、私自身の主張が今後も大きく変わることはない。一方、一律的に常時マスクを外して元の生活にシンプルに戻りたいと考える人の気持ちもわからないわけではない。多分、今後は医療従事者の皆さんもこうした一般人の思いと医学・公衆衛生学的な知見が軽く火花を散らす局面にたびたび遭遇するだろう。

当院に来院する患者さんたちは、
コロナに感染しても重症化しない子供たちがほとんどです。
では私もマスクを外していいかと言われると、
今年還暦で持病もちの私は重症化リスクが高いため、
N95マスク(息が苦しくなるほど密閉性の高いマスク)をずっと着用しています。
高齢者や高齢者施設で働く人々も、マスクを外しにくいでことでしょう。

結局、マスクの着脱は、
その人自身、あるいは生活環境により重要性が異なることを知り、
その人の判断を否定しない、同調圧力をかけない雰囲気作りが必要です。
それには、「正しい知識」が必要ですね。

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