オジサンが会社人になった47年前の1974年、第1次石油危機が勃発し電気事業法27条に基づく「電力使用制限令」が発動された。
当時の銀座からネオンサインが消えた記憶がまだ残っている。
そんな物騒なことが、7月1日がら再びよみがえってきた。
「電力使用制限令が開始 東電・東北電管内」
この夏の電力危機を避けるため、政府は1日、電気事業法27条に基づく「電力使用制限令」を、東京電力と東北電力の管内で発動する。制限令発動は第1次石油危機の1974年以来、37年ぶり。大規模な工場や商業施設、オフィスビルについて、最大電力を昨夏より15%削減するよう求める強制措置だ。 対象は、契約電力500キロワット以上の大口需要家。東電管内には約1万4千件、東北電管内には約4千件ある。平日の午前9時~午後8時に電力の使用制限を受ける。故意に違反すると、100万円以下の罰金を科される。商店など小口需要家と家庭に対しては、政府は努力目標として15%削減を求めている。 74年の発動は火力発電の燃料不足が原因だったが、今回は東日本大震災で発電所が被災したため。東電と東北電は、臨時のガスタービン発電機を増設し、老朽化などで停止中の火力発電所を再稼働。被災した発電所の復旧も急ぎ、6月30日には両社共同出資の常磐共同火力勿来(なこそ)発電所(福島県いわき市)の9号機が営業運転を再開した。 東電は、これまでに最大で5380万キロワットの供給力を確保した。それでも猛暑だった昨夏の最大電力約6千万キロワットに届かず、強制的な制限令の発動に踏み切る。 両社とも1日の電力需給については、気温や前年実績から、供給力に対する予想最大電力の割合(使用率)が90%を下回り、余裕があるとみている。 節電の効果は、制限令の発動を待たずにあらわれている。東電管内では最近、前年実績より1割ほど日中の需要が下回る日が続く。また、夏の平日の需要のピークは例年、午後2~3時だが、午後4~5時にずれている。 企業や家庭は、エアコンの使用を抑制。軽装での勤務を認め、不要な照明を消したり、エレベーターを間引き運転したりしている。自動車業界は6月30日から、工場が休む日を土日から木金に変更した。 もっとも、昨夏並みの最大電力になる可能性が消えたわけではない。6月中でも東電管内では、電力の使用率が90%を超える日が何度かあり、両社は節電を呼びかけている。 経済産業省は7月以降、使用率が97%を超えるなど、電力危機が予想される場合、前日午後6時に「電力需給逼迫(ひっぱく)警報」を出す。計画停電を避けるためで、報道機関や各地の防災無線を通じて節電を促す。 東電は1日からホームページで、需給の全体状況が一目でわかる「でんき予報」を始める。需給見通しや、5分ごとの使用実績を知らせる。東北電も同様の見通しを掲載している。 経産省は、家庭の節電を促すホームページを設ける。各家庭が、昨夏の電気使用実績をもとに、自身の節電がどのぐらい達成できているかなどを把握できる。15%以上の節電ができると、テレビやパソコンなどの懸賞に応募できる。 |
実は上記の記事は11年前の朝日新聞記事である。
真面目な日本人は「でんき予報」を頭から信じ込み、ビクビクしながら5分ごとの使用実績グラフを見てしまう。
そして使用制限令の発動対象ではない一般家庭でも、努力目標の15%削減を実施して、熱帯夜にもかかわらずエアコンや扇風機まで使用しないという、「一億総節電家」となりつつあった。
夜間は大口需要家の大規模な工場や商業施設は操業や営業を終了するので、家庭内での夜間の節電は全く必要がない。
もちろん、これは東日本大震災により東電福島第一原発の大事故により、全国的に原発の稼働率が低下したことによることは言うまでもない。
やはり11年前には、「でんき予報」の信憑性についてこんな記事が出ていた。
<東電が公開しない“隠し電力”とは…アテにならない「でんき予報」>
東京電力は7月1日から、電力の使用状況を数段階に分けて予測する「でんき予報」を始める。電力の供給力に対する使用実績(使用率)をほぼリアルタイムに数値化し、翌日のピーク時供給力を予測するもので、ニュース番組やネットなどを通じて節電を呼びかけるが、どこまで上昇したら“危険水域”なのかは実は判然としない。そもそも100%に達したら、どうなるのか。 全国的な猛暑日となった24日、国内最高気温記録を持つ埼玉県熊谷市は午後2時すぎに39・8度を観測し、6月の最高気温を更新。埼玉県で70人、群馬県15人、栃木県17人、東京都15人が熱中症で病院に搬送された。 こうしたなか、東電管内の電力需要は東日本大震災後、4日連続で最大を更新。ピークの午後2時台には4389万キロワットを記録し、東電が公開している最大供給力4790万キロワットに対し、電力使用率は91・6%に到達するなど、緊張が走った。東電は、電力の安定供給には常に8-10%の余力が必要としているからだ。 これが100%に達した場合、一体どうなるのか。東電は「そうならないよう努力している。大規模停電という以外、具体的なことはわれわれも分からない」(広報部)と話すのみだ。 そこで、元東京農工大教授(電力システム工学)で日本クリーンエネルギー総合研究所理事長の堀米孝氏に聞いた。堀米氏は「停電の可能性はゼロではない」としつつも、こう話す。 「理論上は、需要が供給を上回った時点から電圧、周波数が下がり始め、発電、輸送双方が正常に作動しなくなり、停電のリスクは高まります。ただし、もともと『でんき予報』のピーク時供給量は余裕を持った数値であるうえ、夜間の余剰電力を利用した揚水発電の数値は供給量の中にほとんど含まれておらず、100%で即停電とは極めて考えにくい」 東電の「供給力」には実は十分な余力があるというのだ。 「しかも、東電にはまだ『供給力』に含んでいない、いわゆる“隠し電力”もあります」(同) これは、東電の最大供給力7769万キロワット(2009年度末実績、他社受電分を含む)から、福島第1、第2原発の出力約900万キロワットを差し引いた6869万キロワットとの差分のこと。東電は、これまでホームページで公開していた電源別の発電実績資料を削除しているが、計算上は供給電力に十分な余裕があるとみられる。 実際、東電関係者は、「公開している『本日のピーク時供給力』は、東電が決めた目安に過ぎず、本来の供給力とは関係ない。節電意識を促すために恣意的に下げていると指摘されても仕方がない」と内情を明かす。 経済アナリストの森永卓郎氏は、「東電によると、ピークを迎える8月までに500万キロワット程度上積みできることになっています。従って、先週の猛暑程度であれば、十分に乗り切れるわけです。節電よりも体のほうが大事ですから、暑いと思ったら、迷わずエアコンを使ったほうがいいですよ」と語る。 関西電力など他の電力各社も「でんき予報」を始め、ピーク時には「需給逼迫警報」を出すというが、この数値をもとに過度の節電をして体調を崩したり、高齢者が“節電死(=熱中症死)”するような事態に至っては元も子もない。 |
当時の東電の関係者が、
「公開している『本日のピーク時供給力』は、東電が決めた目安に過ぎず、本来の供給力とは関係ない。節電意識を促すために恣意的に下げていると指摘されても仕方がない」
と正直にいっているにもかかわらず2022年になっても電力不足を政府が音頭とって国民を煽るということは原発保有電力会社の停止中の原発を「早く再稼働しろ」という世論を喚起しているlことは明らかであろう。
それにしても9電力会社間での電力の融通問題は11年たっても一向に解決しようとしないことのほうが不気味である。
7月1日はコロナ禍のため2年ほど自粛していた「海の家」が一斉に開店するそうである。
金と時間がある人は涼しい海岸に行き酷暑から逃れて刹那的な涼を求めることは、家の中で“節電死(=熱中症死)”からわが身を守ることになり大いに結構なことである。
しかし定年暮らしのオジサンにはたとえ刹那的でも遠出は躊躇してしまう。
毎年酷暑の8月に実施していたことが、今年はなんと6月末から始まった。
朝6時には起床して、昨夜のふろの「残り湯」に小一時間ほど浸かる。
前日38℃の湯を入れたのだが、朝の時点でもほんのりと温かさはかんじられる。
すっかり眠気が覚めたころ、朝刊を読み始める。
そして、現役時代と同様。9時から書斎に戻りブログ作成を午前中は続ける。
無事ブログを登録したころ、書斎の室温は軽く30℃を超えており、冷凍室で作成したペット入り「氷結水」を飲み干して、今度はさらに水温が下がった湯殿で水浴する。
体温を下げてから昼食を摂る。
食後は睡眠不足を補うため、風通しの良い(窓を全開しただけ)寝室で短時間午睡。
本来ならば15時半ころから散歩に出かけるのだがこの数日間の「酷暑」では高齢者の外出は、不測の事態になり他人に面倒をかけたくはないので当面は自粛。
エアコンの無い部屋がいくつもあり家の中でも十分発汗することができる我が家なのだが、その場合は3度目の水浴をするのだが、さすがにその頃はかなり水温が下がり心地よいひと時を過ごすことができるという、オジサンの酷暑対策であった。