新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

日鉄のUSS買収はアメリカ鉄鋼産業に対する「延命治療」

2025年01月08日 12時01分55秒 | 岸田統一教会内閣

「技術立国」と言われて久しいが、そもそも技術立国とは、産業技術や科学技術を育成し、それらに基づいて国を発展・繁栄させていくことなのだが、日本は、1996年度に初めて科学技術基本計画を策定し、科学技術立国に向けた取り組みを進めてきたのだが、近年は国際社会で後れを取っており、科学技術力の国際的な指標となる論文発表数では、米中や欧州の後塵を拝しているという惨状。
 
その理由としては以下の要因がある。
 
・デフレ経済に陥った90年代以降、コストが重視される風潮が高まり新たな技術の需要が減った。
・銀行は不良債権処理に足を取られ産業界への融資がしにくい状況となり、資金調達が難しくなった企業も研究開発を怠るようになった。
・教員の研究時間割合の低下、教員数の伸び悩み、博士課程在籍者数の停滞、原材料費のような直接的に研究の実施に関わる費用の停滞。
 
エンジニアの中島聡は最近の記事ではこう指摘していた。
 
中島聡が石破総理に伝えたい大問題。日本の異常な「技術者冷遇」が失われた30年を生み出したと断言できる理由
 

ここ数十年の日本経済は、技術系エンジニアの価値を軽視しながら衰退を続けてきた。なぜわが国の大企業の社員たちは自らの手を動かさず、下請け・孫請けに開発を丸投げする存在になってしまったのか?このような状況で、日本がTeslaやBYDとまともに戦えるわけがないと指摘するのは、著名エンジニアの中島聡氏だ。
■日本の政治家と官僚は、若き技術者の悲痛な声に耳を傾けよ
(2025/1/7号「私の目に止まった記事」より)
こちらは2018年のブログ記事ですが、ものすごく重要なことが書いてあるので、一般の人たちだけでなく、政治家・官僚たちにはじっくりと読んでもらいたいと思います。
 
新卒で入社したホンダを三年で退職しました さよなら大好きだったホンダ
もっとも重要な箇所は以下の文です。
 
私の所属していた場所ではホンダの社員は全く技術開発をおこなっていませんでした。ではどうやって先進安全や自動運転の機能開発をおこなっていたか?実態はサプライヤーと呼ばれる部品メーカーに技術開発を丸投げしておりました。ホンダのプロパー社員の仕事はサプライヤーの日程管理と部品の不具合が出た時にサプライヤーを叱責するということが主たる業務でした。
これは私が、NTTで働いていた時も、ソニーのエレキ事業部と仕事をしていた時も、トヨタ自動車向けにソフトウェアを開発していた時も感じたことですが、これこそが、日本企業のもの作り、特にソフトウェアの開発力が落ちた一番の原因であり、バブル崩壊後、いまだに続く「失われた30年」を作った一番の原因だと私は見ています。
日本の大企業の社員たちは、自らの手で技術開発を行わず、開発は下請け・孫請けに任せ、自分たちは、製品企画だとか、工程管理だけをするようになってしまったのです。 
その原因を作ったのが、「大企業は正社員を解雇してはいけない」という解雇規制です。
正社員を解雇できない会社においては、ソフトウェア・エンジニアのような「専門職」を正社員として抱えることには大きなリスクがあります。必要な専門職は時代によって変わるため、特定の職に特化した「職人」たちを正社員として抱えてしまうことは、「使い回しが効かない固定費」を増やすことになり、会社経営を難しくするからです。
そのため、NTT、ソニー、トヨタ自動車のような、本来技術で勝負するはずの企業は、理系の大学卒の人たちを大量に採用しながらも、彼らを専門職の職人として育てることはせず、「使い回しが効くゼネラリスト」として育てることに決め、職人の育成・雇用は下請け・孫請けの会社に任せるゼネコン・スタイルで製品の開発をするようになってしまったのです。

理系の大学卒の人たちを大企業に奪われてしまった下請け・孫請けの会社は、優秀な人材の採用が難しいだけでなく、社員教育にかけられるお金や時間も限られているため、人材が育たなくなり、徐々に日本の技術力は低下し始めました。
それに拍車をかけたのが、小泉政権時代の派遣法で、これにより、ソフトウェア・エンジニアのようにニーズに増減のある仕事は、下請け・孫請け会社が、さらに派遣会社から派遣してもらう体制になってしまいました。
結果として、理系の大学を卒業した人材は大企業に就職してゼネラリスト・管理職になり、実際にコードを書くのは、派遣会社で1~3ヶ月の研修期間を経て現場に配属された、大学でコンピュータ・サイエンスの勉強をしていない人たち(多くが文系、「みなし残業」付きの低賃金)、というとても歪んだ社会構造になってしまったのです。
解雇規制がある故に、日本は「技術系エンジニアの価値を軽視する社会」になってしまったのです。
一方、TeslaやGoolgeは、コンピュータ・サイエンスの修士号や博士号を持つ人たちを高給で雇い、彼らが自ら設計からコーディングまで行っているので、良いものができて当然なのです。
「end-to-endのニューラルネットで処理する自動運転ソフトウェア」のようなもの生み出せる人材は、世界に一握りしかいないのです。
ホンダに入社したエンジニアが、「こんな会社では働きたくない」と感じるのは当然のことで、こんな状況のまま、日産と合併したところで、TeslaやBYDと戦えるわけがありません。
  ホンダと日産は合わせて数万人の社員を抱えており、平均年齢は40歳を超えています。その大半が、管理職、もしくは、管理職候補と育てられたゼネラリストなのです。
■日本がTeslaやBYDとまともに戦うために必要なこと
TeslaやBYDとまともに戦うには、自ら技術者を抱えた、少数精鋭の筋肉質な会社に生まれ変わる必要がありますが、その時には、簡単には解雇できない数万人のゼネラリストたちが大きな「負債」となって、会社の足を引っ張ることになります。
一説によると、ホンダと日産の合併を指導しているのは経産省だそうです。
自動車の生産に乗り出したいホンハイは以前から日産の吸収合併を企んでいますが、それをされると、自動車生産のノウハウだけを吸い取られて、大量の社員(連結も合わせると十数万人)が路頭に迷うことになるからです。
「雇用を守るための合併」が、ホンダと日産にとって、そして、日本の自動車業界・社会全体にとって良いことだとは私には思えません。
日本の政治家・官僚たちには、ゼネラリストしか育てないホンダに失望して3年で退職したエンジニアからのメッセージをしっかりと受け取って欲しいと思います。


 
かつての日本のコンピューターメーカーは米国のIBMに対抗して複数社が協力して技術者を育ててきた。
 
しかしメーカーのSEと呼ばれる技術者たちは、「ソフトハウス」と呼ばれる階層構造の下請け会社に丸投げして、自分たちは発注書作成人間になってしまった。
 
そのツケが積もる積もって今日に至っている。
 
ところで、せっかくに歩企業が倒産寸前の米国の企業を救おうと手を差し伸べているにもかかわらず、おかしなことになっている。
 
USスチール買収阻止の空騒ぎ、日鉄がんばれ!の勘違い。バイデンも日本もなぜ「国益と無関係の話」に熱くなれるのか?
 
バイデン米大統領が「国家安全保障上の懸念」を理由に、日本製鉄によるUSスチール(USS)買収に待ったをかけた。これに関して、バイデン氏の判断が米国経済にマイナスとなることは言うまでもないが、「日鉄がんばれ!」を無邪気に叫ぶ日本の世論も、それと同じくらい合理性を欠いていると指摘するのは米国在住作家の冷泉彰彦氏だ。巷の報道では、日米の信頼関係を揺るがしかねない大事件とされているが、実のところ「どちらも自国の利害と関係ない話で盛り上がっている」にすぎないという。
■日本製鉄によるUSスチール買収問題、巷の分析は正しいのか?
新年早々となる1月3日、アメリカのバイデン大統領が日本製鉄によるUSスチール(USS)の買収計画を阻止する命令を出しました。
このニュースは日本でも大きく取り上げられています。例えば、バイデンの側近たちは「日鉄が買収しても安全保障リスクはない」と助言していたのに、バイデン本人が声明で「鉄鋼産業とその労働者は我が国の屋台骨だ」としたうえで、国家安全保障上の懸念を理由として買収を阻止した、という報道もあります。
また、USSの側からも、同社のブリットCEOが「恥ずべきで腐敗している」とバイデンを批判したとか、日本製鉄サイドも納得できないとして、すでに米政府を提訴する動きになっています。その一方で、買収を進めるのは日鉄側の責任であり、今回のように米国政府から蹴られた場合でも、日鉄が違約金を払わされるという説もあります。
■バイデンやトランプの主張はポピュリズムの賜物
今回のバイデンの判断ですが、政治的には解説は可能です。
まず、トランプ次期大統領がこの買収を問題にしたわけですが、これは大統領選で決戦州となっていたペンシルベニアなどの票を確保するうえで、「基幹産業である製造業をこれ以上、外国勢力に売るな」というポピュリズムに迎合するためでした。
それはともかく、すでに大統領選は終わったので、負けたバイデンには何も失うものはないので、日鉄による買収を認めても良さそうではあります。ですが、それでもバイデンが却下したのは、自分も大統領選の選挙戦の中で「認めない」という「公約」をしてきたからです。また、中間選挙まで1年10ヶ月を切る中では、民主党としては「労働者票を奪還する」ポーズが必要ということもあると思います。
ビジネスの合理的な判断としては、日鉄が買わないとUSSの業績はさらに悪化して、破産法申請は時間の問題で、主要工場の閉鎖により雇用の喪失が発生すると言われています。たしかにそうではあるのですが、そんな「複雑な話は有権者には向かない」という環境の中で、表層的な大衆迎合をするという点では、トランプもバイデンも思考パターンは酷似しているという説明も可能です。
こうした判断については、日本と中国を混同しているという解説もあります。中国を仮想敵としてサプライチェーンから外す戦略の中では、日米の経済的な結びつきは強化するのが当然であり、今回の判断はこの大原則から外れるというロジックです。
これも「筋論」ではあるのですが、特にトランプの場合は80年代の日米通商紛争の記憶が刷り込まれた世代がコア支持者ですので、理屈を超えたものもあるようです。
では、そのような印象論や政治的心理戦を棚上げにしたうえで、今回の買収問題について経済合理性から考えると、どのような構図が浮上するのでしょうか。
まず考えなくてはいけないのは、製鉄業界の構図です。大きなトレンドとしては2つの流れがあります。1つは、高炉における中国の躍進です。
■すでに「中国優位」になっている鉄鋼産業の特殊な性質
高炉というのは、石炭由来のコークスを燃やして鉄鉱石から鉄を製造する巨大な「溶鉱炉」のことです。この高炉に関しては、現時点では中国など20世紀末から21世紀に入ってシェアを伸ばした国が優位に立っています。
高炉というのは、石炭由来のコークスを燃やして鉄鉱石から鉄を製造する巨大な「溶鉱炉」のことです。この高炉に関しては、現時点では中国など20世紀末から21世紀に入ってシェアを伸ばした国が優位に立っています。
高炉というのは非常に大掛かりな製造設備です。またコストを抑制するためには連続稼働をしなくてはなりません。ですから、新規に建設するのは巨額の設備投資になります。投資を回収するのも長期になるうえ、危険な高温での連続操業をしますから、設備の周辺機器を含めて稼働しながら性能の向上や、部分的な自動化などを進めるのは難しい性格を持ちます。
どうして中国が優位なのかというと、それだけ稼働が新しいからです。新しいということは、自動化が進んでおり効率や性能もアップしています。これは品質とコストの点でそのまま優位になります。
では、中国の高炉がコストや製品の品質で優れているからといって、アメリカや日本の高炉も最新式にしたら良いのかというと、それはノーです。巨額の投資が必要で、作ったら運転し続けないといけない中では、現有の高炉をどんどん更新することは不可能だからです。
日本について言えば、アメリカより高炉を建設するのが新しかっただけでなく、前後の処理などを含めて技術力があり、技術革新を続けたことでの競争力があるわけです。
中国の場合は、日本から技術移転があったわけですが、これは製鉄の場合について言えば、ある種の必然があります。
中国の近代化に鉄は必須であるだけでなく、中国が成長するタイミング、そして高炉を増やしていったタイミングでは、仮に彼らが巨額の費用を払ってくれたにしても、日米には旧い高炉が残り、中国には新しい高炉ができているという状況は変えられないと思います。
エレクトロニクス、特に半導体の場合は「技術移転をした分だけ自分が先へ行って競合を避ける」ということはできず、日本の産業としては40年のレンジで見れば、自爆的な行動に終わり敗北を重ねた上での衰退に追い込まれました。
ですが、鉄の場合はもっと性格が異なります。高炉の償却期間の長さと、連続稼働の必要という特殊条件が重なるからです。
■日鉄のUSS買収はアメリカ鉄鋼産業に対する「延命治療」だった
では、日本や米国は中国製の安くて品質の良い鉄に押されっぱなしであるかと言うと、そうでもありません。
日本や米国といった、比較的昔から大量に鉄を作って使っていた国には別の資源があります。それは屑鉄です。屑鉄を溶かして再利用することは大いに可能であり、実際に日本や米国ではそちらの方が活発です。
この屑鉄という資源の利用に溶鉱炉は必要ありません。
溶鉱炉(高炉)の場合はコークスを燃やしてできる摂氏2000度の熱で、鉄鉱石から鉄を抽出します。ですが、鉄だけでできている屑鉄を溶かすには摂氏1000度程度で良く、これは主として電炉(電気溶解炉)で対応可能です。
電炉というと、電気を食うのでコストが心配になりそうですが、実際は高炉のコストに比べると4分の1程度で済むのです。ですから、日本でも米国でも電炉は今や主流となりつつあります。
反対に中国の場合は、鉄の大量消費を始めてからの年数が短いので、電炉の原料である屑鉄は多くはありません。
では、アメリカも日本も高炉は不要かと言うと、そうでもないのです。屑鉄を原料とする電炉の場合は、どうしても純度を高める際に限界があります。
では、どんな使途が純度を要求するのかというと、ズバリ自動車のボディに使用する高張力鋼板です。より薄くて可塑性があり、同時に強度もあるというような高級品は、電炉では対応できません。
今回のUSS買収というのは、国際的にみて競争力を失いつつある米国USSの高炉ビジネスについて、とりあえず日鉄がマネジメントをすることで、生産性を向上して延命させようという話、非常に単純化すればそのような話になります。
ここで「延命」という影のある表現をしたのは、時間的な期限があるからです。高品質の高張力鋼板という「商品」が必要な時代は、いつまでも続くわけではありません。何よりも自動車のボディの素材がどんどん多様化しているからです。
■高炉による高品質・高張力鋼板が必要とされるのは「今だけ」
例えば、中国製の安いEVの場合は、外板に強化プラスチック素材を使用しています。中には骨格部分はアルミで、外板はプラという「アイアンレス(鉄を使わない)」モデルもあるようです。
もちろん、それでは衝突時の強度は確保できないので、5G電波やレーダー&レーザーのセンサを利用したネットワークによる衝突回避など、別の安全思想を持ち込む必要があります。ですが、軽量化による省エネということでは、そんなストーリーもあるのです。
アルミということでは、フォードが有名です。巨大なトラックやSUVにアルミ素材を投入して1台あたり230キロも軽量化するなどして、巨大な車体なのにフルEVにしていたりします。これも強度面では問題があるので、骨格の方は鋼鉄製でより強化しているようです。
というわけで、まだ完全に主流になったわけではないのですが、自動車のボディについては「脱鉄鋼」というトレンドが確実にあります。そして、これはEVによる効率化と、AV(自動運転車)による安全確保という両面において、技術革新とセットになっているとも言えます。
例えばですが、ここ数年で完全に装備されるようになったAV技術の先取りとしての衝突回避メカニズムというのも、単に安全性能を向上させるだけでなく、ボディの柔軟化・軽量化と裏表の関係にあります。
多少、話が脱線しますが、鉄道車両におけるアルミの利用というのは日本が非常に熱心で、1960年代から民鉄の電車に使用されており、200系以降の新幹線電車は100%アルミ車両です。
それはともかく、“現時点では”トヨタのレクサスなど高級自動車のボディ外板には、どうしても高品質の高張力鋼板が必要です。その製造技術を持ち込んで、USSの高炉の競争力を高める、これが今回の買収劇の本筋と言えます。
■バイデンだけでなく日本側にも合理性はない
では、このまま日鉄のディールが潰されるとどうなるのかというと、恐らくUSSは破産にいたり、高炉は守れない可能性が高いと言われています。ですから、USS本体の経営陣は買収に強くこだわっているわけです。
一方で、労組はどうして反対しているのかというと、新しい製造技術が導入され、より高度の生産性が追求されると、リストラや労働条件の改悪になる可能性があるからです。
多能工の養成など、教育訓練を施して労働力が時代遅れにならないようにする動きは、アジアでは当たり前ですが、米国の現場の労組からは「条件の改悪」とみなされます。
そうした思想のすべてがオワコンなのですが、政治的な理由からも彼らは反対せざるを得ないようです。
最終的にUSSが潰れて、高炉が廃止されると、その際に「まだ」アメリカの自動車産業が高張力鋼板を必要としていた場合には、一部は輸入になる可能性があります。そうなれば、アメリカのGDPは損なわれることになります。
つまり、今回のバイデン政権による買収阻止は、アメリカのGDPということから考えると、どう考えてもマイナスとなるわけです。
その一方で、日本の場合はどうかと考えると、このニュースは意外に大きく取り上げられています。
例えば、武藤経済産業大臣はバイデン氏の買収阻止という判断について「理解しがたく残念だ」「日本政府としても重く受け止めざるを得ない」というコメントを発表しています。
閣僚からこのような発言が出る中で、今回の阻止決定というのは、日米関係に悪影響があるという声も聞かれます。ですが、こうした日本側のリアクションにも合理性はありません。
■USスチール買収問題は「空騒ぎ」にすぎない
日鉄は日本発祥の企業ですが、生産も販売も半分は海外です。そして、今回のUSS買収というのも、仮にディールがクローズ(完了)したとして、この海外生産、海外販売に数字が乗るだけです。
ですから、日本国内の経済、つまり日本のGDPには関係はありません。
仮にUSS買収が成功して大幅に利益が出るようになれば、そのドル建ての利益を円に倒してみれば膨張して見えますので、企業業績を押し上げるかもしれません。ですが、それも数字の上のことに過ぎません。
収益拡大によるキャッシュフローは、海外で再投資されるでしょうし、株主に配当しても相当の割合で外国人投資家を潤すわけです。
つまり、今回の賛否両論の世論は、日米とも根拠のない喧騒ということになります。
「アメリカの基幹産業が買われる」といって不快がっているアメリカ世論も、その世論を恐れる政治家も、MLBの日本人選手を応援するように「日鉄ガンバレ」と言っている日本の世論も、どちらも自分の国の利害には関係ない話で盛り上がっているわけです。
ですから、万が一にも、石破総理が乗り出してトランプ次期大統領と交渉するとか、在日米軍や東アジア安保と絡めて同盟の見直しがどうとかというような、大げさな話に発展させるべき話題ではありません。
結論から言えば、どちらの国にも属さない純粋なビジネスディールであり、しかも数十年先の未来へ向けた夢のある話ではなく、現状を少し直して旧いビジネスを延命するという期間限定の話です。どう考えても熱量を必要とするような議論ではないと思います。

昔から「鉄は熱いうちに叩け」という諺があるが、その意味は「関係者の熱意がある間に事を運ばないと、あとでは問題にされなくなるというたとえ」なのだが、どうやら今回のUSSの買収問題は関係者を無視した連中の「「横槍」のようなのだが、まるで若い男女ならまだしも、盛りを過ぎた男女の「恋のから騒ぎ」ということなのかもしれない、とオイサンは思う。

【参考】
 
 
  

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