明後日まで外出しています。
いつもの「つぶやき」の代わりに歴史ある名湯及び温泉宿を紹介します。
【奈良時代の718年に開湯した加賀の名湯「粟津温泉」】
粟津温泉は加賀温泉郷の中でも、少しこぢんまりした温泉地です。 例えば加賀温泉郷の中でも片山津(かたやまづ)温泉は、源泉が柴山潟という、海跡湖(注1)の中にあるため、温泉街が湖に面しており、展望の良さが楽しめます。付近には愛染寺という恋愛成就のパワースポットも人気のため、若い女性の姿も多く見かけます。 また、山代温泉は九谷焼の名地で風情ある温泉街の魅力で人気ですし、山中温泉は松尾芭蕉も愛した北陸屈指の温泉地です。 石川県の地方紙『北國新聞社』が出版する『これが新しい温泉の選び方 新 名湯図鑑』でも、先ほどの片山津温泉と一緒に、山中温泉は北陸の「特選の温泉地」に選ばれています。 |

こうした立派な温泉地の近くで、粟津温泉は規模的にも知名度的にも、若干ですがこぢんまりとした印象が現状ではあります。しかしこの場所には、他の温泉地にはない歴史とユニークさがあります。 実は粟津温泉の開湯は718年。 言い換えれば加賀温泉郷のなかでも歴史が圧倒的に長く、遷都で藤原京から平城京へ都が移された8年後に、温泉地としてスタートを切っているのですね。 |
【ギネス世界記録にも登場した温泉宿「法師」】

現在、世界で最も古い歴史を誇る温泉宿として「ギネス世界記録」に載っている宿は、山梨県の西山温泉にある「慶雲館」という旅館になります。 この宿の創業は705年。大宝律令が出された数年後です。もはや歴史の教科書の話題ですね。 しかし2011年に慶雲館がギネス世界記録に認定されるまでは、別の宿が「世界最古の宿」として知られていました。 ギネス世界記録の公式ホームページにも、 <The second oldest hotel is also in Japan.>(Guinness World Recordsの公式ホームページより引用) 「2番目に古いホテルも日本にある」と書かれています。 この場合の「2番目に古いホテル」が、まさに粟津温泉にある「法師(ほうし)」という温泉宿でした。 言い換えれば、慶雲館が申請をする前までは、粟津温泉の法師が世界最古の宿として知られていたのですね(実際には兵庫県の城崎温泉にも「千年の湯 古まん」という創業717年の宿もあります)。 |

今でこそ世界イチの歴史の長い宿の座は、明け渡してしましました。しかし、北陸最古である点には間違いがありません。 加賀温泉郷の中でいえば、山代温泉も725年に開湯し、山中温泉も同じくらいに温泉地としてスタートしています。長い歴史という点に関しては、決してどちらも負けていません。 ですが、どこが北陸最古かといえば粟津温泉、さらにいうと粟津温泉の法師という宿になるのですね。 |
【自家掘りの温泉宿が集まる粟津温泉】

粟津温泉の開湯とともに歴史を歩んできた法師に関していえば、まずコケで覆われた庭に、灯ろうなどの景物を置いた池のある池泉式庭園が見事な風情を醸し出しています。 その日本庭園を囲むかたちで、館内は客室が配置されています。外界から閉じられた回廊に沿って客室が並んでいるため、プライベート感はとても高いです。 |

法師の目の前には、町のシンボルである樹齢400年以上の黄門杉が道の真ん中に根を下ろしています。その道を挟んだ場所に、総湯があります。 総湯を囲むかたちで、他の宿が林立しているとイメージすると、温泉街の全体像が理解しやすいと思います。 |